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魔道AI〈ゼロ〉と落第生 のすべてのチャプター: チャプター 81 - チャプター 90

110 チャプター

新たな旅立ち

大戦から一週間が経った。オブシディアン基地は、以前とは全く違う雰囲気に包まれていた。世界中から集まった異常演算者たちで賑わい、まるで一つの町のようだった。「すごい人だな」カイが食堂を見回して呟く。「こんなに仲間がいるなんて」「そうね」ミナも同意する。「世界中に、私たちと同じ境遇の人がいたのね」12人は、いつもの席で朝食を取っていた。しかし、今日は特別な日だった。「みんな、集まってくれてありがとう」クロが切り出す。「実は……話がある」仲間たちの視線が、クロに集まる。「何?」サクラが聞く。「昨日、ルークさんとアレックスさんから提案があったんだ」クロが説明を始める。「世界中の異常演算者組織を統合して、一つの大きな組織を作りたいって」「統合?」ジンが眉をひそめる。「つまり、世界異常演算者連合のようなものか」「そう。そして……」クロが少し躊躇する。「その代表に、俺を推薦したいと」「え!」みんなが驚く。「クロが代表?」「冗談でしょ?」「いや、本気らしい」クロが苦笑いする。「俺も驚いたんだけど」「でも、確かにクロはリーダーとして優れている」ジンが冷静に分析する。「今回の戦いでも、君の判断が勝利に繋がった」「そうよ」フィアも同意する。「あなたがいたから、私たちは勝てた」他のメンバーも次々と賛同する。「クロなら、適任だ」「みんなをまとめられる」
last update最終更新日 : 2025-10-09
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日常への回帰

WAU設立から二週間が経った。オブシディアン基地は急速に拡張され、今では立派な町のような規模になっていた。新しい建物が次々と建てられ、世界中から異常演算者たちが集まってくる。しかし、その喧騒の中で――12人は、ある重要な決断を下そうとしていた。「みんな、本当にいいのか?」ルーク司令官が確認する。「学院に戻るって……」「はい」クロが頷く。「俺たち、まだ学生ですから」会議室には、12人とルーク、エリスが集まっていた。「でも、WAUの代表評議会は?」エリスが心配そうに聞く。「学業と両立できるの?」「大丈夫です」ジンが冷静に答える。「重要な決定は、週末に基地に戻って行います」「平日は学院で普通の学生として過ごす」「それが、僕たちの望みです」12人の意志は固かった。確かに、世界を変える大きな役割を担っている。しかし、それでも彼らは10代の若者。普通の学生生活も送りたかった。「わかった」ルークが微笑む。「君たちの気持ちを尊重しよう」「ただし、何かあったらすぐに連絡してくれ」「もちろんです」クロが感謝を込めて答える。「ルークさんたちのおかげで、ここまで来られました」「これからも、よろしくお願いします」――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――翌日、12人はセントレア魔術学院に戻ってきた。久しぶりに見る学院の門。約一ヶ月ぶりの帰還だった。「懐かしいな……」カイが感慨深げに呟く。「まだ一ヶ月しか経ってないのに、ずいぶん遠い昔みたいだ」「本当ね」ミナも同意する。「色々ありすぎて……」校門をくぐると、多くの生徒たちが驚いた顔で見ていた。「あれ、クロたちじゃない?」「本当だ!戻ってきた!」「生きてたんだ!」噂は既に学院中に広まっていたようだった。政府軍との戦い、アビス機関との対決。そして、WAUの設立。すべてがニュースになり、世界中に報道されていた。「クロ・アーカディア!」大きな声が響いた。振り返ると、トウヤ先生が駆けてきていた。「先生!」「お前ら、無事だったか!」トウヤが12人を見回す。「ニュースで見たぞ。政府軍と戦ったって」「はい……色々ありました」クロが苦笑いする。「心配かけてすみません」「心配したぞ、本当に」ト
last update最終更新日 : 2025-10-10
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新たな日常

