無法島は見捨てられた島。 時代遅れの島- 十年前、無法島行きの船はカルバーンの港から毎日出航していた。 平和な自分たちの暮らしから少しだけ離れ、刺激を求め、人々は猥雑な不夜城に足を踏み入れた。 真っ赤な灯籠が通りを染め、食欲をそそる屋台が並ぶ。煌びやかな服や土産物。その奥に続く歓楽街や賭博場。 小さい頃、飲んだくれのおじさんから、ウサギの形をした飴や、光る玉のお土産をもらったっけ。 でも、自由に動けるようになった今、評判は一変した。 無法島の人気は急降下していた。今ではまるでゴーストタウンだと……。 **** 「あぁ、ドキドキするわ。アレックス」 「黙ってろ」 数年振りに、人でいっぱいになった観光船。 それは全てグエンに出された手配書……そこに書かれた金額のおかげとでも言うべきか。 手配書には生死を問わずの横にさらに、こう記載されている。 危険人物のため早急に捕まえたい。ヌーンブリッジ他、近隣地区も歓迎。 同額を与える。100,000バレル。 私たちの住んでいる町、カラバーンは近隣地区ということね。 青々とした島が目の前に迫って、子供のようにドキドキしてきた。 そう言えば船で島に渡るなんて、子供のとき以来だわ。 「ねぇ、なにか配っているわ」 「なんかの案内か?」 港に着くと、船を降りた全員に新しい手配書が渡された。 「なんで? どう言うこと?」 「Only Alive」 アレックスが手配書を指差した。 オンリーアライブ……条件が変わってる! 「生きて捕まえるってこと? そりぁそうよね。殺していいわけないもの」 保安部隊、デピュティたちはなにをしてるのよ。あ、この島はノーマンが所有してるから、デピュティがいないのか……。 「注意書きを見ろよ。変装している。または顔を変えている可能性があるためだと」 ええええ!? どうやって捕まえるの? アレックスは幼なじみだから有利だと思ってたのに。 「顔がわからなくなっちゃうのね」 「手配書も当てにならないけどな」 「そうかしら、特徴があったと思うけど」 私は肩がけのサコッシュから手配書を出す。粗野で目つきが悪く、いかにも悪そうな若い男。特徴があるのは右頬の大きなホクロ。めったにない顔だと思うけど。 「アレックス
Last Updated : 2025-07-02 Read more