鈴風が帰って来たので皆でスーパーラウンドテーブルを囲んで朝ご飯にした。セブンチェアはクロエちゃんのピンクのを出しても4脚しかないので、ミユキ母さんのに鈴風が座ると伊左衛門の場所がなかった。「伊左衛門こっちおいで」 冬凪がお膝をボンボンと叩いたので伊左衛門がそこに座ろうとするとクロエちゃんが、「調子乗りすぎ」 とリビングのソファーまで連れて行き自分もそっちに座った。クロエちゃんはなぜか伊左衛門に厳しい。「わたしがそっちへ」 鈴風が半腰で言うので、「いいの。クロエちゃんは元々あそこで寝食する人だから」「そうですか。じゃあ」 N市に会員制女性専用のガルバ「Reign♡in ♡blood」を出店したばかりの頃、クロエちゃんはほんとに忙しそうだった。家に帰るのは、いい時で週一、悪ければ月一、12月、1月の年跨ぎで2ヶ月帰ってこなかったこともあった。帰ってきても自分の部屋には行かないで、シャワーしたらソファーで寝て起きたらまた出ていくという生活を3年以上続けていた。お店が軌道に乗って、ようやく家に落ち着くかと思ったら今度はVRゲームチームのオーナーになって世界中飛び回り前よりも帰って来なくなった。「クロエはノマドだから」 クロエちゃんのことをミユキ母さんがそう言ったことがある。ノマドというのは放浪者、つまり決められた場所にいない人という意味だ。そう言った時、ミユキ母さんは寂しいのかなと顔をチラ見したら、案外楽しそうだったのを覚えている。ミユキ母さんは今年の夏もそうだけど長期休暇の間はフィールドにずっといて帰って来ない。世界中どこへでも調査に出かけていくし。結局二人とも家に居着かない人たちなのだ。つまりお似合いの二人ということなんだろう。知らんけど。(死語構文) 食器洗いを手伝ってくれている鈴風に、「協力って何すればいいの?」 と聞いてみた。赤さんとは協力をするということだけ約束して具体的なこと
Última actualización : 2025-10-04 Leer más