瑛司はもう一つ会食を終えてから病院へ向かった。病院に着くなり、表情を強張らせたゴウの姿が目に入る。彼が遥樹の手配で蒼空のそばに付けられている人間だということは分かっていた。ここ数日、蒼空の病室の外をうろついているのを、来るたびに見かけていたからだ。あたりを見回しても蒼空の姿はなく、そのうえゴウの顔色があまりにも悪い。何かあったのだと察し、瑛司は声をかけた。「蒼空は?」ゴウは長く遥樹のそばにいる。あの日、病院の廊下で遥樹と瑛司が言い争っていた一部始終も、彼は見ていた。彼らの微妙な関係など、察しがつかないはずがない。普段なら、上司であり同時に恋敵かもしれないこの男に、蒼空のことを一言たりとも話すことはなかっただろう。だが今は状況が違う。蒼空は拉致された可能性が高い。感情で動いている場合ではないし、何より瑛司は手段も人脈も持つ男だ。もしかしたら、彼の力で蒼空を見つけ出せるかもしれない。そう判断し、ゴウははっきりと言った。「関水さんは、拉致されたかもしれません」瑛司の鋭い眉が瞬時に寄る。「詳しく話せ」ゴウは、先ほど起きた出来事を、些細なことまで残らず瑛司に伝えた。話を聞き終えた瑛司の眉目に、かすかな殺気が走る。「わかった」彼はスマホを取り出しながら言った。事が事だけに、二手に分かれて動くより、一緒に行動したほうが蒼空を見つけるのは早い。そう考え、ゴウは瑛司を自分の車に乗せた。ゴウはまず遥樹に電話をかけ、状況を伝えようとした。だが肝心なときに、遥樹のほうで何かあったのか、いくら呼び出しても出ない。眉を深くひそめ、ゴウは仲間たちにも連絡を入れ、道具を持って病院のほうへ来るよう指示した。電話の合間に瑛司を見ると、彼はすでに病院正門の監視カメラの映像を手配していた。5分も経たないうちに、映像は瑛司のスマホに送られてきた。そこには、蒼空の目の前に一台の車が停まり、彼女が俯いた隙に二人の男が近づき、蒼空を殴って気絶させ、そのまま車に乗せて走り去る様子がはっきりと映っていた。瑛司は整った顔立ちのまま、陰鬱な表情でスマホを握りしめ、通話の相手に命じる。「この車の行き先を洗い出せ」映像は高解像度で、車の後部のナンバープレートもくっきり確認できた。ナンバーさえ
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