学院に戻って三日目の朝。クロは早起きして、一人で訓練場に向かった。久しぶりの個人訓練。以前は苦手だった魔術も、今では自在に操れる。「《雷式・連続雷撃》」クロの雷が的を正確に貫く。命中率は、ほぼ100%。数ヶ月前の自分では考えられない成長だった。「やるじゃないか」背後から声がした。振り返ると、ジンが立っていた。「ジン。お前も早いな」「君と同じ考えだ」ジンが訓練場に入ってくる。「個人訓練を怠るわけにはいかない」二人が並んで訓練を始める。雷と雷。同じ属性だが、性質は全く違う。クロの雷は荒々しく、感情的。ジンの雷は精密で、計算された美しさがある。「なあ、ジン」クロが訓練を中断して聞く。「お前は、前と比べて変わったと思う?」「変わった?」ジンが少し考える。「……確かに変わった」「以前の僕は、完璧を追求していた」「感情を排除して、理論だけで戦っていた」「でも、今は違う」ジンが微笑む。「君たちとの戦いで、感情の大切さを知った」「完璧じゃなくても、仲間と一緒なら強くなれる」その言葉に、クロも頷いた。「俺も変わったな」「前は、自分に自信がなかった」「でも、今は違う」クロが拳を握る。「仲間がいるから、自信を持てる」二人が再び訓練を始めようとした時、他のメンバーも訓練場に現れた。「おはよう、二人とも」サクラが元気に挨拶する。「もう訓練してたんだ」「
last update最終更新日 : 2025-10-11
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潜む影

学院復帰から一週間が経った金曜日の夜。クロは一人、寮の部屋で窓の外を見つめていた。明日は週末。オブシディアン基地に戻って、WAUの会議に出席する予定だった。《何か気になることでも?》ゼロの声が響く。「いや……なんとなく」クロが首を振る。「最近、妙な胸騒ぎがするんだ」《具体的には?》「わからない。でも、何かが起こりそうな気がする」その時、部屋の扉がノックされた。「クロ、起きてるか?」ジンの声だった。「ああ、入れよ」扉を開けると、ジンだけでなく他の10人も一緒だった。「みんな……どうした?」「お前と同じことを感じてる」カイが真剣な表情で言う。「何か、おかしい」「私も」サクラが不安そうに言う。「さっきから、変な気配を感じる」フィアが窓の外を見る。「学院の周りに、何かいる」「敵か?」クロが警戒する。「わからない」レインが短く答える。「でも、普通じゃない」その時、学院の警報が鳴り響いた。『緊急事態発生』『全生徒は寮から出ないでください』『繰り返します……』12人が顔を見合わせる。「やっぱり、何かあったな」クロが立ち上がる。「行くぞ、みんな」「でも、警報が……」「構うか」ジンが冷静に言う。「僕たちは、ただの生徒じゃない」12人が寮を出て、学院の中庭に向かった。そこには、既にトウヤ先生とオルヴェイン理事長がいた。「クロたち……」トウヤが驚く。「お前ら、部屋にいろって言っただろ」「何が起こってるんですか?」クロが聞く。理事長が深刻な表情で答える。「学院が、包囲されている」「包囲?」12人が周囲を見回すと、確かに異様な気配があった。暗闇の中に、無数の人影が見える。「誰が……」「まだわからない」トウヤが構えを取る。「でも、敵意は明確だ」その時、中庭に人影が現れた。黒いスーツの男。見覚えのある顔だった。「ヴァイス局長代理……」クロが驚く。「政府が、また来たのか」「そうだ」ヴァイスが冷たく答える。「今度こそ、君たちを確保する」「学院への侵入は、国際法違反だぞ」理事長が抗議する。「そんなことはわかっている」ヴァイスが不敵に笑う。「しかし、君たちが国際社会の脅威である以上、やむを得ない」「脅威だと?」クロが怒りを込めて言う。「俺たちは何も悪いこと
last update最終更新日 : 2025-10-11
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学院防衛戦

