Lahat ng Kabanata ng シャレコウベダケの繁殖: Kabanata 71 - Kabanata 80

89 Kabanata

悪魔の最後、ああ、平穏な生活よ

まずは彩花の痩せ細った首を片手で締めようとしている。自分のこれまでの二十九年間の人生の全てを賭けて育てようと覚悟して生んだ娘であるはずなのに、今は使い終えた段ボールを潰すかのように押さえつけている。彩花は口から涎を垂らしながらヘラヘラし、苦しそうにジタバタしていた。ひっくり返ったカナブンじみた動きだ。大輔は由樹の身辺調査をしている時に見た、家族思いの顔を思い出した。自宅への緩い坂道を彩花と一緒に手を繋いで歌いながら歩いている姿。家族三人で食べるために、重たい食材を商店街で買う姿。仕事から帰って来た隆広を玄関の外まで迎えに出る姿。彼女の顔には希望が溢れていた。だが今はそれが微塵もない。希望を与えれば由樹は正気に戻るのではないか。「由樹さん」一か八かに出た。大輔はこのまま見過ごすなんてできなかった。「隆広さんは生きている。散策中の老夫婦に埋められているところを発見されたんだ。今は病院に搬送されている。まだ生きている。だから、ここは耐えてください。ご家族三人で、元の生活を取り戻すんですよ。目を覚ましてください」成子の顔の色がますます白くなった。白が過ぎて水色っぽくなっていた。由樹はこちらを見ている。声は出ていないが、本当かと問うている目をしている。彼女の目を見て無言で頷く。由樹は彩花の首から手を外した。代わりにまな板の上に置いてあったノコギリを手に取った。「うわああ、うぐぐぐ、がああ、いやあああ」支離滅裂な叫び声を上げてノコギリを振り回した。壁はプチプチと段ボールで覆われていたが、それらがノコギリの刃に触れて破れ、穴が開き、ボロボロになっていく。 「テメエ、適当なことを言っているんじゃねえぞ」男が大輔の顔を何度も殴った。殴られると脳が揺れて視界に映るもの全てが液化したように見えた。「明美さん、由樹さんを止めなさい」成子の命令直後に明美の絶叫が聞こえた。どこかノコギリで切られたのだろうか。殴られてよく見えない。大輔はずっと殴られっぱなしだった。顔がべコベコになりそうだ。「待って。由樹さん落ち着きなさい」成子の言葉にも由樹は応じない。男は疲れたのか殴る手を止めた。洗面所の状況を確認した。由樹はノコギリを手に持ったまま、もう片方の腕で彩花を抱えて洗面所から
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第25章 シャレコウベタ、消えることはなく

白い天井に白い光。ここは成子のアパートの浴室、と思ったが違った。どこかの病院の一室のようだ。「水川大輔、目を覚ましたようだな」しばらくすると、二人の警官が病室に入って来た。一人は小柄だが禿げた頭で老練な刑事と見た。もう一人は大柄でラグビー選手のような体格をした三十代くらいの刑事だった。声をかけて来たのは年上の方の刑事だった。「何日くらい寝ていたんですか」真っ先に疑問をぶつけてみた。「まあ数日程度だ。父親も心配しているぞ。通報したのも父親だからな。今、連絡を入れてこれから来てくれるそうだ」治が病院に来るそうだ。父の前でどんな顔をすれば良いのだろうか。それに治が通報して警察が動いたようだ。どうして成子のことを知ったのか。「ちなみに今回の事件に関してだが、高松成子は留置所で首を吊って自殺した」思わず大きな溜め息が洩れた。何もかもが終了した。自覚はないが、現実が教えてくれる。「現場にいた川田明美は出血多量で意識不明。柴崎由樹と娘の彩花は意識はあるがまだ話を聞ける状況ではない。今のところお前しか話を聞ける人物はいないって状況だ。あの部屋で何が起きていたのか、全て話してもらうじゃないか。そして、どうしてあの場にいたのか」アンジェラが殺人に関わっていることを隠すために真実を語るべきではない。彼女と一緒に平和な生活を送る日々が最終的な目標だ。こんなところで頓挫するわけにはいかない。殺人に関わったことがバレれば、国へ強制的に帰されることになるかもしれない。彼女の今までの努力も水泡に化してしまうことになる。「何だコイツ、失語症か。何で喋らねえんだよ。おい」どうするべきか。アンジェラのこと以外は本当のことを言うしかないと判断した。大輔はシャレコウベダケの捜査を進めていたところ由樹という女性を知ったことにして、自分が経験したことのみを語った。「どうして探偵であるお前なんかが殺人事件について調査することがあるのだ」依頼者の情報は公開できないと言い張って言い逃れした。警察側もこれ以上聞けそうにないと判断したのか、今日のところは引き上げてくれた。アンジェラのことを話さずに済んだ。警察が帰った一時間後、治が病室に入って来た。何を考えているのか外からでは分からない表情をしている。口角は上
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由樹との再会、彼女から見た成子

