私のコンプレックスーマーゴにくせっ毛のまとまりのない髪をじっと見られていると、なんだか恥ずかしくなってくる。マーゴの栗色の艶のある髪は私にはないものだから……。 「そんなことよりアレックスさん。最近はお仕事どんな依頼が多いの?」 くるっとマーゴはアレックスの方を向いた。 「あ? ペットを探している。あ、この前は羊がいなくなった……」 「羊!? 大丈夫でしたか?」「ああ、捕まえたよ。犯人もな。子羊が盗まれたんだ。高く売れるからな」「流石です!アレックスさん、うちの紅茶飲みます?」 「いらない。離れろよ」 アレックスは肘でマーゴを押しやり、空になっているカップを私に渡してきた。 「レベッカ、おかわり」 「……あ、はい」 私はポットから紅茶を注いだ。それを見たマーゴはなぜか悔しそう。 「アレックスさん! 紅茶にお砂糖入れますね」 「いらない」 「でも、入れるとすごく美味しいですよ」 アレックスはマーゴの顔を、手のひらで押しやる。 「マーゴ、しつこいぞ?」 「まあまあ、アレックスったら〜ずいぶんと慕われてるわね〜」 押しの強いローズマリーさんでさえ、ちょっと困惑している。 「はい。先週も偶然ベイマーケットで会ったんですよ」 へえ。そうなんだ…………ふぅん。 別に全て話してほしいとは思わないけど- でもマーゴの依頼……私、立ち会ったのに。猫の見守り兼ねてだけど。彼女のことを私が心配してたのはわかってたくせに。 「アレックス、そうだったの?」 「ああ」 「そのこと教えてほしかったわ」 私たちの会話を聞き、マーゴの声色が変わった。聞いたことのない低い声。 「なぜ? なんであなたに話すの? うちのこと」 「え?……」 呆然とする私。 「アレックスはプロの探偵よ。守秘義務があるわ。あなたはただの召使いって聞いたわ」 マーゴはアレックスと腕を組んだ。 「ねえ、アレックス? 私を探偵の助手にして」 「あぁ?! あほか」 あぁ……アレックスはマーゴと何回か街で遭遇しているのね……この会話の感じ。すごい仲がいいじゃない。いや、いいことだとは思うの。マーゴはあんな辛い過去があったんだし……。 ローズマリーが私をフォローする。 「じゃあレベッカは、
Terakhir Diperbarui : 2025-06-23 Baca selengkapnya