拓海の言葉は、心晴のいちばん痛いところをまっすぐ抉った。玲奈はそれを聞いた瞬間、怒りに顔を向けて拓海を睨んだ。「須賀君、もうやめて......!」明は拓海の狙いがわかった。けれど同時に、このやり方が逆効果になりかねないことも怖かった。心晴の手はまだナイフの柄を強く握りしめている。玲奈の手からは血がぽたぽた落ち続けていた。それでも拓海は、玲奈の制止を聞かなかった。むしろ声を張り上げ、心晴に突きつける。「そのナイフを親友に向けてる暇があるなら、その時間で考えろ。どう証拠を集めるか、どうしたら和真にもっと重い判決を食らわせられるか。俺があなたなら、あいつにはとっくに冷たい鉄の手錠をはめさせてる。こんなふうに泣いて、腐って、周りを傷つけてる場合じゃない。......俺が死ぬとしても、あいつに代償を払わせてからだ」玲奈には拓海の火に油を注ぐ言い方を止められなかった。ただ不安げに心晴を見つめ、どうか今の言葉が届いてほしいと願った。拓海の言い方はきつい。でも言っていることは間違っていない。心晴は呆然として、空っぽの目で前を見つめたまま固まっていた。――けれど、耳には入ったのか。彼女はゆっくりと手を下ろしていった。玲奈はすぐにナイフを取り上げ、さっと片づけた。拓海は身を乗り出し、玲奈の血に濡れた手を握り込んだ。そのまま心晴に向かって言い放つ。「覚えとけ。生きてるから、何だってできる。死んだら――それで終わりだ」そう言うと、拓海は玲奈の手を引いて部屋を出た。玲奈はよろめきながらついていくしかなかった。拓海は立ち止まらず、エレベーターに乗せ、そのままマンションの外へ連れ出した。向かったのは診療所だった。拓海は医師に玲奈の傷の処置を頼んだ。処置室で、消毒と包帯を巻かれるたびに玲奈は眉を寄せ、痛みに耐えきれず小さく呻いた。拓海は痛みをわかっている。胸の中では心配で仕方なかった。それでも口は容赦しなかった。「自分が馬鹿やったんだ。黙って我慢しろ」玲奈は顔を上げ、むっとして言い返した。「須賀君、あなた......」拓海は視線を合わせたまま、硬い表情で言った。「誰かを守りたいなら、まず自分を守れ」玲奈は何も言えず、後ろめたさに目を
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