「その可能性が高い。成子が逮捕されたことによって、彼女に関わった人物の命が安全地帯に入ったわけではないということだ」父の言葉によって、心臓が一気に萎んだように気持ち悪かった。「何なんだ。何が起きているって言うんだよ、全く」これからの平和な日常を夢見ていたため、出鼻をくじかれたような気がした。「彼女と結婚をするのはもう少し先になりそうだな。とりあえずは療養に専念するんだな。帰って来たら話を聞かせてくれな」治は帰ろうと立ち上がり、背を向けた。「あっそうだ。最後に一つ。どうやって成子の自宅を突き止めたんだ。通報したの父さんなんでしょ」そんなのも察せられないのかと言いたげな鈍く光る銀色の視線をこちらに飛ばす。「柴崎隆広さんがまだ生きているとアンジェラさんから聞いた。そんで彼の様子を見に行って事実と確かめてから、アンジェラさんから聞いた住所に成子がいると伝えただけだ」それだけ言って治は去って行った。アンジェラも父も大輔自身が捕まると予測してくれたようで、助けてくれたのだろう。結局、父の手を借りたことになる。ただ、父の様子から今回の助力はノーカンにしてくれそうだった。頑張らねばと気持ちを入れ直した。このシャレコウベダケ事件を解決するまでは平和はない。今回のしくじりのせいで、この事件に関わる恐怖が植え付けられたが関係ない。絶対にやらねばと燃えたぎっていた。だが、どうやって解決に導けば良いのか。成子が自殺した今、他に打てる手がなくなっていた。   ※病院の一階フロアを歩いていると、廊下のベンチに知った顔の人物が偶然座っていた。水色無地のパジャマ姿の由樹だ。彼女も同じ病院に搬送されていたようだ。声をかけるも、彼女はこちらをちらりと見てからすぐに目を逸らして、小さい声で返事してくれた。由樹にとってあの部屋にいた人物とは、もう目も合わせたくないのかもしれない。彼女が巻き込まれたのは、大輔が身元調査をして家の位置を明らかにした原因もあるようなので尚更嫌がられて当然だろう。それでも彼女は無視はしなかった。元々きちんとした人なのだろう。「もう歩けるようになったのですか」「ええ、まあ。一応」栄養を取れるようになったためか、元の綺麗だった由樹に戻りかけているようだ。だが、まだ顔が
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死神の正体へ……

