All Chapters of 魔道AI〈ゼロ〉と落第生: Chapter 61 - Chapter 70

110 Chapters

三つ巴の戦場

オブシディアン機関の飛行船から降下した黒ローブの集団は、予想外の行動に出た。「目標確認。異常演算管理局部隊」指揮官らしき男が、政府軍に向けて術式を発動する。「殲滅開始」「何っ!」ヴァイス局長代理が驚愕する。「オブシディアン機関が、我々を攻撃している!」黒ローブの術者たちが一斉に魔術を放つ。その威力は凄まじく、政府の装甲車が次々と破壊されていく。「まさか……敵同士が戦うのか?」フィアが状況を理解できずにいた。「どういうことだ?」トウヤ先生も困惑している。「オブシディアン機関と政府は、敵対関係だったのか?」その時、オブシディアン機関の指揮官が学院に向けて叫んだ。「セントレア魔術学院の諸君!」「我々は君たちの敵ではない!」「政府こそが真の敵だ!」その言葉に、クロたちは驚いた。「俺たちの敵じゃない?」「でも、今まで散々……」ジンも疑問を抱く。「これまでの攻撃は何だったのか」オブシディアン機関の指揮官が続ける。「我々の目的は、異常演算者の保護だ!」「政府による弾圧から、君たちを守りたい!」「これまでの攻撃は、君たちの力を測るためのテストだった!」衝撃的な真実が明かされる。今まで敵だと思っていた組織が、実は味方だったのか。「信じられない……」サクラが呟く。「でも、今政府と戦ってるのは事実よ」ミナが指差す。確かに、オブシディアン機関は政府軍と激しく交戦している。装甲車や戦闘ヘリが次々と撃墜されていく。「どうします?」レインがトウヤに聞く。「信用するのか?」「わからん……」トウヤも判断に迷っている。「でも、今は政府が共通の敵だ」オルヴェイン理事長が決断する。「一時的に共闘しましょう」「理事長……」「敵の敵は味方、という言葉もあります」理事長の判断で、学院はオブシディアン機関との共闘を選択した。「よし、連携攻撃だ」クロが異常演算を発動する。「雷帝召雷陣!」巨大な雷の陣が政府軍を襲う。ジンも同時に攻撃する。「雷神降臨!」二人の異常演算に、オブシディアン機関の術式が合わさる。三重の攻撃が政府軍を圧倒していく。「馬鹿な……」ヴァイス局長代理が狼狽する。「計画が完全に狂った……」Dr.ヴェルナーが慌てて装置を操作する。「異常演算封印装置、最大出力!」強力な封印波が発射される
last updateLast Updated : 2025-09-15
Read more

オブシディアン基地

飛行船が雲海を抜けると、眼下に巨大な島が現れた。「うわあ……」サクラが窓に顔を押し付けて驚嘆する。「すごい場所ね」島全体が要塞のような造りになっている。中央には巨大な塔がそびえ立ち、周囲には研究施設や訓練場が点在していた。「ここが、我々の本部です」ルーク司令官が誇らしげに説明する。「《オブシディアン・アイランド》と呼んでいます」「政府も知らない、完全な秘密基地です」飛行船が着陸すると、多くの人々が出迎えに来ていた。黒いローブを着た術師たちだが、敵意は感じられない。むしろ、歓迎されているようだった。「皆さん、ようこそ」一人の女性が前に出た。30代前半くらいの、知的で美しい女性。「私はエリス・ノヴァ、研究開発部門の責任者です」「初めまして」クロたちが挨拶する。「君たちの噂は聞いています」エリスが微笑む。「7人の連携で虹色の魔法陣を展開したとか」「それは……」「素晴らしいことです」エリスが感動したように言う。「我々が長年研究してきた理論の実証です」「理論?」ジンが興味を示す。「異常演算者同士の共鳴理論です」エリスが説明する。「個人の力には限界がある」「しかし、複数の異常演算者が共鳴すれば、その可能性は無限大」「まさに君たちが証明してくれました」ルーク司令官が案内を始める。「まずは、基地の案内をしましょう」「施設の規模に驚くと思いますよ」――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――基地の見学は、想像を超える規模だった。「ここは図書館です」エリスが巨大な建物を指差す。「世界中の魔術書を収集しています」「特に、異常演算に関する資料は世界最大級」「すげぇ……」カイが圧倒される。「本がこんなにあるなんて」「次は訓練施設です」今度は巨大なドーム状の建物。中に入ると、学院の何倍もある訓練場が広がっていた。「ここで、異常演算者たちが修行しています」見ると、確かに数十人の術師が訓練している。みんな、クロやジンと同じような強力な魔力を持っているようだった。「あんなに異常演算者がいるのか……」クロが驚く。「世界中から集まってきました」ルークが説明する。「政府の弾圧から逃れて、ここに保護されている人たちです」「政府の弾圧……」「各国と
last updateLast Updated : 2025-09-16
Read more

