撮影現場での後片付けが終わり、皆が打ち上げをどうするかと盛り上がる中。 「あれー?綿貫くんと、まりかちゃん知らない?」 「さあ。二人ともトイレとか?」 現場にその二人の姿はなかった。 薄暗い倉庫前。 さっきのドラマみたいに、昴生がまりかを壁際に追い込んでいた。 「ねえ。 侑さんと俺がマンションから出てきた写真をSNSに投稿したのって、浅井さんだよね?」 「ま、まりかそんなの、し、知りませ…!」 「えー…?でも、浅井さんの写真の中にあったよ?あの裏アカに使われてたプロフィール画像が。 しかもたくさん。 何度も何度もアカウント変えてるんだよね? 特定される前に消してるんだもんね。 頭いいんだねえ。浅井さんは。」 感心するよと綺麗に笑いながら、昴生はまりかを逃さないよう壁に手を付き、拘束している。 「ねえ……何でそんな事したの? あの裏アカの事、誰にも言わないから教えてくれる? あんなのが…まさか人気女優の浅井さんがあんな酷い投稿してるって知られたら…社会的制裁って免れないと思うんだけどなあ。」 泣きそうな顔で、まりかは昴生を見上げた。 「だ、だって……! 綿貫さんがあんな人に構うから……!!」 「あんな人って…侑さん? あれ、もしかして浅井さんって俺の事好きだったの?」 思いがけず自分の気持ちをバラす事になってしまったまりか。 もうここは、いっそ昴生に縋るしかないと、思いきり抱き付いた。 「そうです……!まりか、ずっと綿貫さんの事が好きでした…!! だから……悔しかったんです! あんな人より、まりかの方が絶対、綿貫さんに相応しいのに…!」 「だから…尾行して俺の住むマンションを特定したの? それで写真を撮ったんだ。 …撮って侑さんの名誉を傷つけるような、酷い投稿したんだね? 侑さんがストーカーじゃないのは見ていて分かってたんだよね。」 酷いなあ、と落胆したように昴生は笑う。
Huling Na-update : 2025-07-08 Magbasa pa