14人の異常演算が同時に発動した瞬間、学院全体が虹色の光に包まれた。「うおおおお!」政府軍の兵士たちが一斉に攻撃を仕掛けてくる。魔術砲、ミサイル、機銃掃射。あらゆる兵器が14人に向けられた。「防御!」トウヤ先生が叫ぶ。「《炎獄結界》!」トウヤの周囲に巨大な炎の壁が展開される。その炎は、政府軍の攻撃をすべて焼き尽くした。「すげぇ……」カイが感嘆する。「トウヤ先生、めちゃくちゃ強い」「当然だ」トウヤが不敵に笑う。「お前らの師匠を舐めるな」オルヴェイン理事長も魔術を発動する。「《聖域展開》!」学院全体を守る巨大な結界が形成された。光の壁が学院を包み込み、外部からの攻撃を遮断する。「この結界があれば、生徒たちは安全です」理事長が説明する。「でも、長くは持ちません」「なら、その間に敵を倒す」ジンが冷静に分析する。「14人の連携で、一気に制圧しましょう」クロが頷く。「よし、行くぞみんな」14人が攻撃態勢を整える。しかし、その時――空から巨大な影が降りてきた。「何だあれ……」サクラが驚く。巨大な飛行要塞。政府軍の最新兵器だった。「《要塞級戦艦・レヴィアタン》」ヴァイス局長代理が得意げに言う。「我々の切り札だ」「あれは……」トウヤの顔色が変わる。「まずい。あれは、学院ごと吹き飛ばせる威力がある」要塞から、複数の砲塔が14人に向けられる。「主砲、発射準備
last update最終更新日 : 2025-10-12
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新たな仲間たち

学院防衛戦から三日が経った月曜日。学院は既にほぼ元通りに修復されていた。生徒たちの協力で、想像以上に早く復旧が進んだのだ。「おはよう、クロ」教室に入ると、多くのクラスメイトが明るく挨拶してくれた。以前とは明らかに雰囲気が違う。「おはよう」クロも笑顔で返す。戦いを共に乗り越えたことで、クラス全体の絆が深まっていた。「クロ、昨日のWAUの会議どうだった?」一人の生徒が興味深そうに聞いてくる。「ああ、順調だよ」クロが答える。「世界中から、新しいメンバーが加わってる」週末、クロたち12人はオブシディアン基地に戻って会議に出席していた。WAUの活動は順調で、加盟する異常演算者の数は日に日に増えている。「すごいな」「俺たちの学院から、世界を変える人が出たんだもんな」生徒たちの目には、尊敬と親しみが混じっていた。英雄視されているわけではなく、身近な仲間として見てくれている。それが、クロにとっては何よりも嬉しかった。授業が始まり、担当教師が教室に入ってくる。しかし、その教師の顔を見て、クロは驚いた。「おはようございます、皆さん」その教師は――トウヤ先生だった。しかし、いつもの気だるげな雰囲気はない。背筋を伸ばし、真剣な表情をしている。「今日から、僕の授業が少し変わります」トウヤが宣言する。「異常演算についての実践的な講義を行います」教室がざわめいた。「トウヤ先生も、異常演算者だったもんな」「本物の異常演算者から学べるなんて、貴重だ」生徒たちの目が輝いている。「まず、異常演算の基礎から説明します」トウヤが黒板に図を描き始める。「異常演算とは、通常の魔術演算を超えた力です」「しかし、それは決して特別なものではありません」「誰もが持っている可能性を、極限まで引き出したものです」その説明に、生徒たちが真剣に耳を傾ける。「重要なのは、心のコントロールです」トウヤが強調する。「感情と魔力は直結している」「だから、心を鍛えることが、力を鍛えることに繋がる」クロは、トウヤの授業を聞きながら思った。(先生、本気で教えてくれてるんだな)以前のトウヤなら、こんなに熱心に教えることはなかった。しかし、今は違う。学院防衛戦を経て、トウヤも変わったのだ。授業が終わった後、クロはトウヤに話しかけた。「先生、いい
last update最終更新日 : 2025-10-13
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迫り来る脅威