新たな力の覚醒

オブシディアン基地での初日の訓練が始まった。「おはようございます、皆さん」エリス・ノヴァが訓練場に現れた。彼女の後ろには、見たことのない装置が運び込まれている。「今日は、君たちの潜在能力を測定します」「潜在能力?」クロが首を傾げる。「現在の君たちは、本来の力の30%程度しか使えていません」エリスが説明する。「異常演算には、まだ未開拓の領域がある」「それを覚醒させるのが、今日の目的です」巨大な装置が作動すると、訓練場全体に特殊な波動が満ちた。「これは……」ジンが異変に気づく。「魔力が活性化されている」「正解です」エリスが微笑む。「魔力増幅装置です」「この空間では、通常の3倍の魔力を発揮できます」クロが左手に雷を宿すと、いつもより明らかに強力だった。「すげぇ……こんなに違うのか」他の仲間たちも、魔力の増大を実感している。「では、まず個別の能力測定から」エリスが測定器を指差す。「クロさんから始めましょう」クロが測定台に立つと、装置が彼の魔力を分析し始めた。「普通の雷術を発動してください」クロが軽く雷を出すと、数値が跳ね上がる。「通常時の2.8倍……まずまずですね」「次は、感情を込めた状態で」クロが仲間たちを思い浮かべると、雷の色が変わった。金色の光が混じり、威力が一気に上昇する。「4.2倍!素晴らしい」エリスが興奮する。「でも、これでもまだ限界ではありません」「限界じゃない?」「今から、真の覚醒を試してみましょう」エリスが別の装置を起動する
last updateLast Updated : 2025-09-17
Read more

政府基地襲撃作戦

翌朝、オブシディアン基地の作戦会議室。「これが目標です」ルーク司令官が立体地図に光る点を投影した。「政府研究基地『サイト07』。ここに異常演算者が3名拘束されています」クロたち7人が緊張した表情で地図を見つめる。エリス・ノヴァが資料を手に補足した。「1名は17歳の少女、風属性の異常演算者リア・カラス」「2名目は20歳の青年、土属性のマルク・ジーベン」「そして……」エリスの表情が暗くなる。「3名目は15歳の少年、光属性のレオ・フォルティス」「15歳……」サクラが胸を痛める。「私たちより年下じゃない」「ああ」ルークが拳を握る。「政府は年齢など関係なく、異常演算者を実験材料にする」「許されるはずがない」その時、立体地図に赤い警告マークが複数現れた。「ただし、この基地の防御は強固です」ルークが警戒すべきポイントを指差していく。「自動迎撃システム、魔力探知網、そして……」「対異常演算兵器『アークキラー』」エリスが重々しく説明する。「異常演算を一時的に無効化する最新兵器です」「厄介だな……」ジンが分析する。「私たちの最大の武器が封じられる」「しかし、対策もあります」ルークが小型装置を取り出した。「異常演算増幅器です」「出力を3倍に増幅できますが……」「一度使用すると24時間は異常演算が使用不能になります」諸刃の剣だった。「使うタイミングが重要になるな」レインが短く言う。「では、作戦の詳細を説明します」ルークが地図を拡大する。
last updateLast Updated : 2025-09-18
Read more