「じゃあ明美さんは心からそのカーストを信じ切って、成子さんを信仰するようになったってことでしょうか」「簡単に説明すればそういうことだと思います。でも、そんな単純で温いものではないです。もっと陰惨で卑劣な空気感が徐々に身を破壊していくのです。その証拠に私も成子に気に入られた時、確かに安心していたと自覚がありますから」喋り終えた由樹は声を殺しながら泣き出した。両手で顔を覆ってしゃっくりをしている。彼女もアンジェラや明美と同じく情緒が安定していない。由樹の話を聞くと、恐らく彼女たちは成子にマインドコントロールされているのだろうと判断できた。マインドコントロールは時に悲惨な事件を発生させる。二千年に入ったばかりの時に北九州で一人の男がある名家の家族の中に入り込んで、一家全員を殺し合いさせるような事件があった。その十年後には尼崎の方で、多くの家族が一人の女によって破壊された事件も存在する。二つの事件は平成の凶悪犯罪の代表例のような扱いを受けている。北九州の男も尼崎の女も自分を頂点にしたヒエラルキーを作って、標的の人物を心身衰弱させて思考力を奪って殺人に手を染めさせている点が共通している。今回の成子宅で行われている状況と一致しているではないか。事務所に戻ったら過去のマインドコントロールが関係する事件について調べてみることにした。何かが見えて来るかもしれない。「成子さんに脅されていたという自覚はあったのでしょうか」「最初の方はあったかもしれません。ですが、あの人の部屋に居続けていると脅されているという感覚がなくなったような気がします。自分が旦那デスノートのチャットに参加して夫の悪口を言っていたことが原因でこうなっているんだって。そもそも自分が夫の嘘の愚痴をサイトに投稿していたことが一番根本の原因ではないかって自分を責めるようになって。成子が悪いという思考にならなくなるのです」アンジェラが言っていたように、旦那デスノートでチャットを利用したことで巻き込まれたようだ。だが、一つ気になることがあった。「成子さんが最初にみんなで集まろうと言ったのでしょうか」「確かそんな感じだったような気がします」何だかはっきりしない口調だった。何か自信を持って言えない理由があるのだろうか。「成子さんは何と言って由樹さんたちを
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第26章 シャレコウベダケに穴を穿ち、内部へと

驚愕で口が利けなくなった。黒幕は成子ではないということか。だが、分からないことが多々ある。「成子さんも死神という管理人とは初めて会話するような感じでしたか」由樹は首を傾げた。先程まで死神の存在すらも忘れていたのだから、当然分からないだろう。退院したらアンジェラに見せてもらおう。「旦那を殺し合うようにと言ったのは死神ですか」「死神だったと思います」大輔は呻った。死神が提案した殺し合いを実行するための集団で、どうして成子が全員をマインドコントロールできるまで圧倒的な立場になれたのだろうか。成子が自発的に行っていないとしたら、死神が成子とグルだったことになるのではないか。考え込んでいると、由樹に声をかけられた。白目を真っ赤にして両目から涙が溢れている。肌が綺麗なのでまっすぐ涙が落ちて行く。「まだお礼を言えなかったですね。本当にありがとうございます」「何がですか」怒られることはしたが、感謝されるようなことをしたつもりはなかった。何に対してありがとうと言っているのだろうか。「隆広さんが生きているって伝えてくれたことです。先日、夫が見舞いに来てくれたんです。あの時の大輔さんの発言は本当だったんだって嬉しくて。本当に彩花を殺さなくて良かったって」最後の方は喉を詰まらせながら喋っていた。大輔が浴室で拘束されていた時、由樹が彩花を殺そうとしていた。その時に娘を殺すことを防ぐために隆広が生きていることを伝えて希望を与えた。あの時の判断は結果的に良い方に転んだ。「そのことですか。いえいえ、当然のことですよ。親が子供を泣く泣く殺す瞬間なんて見たくなかったからですよ」「本当に、私は親失格だなって冷静になった今、心から思うのですよ。どうして彩花を殺すだなんて常軌を逸した行動に出たのか」「成子にマインドコントロールされていたのですよ、恐らく」確証はないがマインドコントロールについて話した。由樹も納得したようで、自分の身の上話を始めて自身の弱さについて語った。「私、自分が子供の時に親から本当に大事にされていたんだなって実感しちゃって。私の親は本当に凄いんだなって。私なんか親向いていないのかなって」由樹は泣き続けながら、学生時代の話を語り始めた。「私、昔は本当に酷い子供だったのです。小学
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探偵の端くれは何か違和感を抱く