WAU学院支部が設立されて一週間が経った。活動は予想以上に順調で、毎日のように新しいメンバーが加わっていた。今では、学院の生徒の約3分の1がWAU支部に参加している。「すごい広がりだな」カイが支部の活動室を見回して言う。「もう、この部屋じゃ狭いくらいだ」「もっと大きな場所が必要ね」ミナも同意する。活動室には、約50名の生徒が集まっていた。みんな、異常演算についての勉強会に参加している。「今日のテーマは、異常演算の制御方法です」ジンが講師として説明している。「感情と魔力は直結していますが、それをどう制御するか」「具体的な方法を、実演を交えて説明します」生徒たちが真剣に聞いている。以前なら、異常演算は恐ろしいものとして忌避されていた。しかし、今は違う。正しく理解され、受け入れられている。「質問はありますか?」ジンが問いかけると、多くの手が上がった。「はい、そちらの方」「異常演算者じゃない人でも、異常演算を理解することは重要ですか?」「もちろんです」ジンが答える。「理解することで、偏見がなくなります」「そして、異常演算者との協力関係が築けます」その説明に、質問した生徒が納得する。「ありがとうございます」勉強会が終わった後、クロとジンは外の廊下で話していた。「順調だな」クロが満足そうに言う。「ああ」ジンも頷く。「でも、油断はできない」「何か気になることでも?」「最近、妙な気配を感じる」ジンが真剣な表情になる。「誰かに、監視されているような」
last update最終更新日 : 2025-10-14
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二つの戦場

運命の日が来た。朝陽が昇る頃、オブシディアン基地では300人の異常演算者が集結していた。「みんな、準備はいいか?」クロが前に立って呼びかける。「今日、政府とアビス機関が総攻撃を仕掛けてくる」「俺たちは、この基地を守り抜く」ルーク司令官も隣に立つ。「敵の戦力は、推定500名以上」「しかし、我々には地の利がある」「そして――」ルークがクロたち12人を見る。「最強の絆がある」300人が一斉に声を上げた。「おおおお!」士気は十分だった。その頃、セントレア魔術学院では――アルヴェン生徒会長が、150名の生徒たちの前に立っていた。「みんな、覚悟はできてるか?」「はい!」生徒たちが力強く答える。トウヤ先生とオルヴェイン理事長も、彼らの後ろに立っている。「俺たちも全力でサポートする」トウヤが言う。「でも、主役はお前たちだ」「クロたちから学んだことを、存分に発揮しろ」セラ副会長が手を上げる。「配置につきましょう」「作戦通りに動けば、必ず勝てます」150人が、それぞれの持ち場に散らばっていく。校門、中庭、校舎の屋上。すべてに防衛ラインが敷かれた。午前8時。オブシディアン基地の警報が鳴り響いた。『敵襲!敵襲!』『全方位から大規模部隊接近中』「来たか……」ジンが冷静に構える。空には、政府軍の戦艦が10隻浮かんでいる。地上からは、装甲車と歩兵部隊が迫ってくる。そして、黒いローブを纏ったアビス機関の術師たちも見える。「総勢600名……」エリス・ノヴァが測定器を確認する。「予想以上の戦力です」「構わない」クロが雷を纏う。「俺たちには、300人の仲間がいる」「行くぞ、みんな!」300人が一斉に異常演算を発動した。虹色の光が、基地全体を包み込む。政府軍とアビス機関も、攻撃を開始した。魔術砲、ミサイル、術式。あらゆる攻撃が基地に向かって飛んでくる。「防御!」ルークが叫ぶ。300人が連携して、巨大な防御壁を形成した。攻撃が防御壁に激突し、凄まじい衝撃が走る。「持ちこたえろ!」同じ頃、学院にも敵が現れた。ヴァイス局長代理率いる政府軍、約200名。そして、アビス機関の術師、約100名。合計300名が、学院を包囲している。「生徒たちだけか……」ヴァイスが冷笑する。「クロたちは基地に行
last update最終更新日 : 2025-10-15
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絆の証明