基地突入開始

深夜23時30分。政府研究基地『サイト07』の上空に、オブシディアン機関の飛行船がステルス状態で接近していた。「目標確認。基地全景をスキャン中」操縦士が報告する。立体地図には、厚いコンクリート壁に囲まれた要塞のような施設が映し出されていた。「予想以上に厳重だな……」クロが窓から基地を見下ろす。巨大なサーチライトが夜空を照らし、警備兵が規則正しく巡回している。「でも、これで最後だ」ジンが装備の最終確認をする。「あの中にいる3人を、必ず救い出す」ルーク司令官が立ち上がった。「作戦開始まで、あと30分です」「各自、最終準備を」7人が円陣を組む。「みんな、準備はいいか?」クロが仲間たちを見回した。「もちろんよ」ミナが親指を立てる。「こんなに装備が充実してるなんて、初めて」カイが拳を鳴らす。「俺、なんかワクワクしてきた」「緊張感を保ちなさい」フィアが釘を刺す。「相手は本気で殺しにくる」サクラが小さく息を吸った。「でも……やらなくちゃいけないことなの」「同じ異常演算者を見捨てるわけにはいかない」レインも頷く。「最後まで、一緒に戦う」ジンが手を差し出した。「誓おう。全員で帰ってくると」他の6人も手を重ねる。「絶対に帰る」「みんな一緒に」「作戦開始!」ルークの号令で、飛行船から降下が始まった。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――基地周辺の森。7人
last updateLast Updated : 2025-09-19
Read more

研究者との対決

「7人の異常演算者の同時実験……素晴らしいじゃありませんか」Dr.ヴェルナーが狂気に満ちた笑みを浮かべる。研究室は完全に封鎖され、カイたち5人と救出した2人が閉じ込められていた。「何が実験だ!」カイが炎を纏った拳を振り上げる。「俺たちは実験動物じゃねぇ!」「《焔拳・爆打》!」炎の拳がDr.ヴェルナーに向かって飛ぶ。しかし、研究者の前に光の壁が現れ、攻撃を防いだ。「無駄ですよ」Dr.ヴェルナーが余裕の表情を見せる。「この研究室は、異常演算者対策が完璧です」室内の壁や天井から、複数のアークキラーが起動する。「うぐ……」「力が……」カイたちの異常演算が急激に弱体化していく。「これで、あなた方も普通の人間です」「普通の人間が、どれだけの痛みに耐えられるか」「実験してみましょう」研究者が装置のスイッチを入れると、床から電流が走った。「うわああ!」5人が電気ショックに襲われる。「やめて……」サクラが苦痛に顔を歪める。「こんなこと……ひどすぎる……」「ひどい?」Dr.ヴェルナーが首を傾げる。「これは科学の進歩のためです」「人類の未来のための、尊い犠牲なんですよ」ミナが歯を食いしばる。「科学って……こんなことじゃない!」「人を苦しめるのが科学なの?」「あなたたちには理解できないでしょうね」研究者が冷たく答える。「所詮、実験材料ですから」その時、救出されたレオが立ち上がった。15歳の少年の瞳に、強い怒りが宿っている。「僕の……仲間を……」
last updateLast Updated : 2025-09-20
Read more