ある日、公園のベンチに並んで座っていた時に男は由樹に詰問したようだ。由樹は特に責められるような行動はしていないつもりだったようだが、男は疑いをやめずに由樹を尾行していたようだ。「この前の縁日に男と一緒にいたんでしょ」「あれは親戚の子だよ」事実だった。お盆に遊びに来た叔父さんの一人息子で由樹よりも二つ年下の男の子だったそうだ。「何で。俺がいるのに他の男と一緒になるんだよ」「別にそんなんじゃないじゃん」「許せない」男はキャンキャカ叫んでベンチから立ち上がった。砂利の音を立てて寄って来て、由樹の目の前に腕を組んで立ったそうだ。「お前は俺の女だ」由樹は所有物扱いされたことにプライドが傷付けられたと言っていた。「お前の物じゃねえし」「うるせえ。お前は俺の言うことだけ聞いていろ」男の拳が由樹の頬を弾き、ベンチから落ちて雑草の生える地面に全身を打ち付けた。こんな男と一緒にいたら自分の価値まで下がりそうだ。もう一緒にいられないと思ったそうだ。「よくも俺を裏切りやがって」男が再び殴りそうだったので、急いで起き上がって家まで全力疾走で逃げた。「この時の恐怖は二度と忘れないの。背後でずっと男の足音が聞こえるの。本当に怖い。その足音から一生懸命、息が切れて苦しいけど、走って逃げ続けた。バス通りから住宅街の道まで、ずっと全力で地面を蹴ったの。ジワジワと男の跫音が大きくなるから距離が縮められているって分かるの。本気で殺されると思った」その時の恐怖は男である大輔には経験できないが、心中は察せられた。「家に着くとね、門からすぐのところにあるインターフォンを鳴らしたの。でも、すぐに男も門を勝手に開けて来て、私の襟首を掴んだの。父の声が聞こえたから、私は助けてって叫んだ。父はすぐに家から出て来てくれた。男は私を連れ去ろうと夢中になって逃げられなかったみたい。父はサンダルを履いた足で男の体を蹴って怒鳴ってくれた。父が恫喝すると男はすぐに逃げ去ったの。そのおかげで、二度と男は私の前に現れなくなった」大輔は思わず父の治のことを思い出した。今回も病院に運ばれて目を覚ました当日に見舞いに来てくれた。アンジェラを保護してアパートに帰したのも治の判断だろう。捕らえられた際も助け出してくれた。何だかんだで父は
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シャレコウベダケの内部は、深く暗澹として。

「関係ないかもしれないんですけど」由樹のひっそりとした声が大輔の耳には、はっきりと輪郭を持って聞こえる。「部屋の中でディルドを見ましたか」急に何を言うのかと思ったが、確かに洗面所で明美がディルドを由樹の口の中に突っ込んでいるシーンを思い出した。「見ました」「あれは成子さんの旦那さんが作った物だと成子さんが言っていました。だけど、何か変な感じがしたんです。明美さんの旦那を殺害する場で聞いたのですが、その場に成子さんの旦那役の人もいたのです。彼は成子の発言に対して何の反応もしなかったのです。もし、旦那役の男が作っていたら彼自身が何か言うか、成子さんが彼が作ったのと言うと思います。それに、旦那役の男は半グレみたいな男でとてもそんな物を作れるようには見えなかったのです」「つまり旦那役の男以外に、本物の旦那がいるってことですね」由樹はしっかりした声で肯定した。他にもう一人成子の旦那が隠れている。もしかしたらと大輔は一つの可能性にぶつかった。「もしかしたら、成子の本当の旦那が犯人かもしれません」声にした瞬間、大輔の視界から霧が払われた。陽光が差して進むべき道が見えた気がした。「どういうことですか」大輔の言葉を聞いた由樹が驚いた顔をした。大輔は違和感の正体が分かったような気がした。「冷静に考えてみれば、どうして管理人の男が個別のチャットに入って来るのでしょうか」「それは私も思いましたが、作ったばかりだったので、正常に機能しているか確認しに来たとか言っていましたよ」「それでも会話に参加するのは不自然だと思いませんか。それに旦那デスノートの存在価値は何でしょうか。日頃の鬱憤を晴らすことが目的でしょう。それなのに、どうして鬱憤を溜めこんだまま旦那の殺害を勧めるのでしょうか。明らかに目的に反しています」由樹は固まって動かなくなっていた。「つまり、その死神というのは管理人のふりをした者です。もしかしたら、成子とグルである彼女の旦那かもしれません」隣から喉が鳴る音が聞こえた。全て成子と彼女の旦那が仕込んだ犯罪だった。だから、成子は死神の主張に賛成をしたに違いない。「役割分担をしていたのですよ。成子と旦那が。旦那は成子に命じて由樹さんたちを動かして殺人を犯させたのです。旦那は隠れて」そ
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第27章 ホロホロと崩れ落ち、露わになる真実