大戦から三日が経った。オブシディアン基地では、300人の異常演算者たちが勝利を祝っていた。しかし、クロたち12人の心には、別の想いがあった。「みんな、無事だろうか」サクラが不安そうに言う。「学院のみんな……」「大丈夫だ」ジンが答える。「あれだけの戦いを乗り越えたんだ」「必ず、無事に帰っている」その言葉に、みんなが頷く。しかし、実際に会うまでは安心できない。「帰ろう」クロが立ち上がる。「学院に」12人がルーク司令官に別れを告げ、学院に向かった。飛行船で約2時間の道のり。その間、12人は黙って窓の外を見ていた。(みんな、待っててくれ)クロが心の中で呟く。(すぐに帰る)学院が見えてきた時、12人は驚いた。校舎の一部が破壊されているが、大きな被害はない。そして、校門の前には――多くの生徒たちが集まっていた。「おかえり!」アルヴェン生徒会長が手を振っている。セラ副会長や他の生徒たちも、笑顔で迎えてくれた。「みんな……」クロが飛行船から降りると、生徒たちが一斉に拍手した。「お疲れさま!」「基地を守ってくれてありがとう!」「俺たちも頑張ったよ!」クロの目に涙が浮かぶ。みんな、無事だった。そして、みんな笑っている。「ただいま」クロが声を震わせて言う。「心配したぞ」アルヴェンが近づいてくる。「クロたちこそ、大丈夫だったか?」「ああ、なんとか」クロが笑う。「お前たちは?」「見ての通りさ」アルヴェンが自信ありげに答える。「150人全員、無事だ」「軽傷者は何人かいるけど、重傷者はゼロ」その報告に、12人が安堵する。「よくやった……」ジンが感動する。「本当に、よくやった」セラが微笑む。「これも、あなた方が教えてくれたおかげです」「連携の大切さ、心の持ち方、仲間を信じること」「すべてを実践できました」その時、トウヤ先生とオルヴェイン理事長も現れた。「お帰り、お前たち」トウヤが満足そうに言う。「基地の方も、うまくいったようだな」「はい。みんなのおかげです」クロが答える。「学院は……」「完璧だったぞ」理事長が誇らしげに言う。「生徒たちの活躍は、素晴らしかった」「特に、心を一つにして戦う姿」「まるで、あなた方のようでした」その言葉に、12人が嬉しくなった。自分た
last update最終更新日 : 2025-10-15
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世界への広がり

WAU世界学院支部設立計画が始動してから一ヶ月が経った。その成果は、予想を遥かに上回るものだった。「信じられない……」エリス・ノヴァが報告書を見ながら呟く。「世界中の学院から、申請が殺到しています」オブシディアン基地の会議室には、クロたち12人とルーク司令官が集まっていた。「どれくらいの数だ?」ジンが聞く。「現在、52の学院がWAU支部の設立を希望しています」エリスが答える。「ヨーロッパ15校、アジア20校、アメリカ12校、その他地域5校」「すごい……」サクラが驚く。「こんなに広がるなんて」「これも、お前たちの功績だ」ルークが微笑む。「450人の絆が勝利した」「その話が、世界中に広まった」「だから、多くの学院が興味を持った」クロが資料を見る。そこには、各学院からの申請書が並んでいる。どの学院も、WAUの理念に共感し、参加を強く希望していた。「でも、これだけの数を管理できるのか?」カイが心配する。「確かに、課題は多い」ルークが認める。「各支部の連携、情報共有、活動指針の統一」「すべてを整備する必要がある」「なら……」ジンが提案する。「地域ごとに統括組織を作りましょう」「ヨーロッパ統括、アジア統括、アメリカ統括」「それぞれに責任者を置いて、効率的に管理する」「いい案だ」ルークが頷く。「では、統括責任者を決めよう」会議は数時間に及んだ。最終的に、各地域の統括責任者が決定した。ヨーロッパ統括:アレックス(前回の大戦で援軍を率いた)アジア統括:リン・チェン(中国の異常演算者組織リーダー)アメリカ統括:マイケル・ブラウン(アメリカの若手異常演算者)「よし、これで体制は整った」ルークが宣言する。「来月から、本格的に活動を開始する」クロが立ち上がる。「俺たちも、各地域を回って支援します」「各学院を訪問して、直接話をしたい」「それはいい」エリスが賛成する。「あなた方が直接行けば、さらに理解が深まる」こうして、12人の世界ツアーが決まった。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――一週間後、12人は最初の訪問先であるヨーロッパの学院に向かった。フランスの名門校、《パリ魔術学院》。約800名の生徒が在籍する大規模校だった。「すご
last update最終更新日 : 2025-10-16
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