基地からの脱出

『緊急事態発生!全職員は避難してください!』基地全体に響く警報の中、クロたち10人は必死に脱出路を探していた。「こっちだ!」ジンが先頭に立ち、廊下を駆け抜ける。クロは異常演算増幅器の副作用で足がふらつくが、サクラとリアが両側から支えてくれていた。「大丈夫?」サクラが心配そうに聞く。「なんとか……」クロが苦笑いする。「でも、しばらく異常演算は使えないな」《24時間使用不可。ただし、身体機能に問題なし》ゼロの声が響く。後方では、マルクとレオが疲労困憊の状態で歩いている。長期間の監禁で体力が著しく低下していた。「無理しないで」ミナが二人を気遣う。「私たちが守るから」「ありがとう……」レオが涙を流す。「本当に……助けてもらって……」カイが明るく答える。「当たり前だろ。俺たちは仲間だ」その時、廊下の向こうから武装した警備兵が現れた。「逃走中の実験体を発見!」「制圧しろ!」魔術銃が一斉に火を噴く。「みんな、伏せろ!」フィアが氷の壁を展開して弾幕を防ぐ。しかし、敵の数は多い。「このままじゃ、袋のネズミだ」レインが土の壁で追加防御を作る。「別のルートを探そう」ジンが通路の構造を確認する。「この先に、非常階段がある」「でも、そっちにも敵がいるかも」リアが風で周囲の気配を探る。「……3人いる」「よし、突破だ」カイが拳を握る。「俺が先頭で突っ込む」「待って」サクラが制止する。「クロが戦えない今、無茶しちゃダメ」「でも……」「私に任せて」リアが前に出た。「風属性の本気、見せてあげる」少女が両手を広げると、廊下に巨大な竜巻が発生した。警備兵たちが一瞬で吹き飛ばされる。「すげぇ……」カイが感嘆する。「風ってこんなに強いのか」「私たち風属性は、空間制圧が得意なの」リアが少し誇らしげに答える。「道は開けました」「よし、急ごう」10人が非常階段に向かって走る。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――階段を上がりながら、外の状況が見えてきた。基地の外では、オブシディアン機関の飛行船が待機している。「ルーク司令官たちがいる」ジンが窓から確認する。「でも、まだ距離がある」その時、基地の屋上に巨大な影が現れた。政府軍の戦闘ヘリコ
last updateLast Updated : 2025-09-21
Read more

新たな絆と決意

オブシディアン基地に帰還してから三日が経った。医務室では、救出された3人の異常演算者が順調に回復していた。「おはよう、レオ」クロが15歳の少年のベッドサイドに座る。「調子はどう?」「だいぶ良くなりました」レオが微笑む。光属性の異常演算者らしく、その笑顔は周囲を明るくする。「クロさんのおかげです」「俺のおかげじゃない」クロが首を振る。「お前が頑張ったからだ」隣のベッドでは、マルクが土の魔術でリハビリをしていた。20歳の青年は、体格は良いが心には深い傷を負っている。「まだ悪夢を見るんです……」マルクが震え声で言う。「実験室での記憶が……」「大丈夫」ジンが落ち着いた声で答える。「それは自然な反応だ。時間が解決してくれる」「僕たちも、最初は怖かった」リアが風で医務室の空気を循環させながら言う。「でも、みんながいるから乗り越えられた」17歳の少女は、3人の中では最も元気だった。風属性の力で、基地の空気を常に新鮮に保っている。「私たち、本当に恵まれてるのね」「そうだな」クロが窓の外を見る。基地では、多くの異常演算者たちが自由に活動していた。誰もが、政府の迫害から逃れてきた人たちだ。「でも、まだ苦しんでる人たちがいる」クロが拳を握る。「俺たちが救えなかった人たちも」「だからこそ、強くならなければならない」ジンも同意する。「今回の作戦で、政府の本性がよくわかった」その時、医務室の扉が開いた。「みんな、元気?」現れたのは、カイ、ミナ
last updateLast Updated : 2025-09-22
Read more