三日後、無事に退院することになった。父の治が病院まで迎えに来てくれた。 「とりあえず今は大輔が担当する依頼はないから、じっくり話し合おうじゃないか」 治の運転するナビは午前十一時と表示していた。アンジェラは眠っている時間なので、一旦事務所に戻った。久しぶりに事務所の中に入った。コーヒーグッズで装飾されたお洒落な喫茶店のような空間に入ると虚脱感に襲われた。成子の部屋にはもう死んでも戻りたくない。一秒でもあの部屋に足を踏み入れたくない。大輔は治と向かい合って座った。父に今までに知った事実を全て話した。どうやって女性全員がマインドコントロールできたのかについては解決できていないとも伝えた。「なるほど。マインドコントロールか」キリマンジャロのコーヒーを一口飲んで治は思考の世界に没頭し始めたようだ。「どうかな、やっぱあの部屋でも全員成子にマインドコントロールされているようにしか思えないんだよね」「マインドコントロールされやすい環境として、閉鎖的空間に閉じ込められていることがある。その成子の部屋はまさしく閉鎖的空間だ。そこに何日間もいた者は最良か最悪の二分法的な思考になる。他からの情報が一切遮断されるため、その成子という女の発言のみが情報と化し、教祖の言葉のようになる。それに反する者は裏切り者と見做され、攻撃の対象となる。標的にされることこそが最悪と考えられ、みんな成子に背反することを嫌がる。北九州一家殺人事件でも同じだ。家族全員がある一室で生活を共にして、外の情報が入って来ることがなかった。主犯の男に反することこそが最悪と見做されていた。尼崎事件でも、主犯の女は度々家族会議を開くなどして狭い空間に人を閉じ込めたそうだ。寝ることも許されずに連日会議に参加させられている被害者たちは思考力を失い、いつの間にか狭い空間で女と共棲することになった。北九州の事件と同じ状況になったそうだな」治の言葉を聞きながら、今回の事件もやはりマインドコントロールに関する事件だと確信できるようになった。「そしてもう一つ考えられることは、旦那デスノートに投稿している女性をターゲットにした点だ。マインドコントロールを受けやすい人の特徴として、弱点があるということだ。そのサイトを利用している女性は当て嵌まる確率が高
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最善を尽くすにはこれしかないだろう

