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人気俳優の執着愛／拗れた心
Last Updated:
2025-07-11 18:19:00何⃞も⃞知⃞ら⃞な⃞い⃞奴⃞ら⃞が⃞何⃞で⃞平⃞気⃞で⃞侑⃞さ⃞ん⃞を⃞傷⃞つ⃞け⃞る⃞ん⃞だ⃞よ⃞？⃞
侑さんが転校した。
ただでさえ姉を失った喪失感が酷かったのに、侑さんを失った事で辛さが増した。 また会えると思っていたのに、もう会えないなんて。そうして失って初めて気づいた。
……俺が侑さんに恋をしていたという事に。
初恋だったんだ。
＊
侑さんがどこに引っ越したのか誰も知らなかった。
親も先生も… かなり急だったらしく、誰一人挨拶もできなかったらしい。卒業し、中学に入っても俺は侑さんの行方を探し続けた。
彼女に会いたかった。
もう一度あの優しい笑顔を見たかった。
それからも俺は初恋の人を盲目的に探して、探して探し続けて……
ようやく見つけた彼女は、テレビの中にいた。
やっと見つけたのに……会えたのに。
会えない。
手すら届かない。
常盤侑……
朝ドラで華々しくデビューした、国民的人気女優。彼女は誰よりも遠い存在になっていた。
もちろん会いに行った。
ロケ現場、テレビ局、ファンに混じって出待ちもした。
そのために、身内の会社で、中学生ながら必死にバイトもした。 彼女のグッズも買い込んだし、ファンレターもたくさん書いた。…返事はなかったけど。 だけど、どんなに会いに行っても彼女はいつも誰かに囲まれていて… 近づく事はできなかった。「今日は来てくれてありがとう。」
アイドルみたいな握手会に行って、目が合っても…侑さんは俺に気がつかなかった。
まあ、そりゃそうだ。
侑さんがあの町で過
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「侑さ〜ん……」 今撮っている映画の打ち合わせで帰りが遅くなったという昴生は、どんよりとした顔で帰宅早々、私の肩に寄りかかった。 「お帰りなさい。お疲れ様。 ……ってどうかしたの？」 「……てから、だって。」 「え……？」 「……明後日からロケで、暫く地方の撮影現場に泊まり込みだって…… しかも2週間も…… 侑さんに会えなくなってしまう。」 そっか………2週間も。 小さな子供を宥めるように、私は大きな昴生の背中をトントンと軽く叩いた。 「そっか……仕事ならしょうがないよね。」 「……侑さんは平気なんですか。」 真正面から顔を私の肩に埋めたまま。 どこか不機嫌そうに昴生が言う。 「……侑さんは相変わらず分かってないんですね。 ……ってなわけで、侑さんを２週間分補充するために、これからキスしますね。 ……いいですよね？っていうか侑さんは断れませんよ。」 え。断れないの……？ 肩から顔を上げると、なぜか昴生は泣きそうにしている。 そのまま目を細め、私の両頬を掴んだ。 不機嫌な態度に合わない、優しい手つきで。 「ま、っ……昴………」 「待ちません、止めません。好きです。 侑さんが好きだから、とにかく申し訳ないけど、キスしますね。」 色んな感情がごちゃ混ぜになったような言葉を吐いた後、昴生は本当に私にキスをした。 &hel
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「あら、やだ。昴生くんったらまだ侑ちゃんに手を出してないの？どんだけ純情《ピュア》なのよ！」 いや、本当にびっくりした。 いつものように、見栄えも栄養バランスも完璧で、美味しそうな食事を眺めていると。 仕事を終えて帰り支度を進めていた米本さんが、突然そんな事を口走った。 「米本さん……？昴生が私に手を出さないと何かおかしいですか？」 取り乱さない様に、平静を装って聞いてみるけど。 「ええ！おかしいに決まってるじゃない！ だってあの子どう見ても、侑ちゃんの事好きでしょ？」 「………ええ？」 全部分かってるのよ、と米本さんは今日一の笑顔で訴えかけてくる。 まさか昴生の好きという感情が、米本さんにまで伝わっていただなんて。 むしろ私の方が鈍いの………？ 分からない。 一度大きな失恋をしたせいか、人を信じるのが怖くて。 敏感なようで、鈍感になってしまっている。 違う。 