澄依のぎこちなさも、不安そうな様子も、蒼空は全部ちゃんと見ていた。けれど、それは一朝一夕で消えるものじゃない。だからこそ彼女は、少しずつ、ゆっくりと澄依の不安を和らげていこうと思った。この家に完全に慣れて、心から安心して、楽しい一年を過ごせるようになるまで。せめて自分にできる限り、この子の子ども時代を、もう少しだけ幸せなものにしてあげたい。朝食ができあがり、一同は賑やかに話しながら食事を終えた。そしていつものように、蒼空がキッチンへ洗い物をしに向かう。遥樹も当然のようについてくる。さらに、澄依まで後ろをついてきた。蒼空は澄依に外で待っているよう言った。すると澄依は両手をお腹の前でぎゅっと握り、顔を上げる。「澄依もお皿洗える。やり方知ってるよ」遥樹は蒼空をちらりと見た。蒼空は微笑みながら言う。「ありがとう、澄依。でも背が届かないから、リビングの隅にある椅子持ってきて、踏み台にしようか」「うん!」澄依はすぐに頷き、ぱたぱたと走っていった。遥樹は眉を上げる。蒼空は小声で説明した。「何か役割がある方が安心できるの。少しでも『自分の居場所』があるって感じられた方がいいでしょ。そうじゃないと、この子ずっと不安なままだから」遥樹は手を伸ばし、彼女の頬を軽くつねった。「うちの蒼空は優しくて綺麗で最高だな」蒼空は彼を睨む。「いいから早く洗って」「仰せのままに」キッチンのシンク前は二人立つのがやっとだった。遥樹と澄依でちょうど埋まってしまい、蒼空は端で見守るしかない。澄依は静かに、きちんとした手順で、まるで採点でもされるかのように丁寧に自分の茶碗を洗っていく。洗い終えたあと隣を見ると、遥樹はすでに他の食器までほとんど片づけ終えていた。澄依はぽかんとする。その時、頭上から青年の明るい声が降ってきた。優しく褒める声音だった。「すごく綺麗に洗えてる。偉いな」澄依の目がぱっと輝く。小さく嬉しそうに言った。「ありがとう、遥樹お兄ちゃん......」澄依は遥樹を見て、それから不安そうに蒼空へ視線を向けた。無垢で澄んだ瞳と、隣で満足げに笑っている男の視線。こんな状況で、蒼空に何が言えるというのか。彼女は澄依へ柔らかく笑いかけた。「うん、そうだ
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