この点に関してはすぐに解決できた。大輔は成子が常に赤い細縁の眼鏡をかけていたことを伝えた。「なるほど、そこにカメラとマイクが装着してあったんだろうな。それで撮影した映像や音声を使って、成子の旦那が成子に指示をしていたのだろう。成子のようにイヤホンと眼鏡をかけた女性が全国に派遣されて、成子の旦那が全員に指示を与えているのだろう。そうすれば全員がマインドコントロールの手法を身に着ける必要はない。」興奮が止まらない。日本国民を絶望に陥れた事件の全貌が解明されつつある。だが、一つ恐ろしいことも気付いた。「明美さんが殺されたのって、成子さんのカメラ越しに顔を見られていたからでしょう。今のところ、彼女も無目的で殺されたことになる。じゃあ、アンジェラも」「見られていたし、無目的で殺されることも考えられる」「アンジェラはアパートに戻して店に出勤しているんだよね」「そのはずだ。様子を見に行っているわけではないから知らないが」悠長にしている場合ではない。彼女は夜働きに行って早朝帰宅する生活を送っている。暗がりから手を伸ばすのは悪魔にとっては容易な作業だろう。彼女は夜の七時には家を出る。六時にはアパートに行って止めなければいけない。もう彼女を二度と危険な目に逢わせたくない。アンジェラを守るのが自分の役目だと大輔は改めて、自身に言い聞かせた。三時間後に事務所からアンジェラの住むアパートに向かい、最善を尽くす決意をした。十八時になった。大輔は鶴見にあるアンジェラのアパートに到着していた。部屋のインターフォンを押すと、懐かしい声が聞こえた。アンジェラは生きていた。「俺だ。大輔だ」すぐにドアが開いた。ドアの隙間からアンジェラの顔が見えた。「大輔、お帰り!」溌剌な声を発して彼の首に両腕を回した。部屋の中に引っ張り込まれた。玄関の三和土に立って二人で見つめ合った。アンジェラの後ろにはナコという源氏名で働いていたフィリピン人の子が立ってニヤニヤしていた。「大輔、ホントにホントに戻って来た。良かった、ホントに良かった」彼女の顔は嬉し涙でグシャグシャになっていた。再び抱き付いて唇にキスをしてくれた。ココナッツのトロピカルな甘い香りが口と鼻に広がった。アンジェラが使っているリップバームの香りだ。
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第28章 露わになった真実へ繋がる道

事務所にてパソコンを起動して旦那デスノートの管理人へ問い合わせのメールを出した。貴方はチャットのコミュニティに入って利用者と会話をしましたかという内容だ。コミュニティ内で貴方と会話したという人物が事件に巻き込まれている内容も躊躇したが書いた。その際死神の発言もスクショして添付した。メールを送信後、入院していた病院へ向かった。由樹に会いに行く目的だ。由樹にもリモートで成子を操っていた人物がいると伝えて、明美のように命を狙われる可能性がある危険を警告しに行くつもりだった。事件が解決するまで一人での行動を避けるようにと呼びかけるつもりだった。だが、由樹の見舞いは許されなかった。大輔は入院中に顔見知りになった看護師を訪ねて、彼女に身に何か起きたのかを聞いてみた。「すみません、大内さん、お久しぶりです水川です」受付で男性看護師の大内さんを呼んでもらった。由樹さんに伝えてほしい内容があると言伝をしたところすぐに来てくれた。「どうも水川さん。お変わりはないでしょうか」「おかげさまで。ところで柴崎由樹さんにお会いできないと伺ったのですが、どうかされたのでしょうか」大内の顔に迷いの色が浮かんだ。言って良いのかどうか迷っているのだろう。「実は、ここの病院に成子さんが来たと言ってずっと騒いでいるんです」「成子さんは死んだはずでは」「ですから幻覚の一種だと思われます。相当錯乱しているらしく、病室内にある物を投げ飛ばしたりするほどらしいのです。旦那さんに来てもらって、ようやく少し落ち着いてもらっているような状態なのです」この病院で会話した時の由樹は狂乱するような精神状態に見えなかった。元の生活に戻るための心の準備をしっかりしているように見えた。大輔の前では意地でも弱みを見せないようにしていたのか。それとも、大輔が退院してから何かあったのか。もしかしたら死神の手が伸びて来ているのかもしれない。「隆広さんの方にお伝えしてもらいたいことがあります。今回の事件が解決するまで、由樹さんを一人で行動させないように気を付けて下さいと言って下さい。この事件の親玉の存在に由樹さんの顔が見られていた可能性が高いためです。実際、同じ部屋にいた人が殺されて山に例の殺され方をしていたらしいので」「分かりました。柴崎さんの耳
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