え……? こいつ、今、なんて言った? 好き? すき? スキ? 好きぃ~⁉︎ 私は頭の中が完全に真っ白になった。 お金持ちで、頭がよくって、芸能人かと思うほど人間離れした美しさを持つ、龍太郎……。 そんな人間が自分を好きになるはずが、そんな非現実的なことが起こるはずがない。 異世界転生したならば話は別だが、ここは現実世界だ。私は死んでないぞ。 溺愛モードなんて、ありえない。 ……待てよ。それ以前にたしかコイツ、不倫してなかったか? スマホを間違えた時、コイツに届いたメッセージは、明らかに既婚者からのお誘いだったけど? 短時間に幾度も入ってきて、しつこいものだった。 しかもかなり親密な関係だと、ちらと見た内容でもそれは見てとれた。 ……あ~、なんかイライラしてきた。これもコイツの遊びだろう。 こういうヤツは、きっと清楚なお嬢様で、すっごい美人で、ものすっごい巨乳が好きなはずだ(偏見) 「……りゅ、龍太郎。もう、こういう遊びやめない? いい加減飽きたんだけど……」 私の声には緊張が混じっていた。 「…………」 龍太郎からの返事はない。無視か? 「あのさ、私、付き合ってもないひとと、こういうことをするの好きじゃないの。もう、離してくれない?」 相変わらず、私を抱きしめて離そうとしない。 龍太郎のたくましい腕に、ときめきを感じないわけがない。 今もドキドキする……。でもなぜかイライラもする。 「…………」 また無言だ。なんなんだ、コイツ。 その時、龍太郎の寝息が聞こえた。すやすやとまるで赤ちゃんのような、天使な寝息だ。 ……え、えー!! このひと、寝てるの? うそぉ~⁉︎ この状況で寝れるって、ど、どんだけ私、女扱いされてないのよっ!! む~か~つ~く~~ッ!!!!! さっきのも寝ぼけて、だよね……⁉︎ もし好きだとしたら、この状況下で寝れるわけがない。自分なら無理だ。 もう、考えるのをやめよう。 「なによ。私だけドキドキしてバッカみたい……」 眠った龍太郎からの包囲網からは、簡単に抜け出せた。 私が抜け出すと、龍太郎はむにゃむにゃ言いながら仰向けになった。 龍太郎は本当に寝ていた。 寝顔は見惚れるほど、奇麗だった。 無邪気で、可愛くて…
Terakhir Diperbarui : 2025-06-24 Baca selengkapnya