闘獣場内は歓声に包まれていた。司会者がマイクを握り、興奮気味に実況する。「今夜のパフォーマンスは、当闘獣場史上初めての催しです!これまでの挑戦者はサイやイノシシでしたが、今夜の相手は百獣の王、アフリカの雄ライオンです!熱い拍手で、今夜の挑戦者――新城白夜さんをお迎えしましょう!」観客は雷鳴のような歓声と拍手で応え、大盛り上がり。「まさかライオンに挑むのか?命知らずだな!」「百獣の王だぞ、死にたいのか?」「今夜は最高の見世物になるぞ!」と期待が高まる。「あんた、本気でおかしくなったの?」白夜が何をしようとしているかは薄々気づいていたが、司会者の発表を聞いた侑里の胸は震えた。「そんなことしたら許されると思ってるの?」「何の意味もないんだから!」「あんたがしたことを思い出すたび、あんたをもっと憎むだけよ!」あれからどれだけ時間が経っても、彼女は毎晩のように悪夢を見る。夢の中で何度も思い出すのは、あのライオンが檻を突き破って出てきた瞬間。明らかに自分の執事であるはずの白夜が、何のためらいもなく凪を守ることを選んだ。しかも、あの時の凪は、ライオンに襲われる危険すらなかったのに、彼は何の迷いもなく凪に飛びかかった......一つ一つの場面が、まるで昨日のことのように鮮明で、忘れられるはずがなかった。「侑里が俺を簡単に許さないのは分かってる。だから、俺も許しを乞うつもりはない」白夜は言った。「ただ、俺は証明したいんだ。俺は侑里を愛している。侑里のためなら、命を差し出してもいいと!」「証明して何になる?私はもう、あんたを愛していないのよ」侑里は冷たく言い放った。「愛していない」その一言は、鋭利な刃物のように、白夜の心臓に深く突き刺さった。だが、白夜はそれでも歯を食いしばって言った。「一度君に恋させた俺なら、もう一度君を恋に落とさせてみせる!」「侑里、この世で俺をここまで狂わせるのは、君しかいないんだよ」白夜の情熱的な告白を前にしても、侑里はまぶた一つ動かさずに言った。「その呼び方もうやめて。気持ち悪い」白夜の目には傷ついた色が浮かんだが、すぐに態度を整えて、微笑みながら言った。「......はい、お嬢様」まもなく、闘獣ショーが始まった。会場は再び興奮に
Read more