Semua Bab 雪桜婚〜すべてはスマホ間違いから始まった〜: Bab 11 - Bab 13

13 Bab

第11話

「お、おまえ、ふざけんなよ~!!」 龍太郎の口調が荒い。 私の案内通りに車を走らせて、とあるお店に着いたのだけど、やっぱりそういう反応になるよね。 「ここなんだよ⁉︎ 回転寿司じゃねぇか! おまえ、せっかくおれがいい店に連れて行ってやろうと思ったのに! チッ!」 龍太郎は舌打ちしたけど、これ以上、お姫様になったら、もう現実世界に戻れなくなっちゃうよ……。 もう、十分だよ……。 「いいじゃないですか。安くて美味い、庶民の味方。剣堂さんもたまには、こういうお店で楽しく食事を楽しみましょうよ」 私は龍太郎をなだめる。 「まったくおまえは《《いつも》》欲がねぇな。もっと、ひとに甘えて生きればいいのに」 龍太郎の言葉に私は戸惑った。 ……え? いつも? 「来たからには、たらふく食うからな。おれは腹が減ってんだ。おまえの奢《おご》りな!!」 龍太郎は私に背中を向けて、お店の方に歩き出したけど、龍太郎の言葉に引っ掛かりを覚えていた。 ——どこかで会ったことあるの? …………まっさか~、こんな目立つヤツと会ってたら、いくら私でも気づくって。 「二名様、ご案内~」 音吐朗々《おんとろうろう》とした店員の声が店内に響き渡った。 龍太郎の後ろをちょこちょこ歩く私は、客と店員の視線を感じずにはいられなかった。 ——みんなが龍太郎を見ている気がする。やっぱり目立つからかなぁ? 龍太郎が歩いて連れてくる、風に乗った香りがふんわりと、私の鼻をくすぐる。 車に乗っている時から気づいていたけど、龍太郎はなんというか、すごくいい匂いがする。 森林みたいな……それでいてとても上品な香りだ。 うまく例えられないけど、大自然に包まれているような安心する香りだ。 龍太郎の後ろ歩くと、その香りに包まれる。 「ふぅ……」 龍太郎が席に座って息を吐いた。 テーブル席に座っても、なおも視線を感じる。私がちらりと見ると女性たちが頬を赤らめて、龍太郎にうっとりとした視線を投げつけて、なにやらヒソヒソと話をしているのが目に入った。 「ずっと、運転してもらってすいません。つ、疲れましたよね?」 龍太郎の形のよい鼻を見ながら、私は口にした。一応、私は私なりに気を使っている。 「別に……」 龍太郎のそっけない返事が耳を通
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-13
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第12話

「み、見てたって……、な、なにを?」 私が龍太郎に会うのは、今日が初めてのはず。 いや、間違いなく会ったことなどない。 「おまえを見てた」 「いや、そういうことじゃなくて、仕事も知ってるの?」 「知ってる。おれ、おまえの後をつけたことがある」 ……うわぁぁあ!! 怖っ!! ス、ス、ストーカー? 「あ、あの、け、けけけ、剣堂様はなんで、そのようなことをい、いたしたのですか?」 混乱して、もう日本語がぐちゃぐちゃだ。 「おまえのこと、気になったから。それより剣堂様ってなんだ?」 龍太郎が首をかしげる。 ……こいつ、なんでもないことのように平然と。き、気になったってなに? 後をつけられて、気になってるのは私のほうなんですけど……!! 「おまえの仕事場、あのグリコロ製菓だろ? 山の中にある……」 うぉぉ、こいつ、ガチで知ってる。私のこと!! 「あはは、私、最後にデザート食べようかなぁ……」 私は彼の質問には答えず、現実逃避しようとタッチパネルを手元に引き寄せ、画面に触れる。 こいつとは、これきりだ。二度と関わってはいけない、そういうやばいレベルの男だ。 『デザートを食べ、何事もなく穏便に済まし、無事に帰宅する』 これが今日、最大のミッションだ。疲れ果てた身体に、こんなに色々なことが起こるとは、今日は厄日か? スマホを間違えたために、入れ違いになったために起きたことだ—— ……ぜんぶ、自分が悪い。 いつもなにかしら抜けている自分のせいだ。 「……悪かったな。車で後をつけたりして」 なぜか謝ってきた龍太郎。 「く、く、車で、へ、へぇ……」 あの高級車と、私の軽自動車では最初から勝ち負けは決まっている。逃げることもできないだろう。 「おまえがあまりにも暗い顔して、車に乗ってたから……。いつ見かけても、いつも、つまらなそうだったから、つい気になって……」 …………なにそれ……? 暗い顔? つまらなそうな顔? つい気になって? なに? いったい……、いったいこいつに、なにがわかるの……? 私がこれまでどれだけ一生懸命に働いて生きてきたか、なにがわかるわけ? 女が一人で生きていくのがどれだけ大変か、わからないよね……? 私はタッチパネルに触れる
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-14
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第13話

「そ、そうなんだ。産業医の先生だったんだ」 私はたしかにこの顔を見たことがある。 「おれはただの付き添い、勉強だけどな。おまえの会社でインフルエンザや、怪我、病気、なんかあったら診るのは、うちの父親と、うちの病院だ」 「……そうなんですね。だから私のこと、知ってたんですね。メガネしてるからわからなかった。……あれ? でも会ったの最近じゃないですか? ここ二ヶ月ぐらい前な気がする。そんな何回も会った記憶ないですし……」 私は記憶を辿るが、どう考えても、《《いつも》》と言われるほど、龍太郎と会った覚えがない。 「おれね、よくこの辺り、走ってんの。兄貴のクリニックがこの近くにあって、そこでバイトもしてんの」 あ、お兄さんも医者なんだ。すごい。パンピーとは一線を画する華麗なる一族か。 「けっこう、おまえとすれ違ってるよ。少なくとも、おれは覚えてるんだけどな」 龍太郎が口元に曲線を描いた。信じられないぐらいの美形だ。それに妙な色気がある。 「え……?」 そんなこと言われると戸惑ってしまう。なんで? 覚えてるの? 心臓がドキドキと音を立て始めた。 「おまえのパステルピンクの車、あんまりいないから目立つんだよ。いかにも女の子ですって、色の車な」 ……なんだ、なるほどね。絢斗が女の子らしいって、これがいいって! って言ってきたから半分妥協して買ったやつだ。 ……自分を持ってない女の黒歴史。 「私だって、好きであんな色に乗ってるんじゃないんです。買い替えたいけど、まだローンが残ってて……」 その言葉に龍太郎は、不機嫌そうに口を開いた。 「車ぐらい自分の乗りたい車に乗れよ。どうせあれだろ? 彼氏がこれ可愛いとか言ったんだろ」 「……そうですけど。どうせ、もう別れましたし、今度、車を買う時は自分の好きな色の車に乗ります」 いつの間にか涙は止まっていた。車に関しては、自分に似合わない色であることは、百も承知だ。 「……おまえ、彼氏と別れたんだ。てかやっぱ、彼氏いたんだな……」 龍太郎の目に関心の色が宿ったのを、私は見逃さなかった。 夜風が冷たい。四月に降った季節はずれの雪。今はもう溶けて消えちゃったけど、今日は朝から色々あったなぁって考えてたら、あくびが出てきた。 疲れた……。非常に疲れた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-14
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