野蛮な彼女の彼女になる方法

野蛮な彼女の彼女になる方法

last updateLast Updated : 2025-07-19
By:  うみたたんOngoing
Language: Japanese
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 レベッカはある夜、アパートの自室の上の階で拘束されてしまう。見てはいけないものを見てしまった!  目の前には錆びた包丁と、べとべとした樹脂のような塊がこびりついているまな板。   「許してください。せめて……」  せめて、どうしようか?なにをすれば許してもらえるのか……金を払うのか?  ん? 今、言葉の終わり方がまずい気がしてきた。イヤらしいじゃないの……。         せめて……せめてどうしよう?どうしたら助かる? ***** アパートの2階に引っ越してきたレベッカとその上に住む変人アレックス。 男のように振る舞うアレックスは、黒髪が美しいスタイルの抜群な女だった! アレックスの召使いにされてしまうお人よしなレベッカ。喧嘩ばかりで相容れない二人はなかなか素直になれない。 二人が巻き込まれる事件や日常を数話完結で書きます。どうぞ応援してください。 クール&かわいいWヒロイン目指して。 ローズマリー、マーゴ、かわいい女の子たちが続々と登場します。 末永くよろしくお願いします。

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Chapter 1

初めて会った夜 

あぁ……なんてこと−

目の前には錆びた包丁と、べとべとした樹脂のような、脂肪ような塊がこびりついているまな板がある。

ないまぜにされた異臭が立ち込める。

ハーブのような、泥臭いような……

獣のような-

「さてと……」

男は椅子から立ち上がった。

男は華奢で、茶色のニット帽を深く被り、目の下に真っ黒なくまを作っている。

視線は定まらない。麻薬の常習者そのものといったところだ。背は思ったより高くない。その細い身体を隠すかのように大きめの汚い黒いシャツ着ている。

「ヒッ」

ふらふら男は近づいてきて、後ろから手を回すように肩を抱かれた。そして……。

「チッ」と舌打ちされ、耳もとで息を吐かれた。耳がザワザワして気持ち悪い。すごい汗でベタベタして、なんか埃とハーブの臭い。

「はぁ……上手くいってたのになぁ。ここからが一番重要なところなんだが!」

今度は私の首もとに顔を近づけて、息を吸われる。あぁ……気持ち悪い!

「す、すみません! あ、あの、あの、あた、なにも、私見ていません!」

しどろもどろに私は答えた。これでは、見てしまったと告白しているようなものじゃない。私の大馬鹿!

男は私の右腕を掴んで、正面に立たせる。品定めするかのように、頭からつま先まで舐めるように見回す。

私はくせっ毛でまとまらない髪がコンプレックスだ。変な髪型の女だと思っているわ……。

いや、今はそれどころじゃないけれど。

そして、男の人差し指でつうぅと、頬を触られる。

「あんた可愛い顔してるな、お嬢ちゃん」

「お……お嬢ちゃんと言われるほどではー」

男は机をバシンと叩く。

「俺の目が節穴だってのかぁぁ?!」

「ヒッ……そんな事は……なかったことにしてください。家に帰して下さい!」

私はさっきから直立不動で動けないでいる。トイレに行きたくなってきた。

「ただじゃ済まないのはわかっているだろう? お嬢ちゃん、どうしてくれるんだ!」

「すみません!」

「早く洗わないとまな板がべとべとなっちまう!」

「どうぞ、早く洗ってください」

 男は互いの鼻先がつくほど顔面を近づけ、上目使いで私の目を覗き込む。クマができている鋭い目が本当に怖い。

「あぁ?」

「すみません!」

ただ謝ることしかできない。

あー、こんなところに来るんじゃなかった! ここで殺されるのだろうか?

この男が麻薬を扱っているのを知ってしまった以上、もう許してもらえないだろう。こんな理不尽なことってある?

ただ書いてあるその通りにしただけなのに。

「この、巻くという作業で完成度が違ってくるんだよ?」

麻薬の種類によっては、包丁などで刻んだ薬草を、丈夫な薄い麻の紙で包むようにして巻く。それが上手くできるかできないかで、全然違うとか……多分。

「ここが! 一番肝心なんだが!」

「すみません! 誰にも言いませんから!」

「なにを……なにを言わないってぇ?」

なにって、今さっき、キェーと言う奇声を発しながら、緑の葉っぱを刻んでいたことよ。それをこれから巻いて吸うつもりなんでしょうが−

男はこちらの顔を見ながら、真っ黒い紙のようなものを舌でゆっくり舐める。

挑発するように。

ききき、気持ち悪い……。

そういえば、巻く作業には麻紙の端を舌で舐めるなどして水分を含ませって書いてあったっけ?

ううぅ、勘弁して……。

「あ……」

男は舐めすぎたのか、黒い紙を誤って破いてしまった。小刻みに震える男。

ざまあみろ! という気持ちと、八つ当たりされるんじゃないかという恐怖が同時にやってきた。

「ちきしょう! イライラさせやがって! お前のせいでやり直しだろ!」

ほら〜、私のせいにしないで−

「ヒッ!」

男はさらにガタガタと震え始めた。やばいやばい! 禁断症状ってやつ?

「ガァァァー」

人間とは思えない叫び声。いきなり錆びた包丁を見えない速さで掴んで、正面から私の喉仏に当ててきた。

目つきの悪いそいつは片手でしっかり錆びた包丁握り、空気を見ているように目をぎょろぎょろと動かす。

汗と、なにか香辛料のような薬草の香りと

ハアハァと荒い息ー

絶対違法な薬よ! ガタガタ震える男の手が私の首筋を上下する。刃こぼれしているのがわかる。

「うっ」

針で刺したような痛みが首筋に走り、なにかが生暖かい物が、首から垂れる感覚があった……。

私、殺されるわ。刺激させないようゆっくりと話さないと。

「お願いします……せめてー」

せめて、どうしよう?

なにをすれば許してもらえるのか……考えろ。金を払えばいいのか?

ん? よく考えたら、今の言葉の終わり方は非常にまずい気がしてきた。せめてーって……なんかイヤらしいじゃないの。

「せ、せめてまな板を洗います。洗わせて下さい。洗い物すっごく得意なんです」

すると男の手に少しの隙間ができ、包丁が首筋から離れた。

今だ!

その瞬間、私は男の胸をありったけの力で強くつき飛ばす。

「いい加減にしてぇーーー!」

「…………?」

え? あれ?

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