誰かに捨てられるのが怖いから、無意識にもう何も感じないようにしてるのかもしれない。 「私、絶対に昴生くんは我慢できないって思ってたのよ。 だって好きな人が一つ屋根の下にいるのよ？ 普通なら初日で手を出すわよ。 っていうか私なら、好きなダーリンがそこにいたらすぐに手を出すわ！」 ふん！と米本さんは自分の経験談を交えるように豪語した。 「そうですか。……米本さんは積極的なタイプなんですね。」 「ええ。私こう見えて肉食なの♡うふふ。」 目をパチパチとさせて、米本さんはよく染まっているシルバーに近い髪をかき上げる。 私からすれば、米本さんはすごく可愛い人だと思う。 好きな人には躊躇わずに向かっていける人。 自分にはない潔さがとても眩しく思えた。
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盲⃞目⃞的⃞な⃞愛⃞は⃞怖⃞い⃞。⃞ま⃞た⃞い⃞つ⃞か⃞捨⃞て⃞ら⃞れ⃞る⃞ん⃞じ⃞ゃ⃞な⃞い⃞か⃞と⃞不⃞安⃞に⃞な⃞る⃞か⃞ら⃞。⃞ 私達の関係に名前をつけるのは難しい。 家族でも恋人でもない、事務所の先輩と後輩。 もしくは単に、落ち目女優と人気俳優。 そうして少しずつ、私はこのままでは駄目だと思い始めたのに。 ＊＊＊ あの浅井まりかの事件後、再び私は昴生の家に強制連行されていた。 同じマンションで、浅井まりかに昴生の居場所を教えてしまったあのサラリーマンは、厳重注意を受けたし、佐久間さんは呆れ果てていた。 社長の怒りは凄まじく……だけど鳥飼さんはどこかワクワクしているみたいだった。 それからマスコミはまた別の芸能人の不倫騒動にフォーカスし、私達の話題は世間の目からなんとか逸れたようだ。 「……一緒に寝るの？本当に？」 「はい。侑さんが言ったんですよ？一緒に寝ようって。 今更ナシなんて却下です。」 確かにあの日のキスの後、昴生が初めて一緒の部屋に寝なかった事が気掛かりだったけど。 「………あの、そういう意味じゃなかったんだけど。」 「いえ。そう言う意味でした。 素直になって下さいよ、侑さん。 寂しいなら寂しい、一緒にいて欲しいならいて欲しい、そう言葉にするのはとても大事な事ですよ。」 一緒に……寝たいとは思ってないけれど。 はあ、っと諦めたようなため息を吐いて、私は昴生のきれいな顔を見つめた。 すでに寝る準備ができたようで、以外と可愛らしいスウェット姿で嬉しそうに笑いながら、ベッドに横たわる。 頭を片手で支えながら、横向きで私を呼ぶ。 「ほら……早く。」 「ほ、本当に？」
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こ⃞ん⃞な⃞思⃞い⃞を⃞す⃞る⃞な⃞ら⃞付⃞き⃞合⃞わ⃞な⃞け⃞れ⃞ば⃞よ⃞か⃞っ⃞た⃞。⃞ 会いたくても会えない人。それが常盤侑。 せっかく恋が実っても、あとはただ辛いだけだった。 そんな苦しさを抱えている時に、ずっとそばに居てくれたのは…同じ会社で働く芽衣子だった。 「ねえ、今日気晴らしに飲みに行こうよ。」 「小野寺くん。あのさ… 今日お弁当作り過ぎちゃって。良かったら食べてくれない？」 「映画は好き？おすすめの映画があるんだけど……、一緒に観てくれる人がいなくて」 会社にいる時も、プライベートでも、芽衣子は気落ちした俺を励ますように声をかけてくれたし、出掛けようと誘ってくれた。 「あのさ……俺、付き合ってる人がいるんだけど。」 だけど俺には侑がいたから……さすがに二人きりは良くないと思って断っていたけど。 付き合いが長くなるにつれて、芽衣子には侑と付き合ってる事を話してもいいんじゃないかと。 他の人には秘密にすることを条件に、小野寺に打ち明ける事にした。 「常盤侑……？すごい人と付き合ってるんだね…… だけど……小野寺くん。 本当に幸せなの？ 何か、凄くしんどそうに見えるよ……」 どうやら俺の苦しみが芽衣子には分かっていたようで。 そんな事を言われて慰められたら……男なのに泣きそうだった。 「辛いなら……やめたら？ だって相手……女優でしょ。しかも超有名人。 絶対……そのうち捨てられるよ。」 「……っ、」 それは俺が最も聞きたくない言葉だ
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