静謐な夕暮れ、再び霧の都市に降り立った仲間たちの前に、あの白衣の男――〈記録守〉オルネウスが現れる。「ハウリオス・ヴァルト。魔界の騎士でありながら、かつてこの地を守った誇り高き者よ。」その声は決して裁くためのものではなかった。むしろ、彼の“選択”に意味を与えようとする温かな響きを帯びていた。「お前の刃は、守るためにあった。だからこそ、私は問う。――誇りをどこに遺したのかを。」ハウリオスは一瞬目を閉じ、そして静かに剣を地に突き立てた。「この刃に……まだ託せるものがあると、思えた。」その答えに、オルネウスは深く頷く。「ならば、誇りと共に旅を続けるがよい。残された者のために、な。」――その裁定により、ハウリオス・ヴァルトは正式に〈共闘者〉として認められることとなった。そして、いよいよ彼らは次の段階へと進む。「問題は、“どうやって魔界へ渡るか”……だな。」銃が呟き、皆がうなずく。だが、ここでタカフミとアマネが口を開く。「申し訳ないが、私たち現代人の記憶には、“魔界”への具体的な情報は存在しない。」「ま、病院帰りの婆さんだったあたしが、そんな秘密の通路知ってるわけないさね。」全員が沈黙したそのとき、オルネウスが歩み寄ってきた。「記録の断片によれば、古代、“境界”を超えるために使われたという“影の門”が存在した。」「……どこに?」「今は誰も使えぬ“空中遺跡”のひとつ――〈ヴェル・セリア浮遊城〉。そこに“影の門”が残されている可能性がある。」それは、かつて神々と魔が均衡を保っていた時代に用いられていたという、異界への裂け目だった。「じゃあ、そこへ向かおう。」ルークの言葉に、誰もがうなずく。――ついに、魔界への扉がその姿を現す。希望と覚悟を携えて、彼らは“世界の果て”へと歩を進めるのだった。
Last Updated : 2025-07-11 Read more