Semua Bab シャレコウベダケの繁殖: Bab 51 - Bab 53

53 Bab

第16章 童貞探偵、水川大輔の地獄への入口

大輔は旦那が浮気をしているのではないかと、ある奥さんから相談を受けて調査をしている最中だった。その男がフィリピンパブに入店したため、証拠写真を撮るために大輔も追って入った。だが実際は彼も少し入りたかったため赤と黒の格子模様のドアを開いた。つい出来心だった。そんな探偵いるのかと今の大輔も当時の行動を振り返ると恥ずかしくなる。「いらっしゃいませー」片言の可愛らしい日本語でお出迎えをされる。目的の男がいる席を確認した。狭い店だったため、どこからでも写真を撮れそうだ。だが結果的に、大輔は一枚も写真を残すことができなかった。この店でアンジェラと出会って彼女に一目惚れしたからだ。始終彼女の顔しか見ていなかった。仕事どころではなかった。「お客さん若いね」大輔がソファに腰かけると、一人のフィリピン人女性が隣に座った。彼は声のした方向に顔を向けた。「リカです。よろしくです」思わず目を丸くした。彼女の容姿が大輔好みの女性と寸分の狂いもなかった。クリーム色と小麦色の中間の肌色をしている。目元は東南アジア系のパッチリ二重だ。顔も鼻も口も小さくて幼く見える。赤目メイクと着ている白銀のドレスが幼い顔立ちのせいで似合っていない。似合っていない点も気に入った。「そんなに顔見ないでよ。照れるです」見とれて彼女の顔を凝視していたようだった。「あ、ごっ、ごめんなさい」慌てて目を逸らした。童貞だとバレたかもしれないと危惧したがリカは表情を全く変えない。大輔は当時二十一歳で、まだ童貞だった。「とりあえず、何か飲みますか?」本来の目的は追っている男の遊蕩の場面を写真に収めることだった。だが、この時の大輔はリカと名乗っていたアンジェラに夢中で仕事を忘れていた。情けない探偵だ。時折思い出して恥を覚える。だが、アンジェラと初めて会えた大切でオパールのように綺麗な記憶でもある。「お兄さん、学生さんです?」ビールを飲みながらアンジェラは聞いた。普段なら学生で通すつもりだ。「いや、ちっ違うんですよっ」「じゃあ何の仕事してるのですか」「実は、そのお、探偵事務所ってところに、勤めているんですよ」「タンテーって」「ああっ、ディ、ディテクティブですよ」「ええ、凄い凄いです」アンジェラは両手を叩いて
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恥ずべき存在

今、目の前で北海道の食堂の座敷に座っているアンジェラも大輔の好みの見た目にしている。メイクはブラウン系に統一している。服装はネイビーのGジャンと薄紫色の小花柄のワンピースを着ている。アンジェラと交際して童貞を卒業できた。彼女には感謝しかない こんな男を拾ってくれるなんてと思う。「ねえ、大輔」大輔をまっすぐ見ながら、アンジェラは両手の親指と人さし指の腹を忙しなく擦っている。何か言うべきかどうかを悩んでいる動作だ。これまでも幾度も見たことがある。「やっぱ何でもない」やはり何か喋りたくても喋れない話があるようだ。こういう時は無理に聞き出してもダメだ。アンジェラは意外と頑固なところがある。あまりしつこくすると余計に内に籠る。「お待たせしました。うにいくら丼、かに汁お持ちしました」「わあ美味しそ」彼女はようやく満面の笑みを見せてくれた気がした。アンジェラは丼の写真など撮ったりせず、すぐに箸を付けた。そういうところも好きだ。大輔も丼を食べて汁を飲んだ。溶けるようなうにと弾けるようないくらが絶妙だった。うにの少々癖のある旨味が大好きだった。かに汁の味噌は普段の味噌汁とは比べものにならないほど濃厚だった。かに味噌は臭みが美味い。味噌汁にして若干の臭みを残したまま小葱を散らした汁の香りは口から鼻に抜けて行く。「美味しいね」アンジェラも満足そうだ。彼女の口角の上に一つ米粒が付いていた。「付いてるよ」教えてあげると、恥ずかしそうに手で口元を隠して舌で取った。「取れた?」「うん」何て幸せな日なんだろう。こんな日がいつまでも続くとは思っていない。だがなるべく長く続いてほしいと願う。「アンジェラ」「ん、何?」「いつまでも一緒にいたい」真剣だ。言葉に出して将来の幸福を確固たるものにしたかった。「私も」アンジェラも笑っているが本気だろう。彼女と付き合って本当に良かった。ベタな旅行を目指す大輔とアンジェラは札幌駅の方に戻った。がっかりポイントでお馴染みの時計台に向かった。「凄いね、期待に応えるように大したことないな」微笑む大輔に釣られてアンジェラも笑った。交通量の多い国道の傍に小さな洋館みたいな建物がポンッと建っているだけだ。これ以上何もない。二人は札幌テレビ塔へと向かって歩いた。
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第17章 アンジェラの紫のハンカチ、童貞の必死な愛情

千円で遊んだ翌日、大輔は父親の車を運転して店の近くのコンビニの駐車場でアンジェラが来る時間を待った。前以てアンジェラに車の特徴を教えておいた。不用心だが車のナンバーも伝えていた。アンジェラに対して精一杯誠実に振る舞ったつもりだった。しばらく待っていると窓をノックされた。アンジェラが立って右手を振っている。車の施錠を解いて助手席の扉を開けてあげた。彼女はそそくさと車内に入った。「大輔、ありがとう。私嬉しいです」「いやっ、お店の中で会わなくて良いんですか?」「うん。だって大輔とは、もっと仲良くなりたいから」シンプルな言葉が一番心に響く。アンジェラの日本語はかなり上手だが、回りくどい言い回しなどは知らない。直接大輔の琴線に触れる。好みの顔貌の女性からの直接的な愛の言葉は大輔を悩殺させる。「大好きだよ」「おっ、俺も。だよ。」照れながら言ってようやく車を出した。この日は短い距離をドライブしながらお喋りして終わった。朝の六時に彼女のアパートの前に到着した。部屋の中にはツヨシという偽装結婚相手がいるため、少し遠くに降ろしてくれるように頼まれた。「ありがとね、また仕事終わりになっちゃうけど、来てくれたら嬉しい」森閑とした早朝の空気の中で、ピンヒールの音を響かせながらアンジェラは去った。また会いたい。大輔は目を瞑ってハンドルに額を付けてアンジェラへの恋慕の気持ちと向き合った。確実に自分は恋をしていることを噛み締めた。当時のことを思い出して大輔は懐かしさを覚えて一人で感動していた。あの時の自分たちがここまで関係を築けているだなんて、あの時は思いもしなかったなと。札幌テレビ塔のある広場に到着した。ところどころに小さな花が咲いており、気持ちの良い場所だ。「最初は車から出られなかったのに、こうやって二人で外を歩けるなんて感動しちゃったな」出会った頃のことを考えていたため、現在の恵まれた環境に感謝できた。「ホント。大輔と会ってから人生変わったんだ」「いやあ、俺の方が変わったよ」「えー、そうなの。私の方が変わったんだよ」テレビ塔のある広場から移動してチョコレートケーキが有名な洋菓子店に向かった。時刻は三時半。丁度おやつの時間だ。二条市場の方に戻るように歩いた。車の交通量が相変
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