Semua Bab 『ふたつの鼓動が気づくまで』 双子の妊娠がわかった日に離婚届を突きつけられました: Bab 11 - Bab 13

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第十一話 因縁の対決②(side:幸恵)

「宗司先輩もお辛いでしょうね。家同士が決めた政略結婚で、好きでもない女と無理やり結婚させられるなんて」 宗司を哀れむ風を装い、その実、殊更に充希を蔑むような発言に私の怒りはますます大きくなる。「でも、あと一年の辛抱です。宗司先輩はあと一年で充希と離婚できます。そうすれば宗司先輩は自由です。誰でも好きな相手と結婚することができます」「だからってあなたが選ばれるとは限らないわよ」 さも自分が宗司の好きな相手であるかのような言い方に、私は虫唾が走った。「いいえ。この一年で私は必ず宗司先輩の心を奪ってみせます。───いえ、取り戻してみせます。そう、本来あるべき状態に戻すだけです。宗司先輩は私と結婚するはずだったんです。そしてそうなるべきだったんです」「あなたが大和田家を去ることになった理由は詳しくは知らないわ。でも宗司も本当にあなたのことが好きなら、それだけのことで交際が終わったりしなかったはずよ」「そんなことはありません。あの出来事はとても大きなスキャンダルになり得る事案だったので、宗司先輩は泣く泣く身を引いただけです。宗司先輩も私のことが好きなんです。それは中高一貫校時代の先輩の態度を見ていればわかります。 それに先日だって、宗司先輩は私とランチに行ってくれたんです。宗司先輩はとてもお忙しいのに、わざわざ私の為に時間を割いてくださったんですよ」 私は一瞬、彩寧に対して空恐ろしさを感じた。 恍惚とした表情で宗司との関係を語る彩寧の顔は、妄信的にアイドルを崇拝する熱狂的なファンにも似た一途感があったのだ。「中高一貫校時代に宗司があなたのことを好きだったですって? どこがよっ! 宗司はあなたに纏わりつかれてとても迷惑していたじゃない!」 私は少し言い過ぎかもしれないと思いつつ、はっきりと彩寧に言ってやった。 少しは彩寧にダメージを与えられるかと思ったけど、狂信者の彩寧に私の言葉は何一つ響かないようだった。「中高一貫校時代、一度も彼氏ができず、お寒い青春時代を過ごした幸恵部長に何がわかるんですか? 恋愛経験底辺の人が笑わせないでください」 そう馬鹿にされたが、私はカッとはならなかった。 そのことは幸いだったが、しかしそれとは別に私は彩寧に傷つけられていた。 中高一貫校時代、周囲の同級生でカップルが成立するのを横目に、そうした恋愛に縁がなかったこ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-23
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第十二話 私の思惑(side:彩寧)

 本当に驚いた。 まさか幸恵部長と出くわすなんて思いもしなかったわ。 幸恵部長は本当に相変わらずね。 直情的というか、猪突猛進というか───。 幸恵部長と充希は今も仲が良いようだけど、でも幸恵部長なんかに私の邪魔はさせないわ。 私がどれだけ苦労して宗司先輩の会社に入社したか……。 母の浮気が原因で離婚騒動になり、私も母に連れられて大和田家を去ることになったけど、それからの数年は、ただただ宗司先輩の近くに戻る為だけに費やしてきたんだから。 ようやく念願が叶い、そしてついにまた宗司先輩と一緒にランチに行けたんですもの。 こんなに幸せなことはないわ。 この幸せを絶対に───絶対に手放したりするもんですか。 そういえば───。 その先日のランチの帰り道、会社に戻ったら受付に充希がいたわね。 私と宗司先輩が一緒にいる姿を見た時の充希のあの顔───。 まるで自分が立っている地面が崩れ、足元が抜け落ちたかと思うくらいのショックを受けていたようね。 それを見た私は、さらにショックを受けさせてやろうと、これ見よがしに宗司先輩の腕に抱き着いて見せつけてやったけど、効果てきめんだったようね。 真っ青な顔で口をポカーンと開けて、今にも泣き出しそうなくらい震え出していたもの。 いい気味だわ。 それくらいショックを受けて当然よ。 充希のことを姉だと思ったことなんて一度もない。 充希なんて、結局のところ、お父さんが浮気相手との間に作った子供じゃない。 私こそが大和田家の正式な娘なのに、私より年上だからって長女面して……。 本当にムカつくわ。 私が大和田家を去る時も、充希は何もしてくれなかった。助けてくれなかった。手を差し伸べてもくれなかった。 それどころか私がいなくなった後、よりにもよって宗司先輩と結婚するなんて……。 絶対に許せない。 私がどれくらいはらわたが煮えくり返り、気が狂いそうなほど怒りが全身を駆け巡ったか知りもしないでしょうね。 充希はいつもそう。 何もしていないのに───ただそこにいるだけなのに、努力している私を差し置いて全てを奪っていってしまう。 こんな不公平が許されていいはずがないわ。 絶対に充希は不幸になるべきよ。 でも、まずは充希に奪われたものを取り返さなくちゃ。 宗司先輩を充希から引き剥がし、私のもとに取り返さ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-28
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第十三話 私が社長夫人(side:彩寧)

 ───ねえ。総務部に中途採用で入社した人って、篠原 彩寧(しのはら あやね)って人よね? ───そうよ。この時期に中途採用って珍しいわね。 ───それに総務部は人手が足りてるの。人員を補充する必要なんてなかったのに。 ───そのことなんだけど、私、人事部の同期にすごい秘密を教えてもらっちゃった。 ───すごい秘密? ───そうなの。その篠原 彩寧って人は社長と同じ中高一貫校の出身なんですって。 ───そうなんだ。ひょっとして幼馴染とか? ───とにかく社長の知り合いというか旧知であることは間違いないわね。 ───ひょっとして篠原 彩寧の正体は社長夫人とか? ───えー? なんでそうなるのよ? ───だって社長って幼馴染と結婚したそうじゃない。 ───じゃあ、その篠原 彩寧は社長夫人という正体を隠して入社して……。 ───密かに私たちや会社の様子を社員目線で偵察してるとか? ───やだっ。こわいっ。 ───でもそういうの憧れるかもっ! ───(一同、大笑い) ───あ、でもその篠原 彩寧が社長と二人でランチに行ってるのみちゃったかも。 ───私も見た見た。社長の腕に抱きついて楽しそうに二人で帰って来てたわね。 ───これはあり得るわね。篠原 彩寧が実は社長婦人であるという説。 ───篠原 彩寧は要注意ね。 ───そうね。仲良くしておいて損はなさそうね。 ───(一同、示し合わせたように顔を見合わせて頷く)「皆さん、お疲れ様です。こんなところで集まって何のお話ですか?」「「「し、篠原 彩寧さんっ!!!」」」「あ、すみません。なんだかとても驚かせちゃったみたいですね」「え、ええ。い、いいのよ。それよりもうお仕事には慣れました?」「わからないことがあったら何でも聞いてくださいね」「私は会社に同期がたくさんいるので他部署のことも良く知ってますよ。知りたいことがあったらどんどん質問してくださいね」「わあ、ありがとうございます。皆さんのように優しくて親切な先輩がいてくださって嬉しいです」「ね、ねえ、彩寧さん。先日、社長とランチに行ってませんでした?」「(ちょ、ちょっと、あなた! 急に何を聞いてるのよ!)」「(いいじゃない、これくらい聞いたって!)」「ああ、あのことですね。すみません。多くの社員の方に見られちゃったみ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-31
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