最後の特訓

オブシディアン基地での2日目の朝。政府の最後通告まで、残り48時間。「今日は、実戦形式での総合訓練を行います」エリス・ノヴァが10人の前で説明を始めた。「昨日の共鳴は素晴らしかった。しかし、戦場では様々な妨害が入ります」基地の特別訓練場には、巨大なホログラム装置が設置されていた。「これは『バーチャル戦場システム』です」「実際の戦闘環境を完全再現できます」ルーク司令官が補足する。「政府軍の装備、戦術、地形条件まで、すべて実データに基づいています」クロたち10人が装置の前に並ぶ。「準備はいいですか?」「はい」「では、開始します」ホログラムが起動すると、訓練場が一瞬で戦場に変わった。荒廃した市街地、破壊されたビル、そして遠くから聞こえる銃声。「うわあ……」サクラが驚く。「本物みたい……」「本物以上です」エリスがヘッドセットを装着する。「この中では、実際に怪我もします。死ぬこともあります」「死ぬって……」「安全装置はありますが、痛みも恐怖も本物です」レオが震え声で聞く。「僕たち、死なないですよね?」「大丈夫」クロが励ます。「みんなで一緒に戦えば、絶対に生き残れる」その時、戦場に敵が現れた。政府軍の兵士たち。現実と区別がつかないほどリアルな敵だった。「目標確認!異常演算者を制圧しろ!」「アークキラー、展開!」複数の封印装置が起動し、10人の異常演算が弱体化していく。「うぐ……」「力が出ない……」「これが実戦です」エリスが冷静に解説する。「敵は必ず、あなた方の弱点を突いてきます」「どうすればいいんですか?」ミナが聞く。「連携です」ジンが答える。「一人では限界がある。しかし、10人なら……」ジンが雷を発動するが、出力は通常の半分以下だった。しかし、他の9人がサポートに回る。クロの雷とジンの雷が共鳴し、アークキラーの影響を相殺した。「やった!」「でも、まだ敵がいます」政府軍の特殊部隊が次々と現れる。その数、50人以上。「多すぎる……」「でも、やるしかない」クロが先頭に立つ。「みんな、昨日の連携を思い出して」10人が円陣を組み、手を繋ぐ。虹色の魔法陣が展開され、戦場を照らした。「うおおおお!」合体した異常演算が敵を襲う。しかし、政府軍も反撃してくる。「対異常演算
last updateLast Updated : 2025-09-23
Read more

全面戦争開始

オブシディアン基地の上空に、政府軍の戦艦が浮かんでいた。その数、12隻。地上部隊も含めれば、総兵力は2000名を超える。「まさか、これほどの戦力を投入してくるとは……」ルーク司令官が窓から外を見つめて呟く。基地の中央広場では、10人の異常演算者が政府軍を見上げていた。「うわあ……本当にやる気だ」カイが圧倒されている。「でも、やるしかないのよね」ミナが拳を握りしめる。その時、空から巨大なスピーカーの音が響いた。『オブシディアン基地の異常演算者たちに告ぐ』ヴァイス局長代理の冷たい声だった。『最後通告を行う』『即座に投降し、政府の管理下に入れ』『これを拒否する場合、基地ごと殲滅する』『制限時間は10分だ』スピーカーの音が止むと、重い沈黙が流れた。「10分か……」ジンが冷静に呟く。「短い時間だな」「でも、答えは決まってる」クロが前に出る。「俺たちは絶対に投降しない」サクラが不安そうに聞く。「本当に大丈夫?こんなにたくさんの敵と戦って……」「大丈夫」クロが振り返って微笑む。「俺たちには、負けない理由がある」フィアが冷静に分析する。「戦術的には圧倒的不利ね」「でも、諦めるつもりはない」レインも短く言う。「最後まで戦う」新加入の3人も決意を固めていた。「僕たちも一緒です」レオが震え声で言う。「怖いけど……みんなと一緒なら」リアが風で髪をなびかせながら言う。「私も最後まで戦います」マルクも土を握りしめる。「ここが僕たちの居場所だから」その時、基地の放送が響いた。『全職員に告ぐ』ルーク司令官の声だった。『政府軍が基地への攻撃を開始する』『戦闘に参加できない職員は、地下シェルターへ避難せよ』『我々は最後まで戦う』基地の職員たちが慌てて避難を始める中、10人だけは動かなかった。「俺たちはここに残る」クロが宣言する。「基地を守るために」エリス・ノヴァが駆けつけてきた。「あなた方も避難してください」「いえ、ここで戦います」ジンが答える。「僕たちの戦いですから」「でも……」「大丈夫です」サクラが優しく言う。「私たち、絶対に勝ちますから」エリスの目に涙が浮かぶ。「……わかりました」「でも、無理はしないでください」「あなた方は、私たちの希望なんです」その言葉に、10人
last updateLast Updated : 2025-09-24
Read more
PREV
1
...
56789
...
11
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status