祝福の歓声が響き渡る中、亮は自らの手で歓奈の指にダイヤの指輪をはめた。だがその夜。柔らかな彼女の手が彼の体に触れようとした瞬間、亮は無意識にそれを避けた。「亮くん……」歓奈は呆然と立ち尽くした。「あなた、以前は私に触れたくないって、特別な夜まで大切にしたいって言ってくれた。でも、私はもうあなたの正式な婚約者なのに……どうしてまだ……」その潤んだ瞳と震える声に、他の男であれば抵抗できなかっただろう。だが、亮の目に浮かぶのは――別の顔。木実になら、憎しみを抱えたまま交わることもできた。むしろ、そのほうがかえって興奮した。しかし、目の前の歓奈には、全くと言っていいほど、欲情が湧かない。「結婚してから……初めて触れたい」それが亮自身への言い訳であり、歓奈への唯一の慰めでもあった。だが、彼女はあきらめなかった。彼の好きな「学生服」に着替えて、再び寄り添ってきた。「亮くん……」彼女を見つめた亮の瞳が鋭くなる。うまくいくと信じていた歓奈だったが、返ってきたのは、冷えた声だった。「そんな格好はやめろ!着替えろ!」「……あなた、嫌いなの?」戸惑いが込められた声。彼女は木実のクローゼットでこの服を見つけ、ネット通販で同じものを探し出して購入したのだった。これで彼の心をつかめると信じていた。だが、亮はスーツの上着で彼女の肩を覆い、しっかりと隠した。「君には似合わないから。歓奈……俺の好みに合わせて、自分を貶める必要はない」――貶める?その言葉に、歓奈はついに堪えきれず、抑えきれずに感情があふれ出した。「私が似合わないんじゃなくて、私より姉さんの方が好きなんでしょう!もし本当に姉さんが好きなら、私にプロポーズする必要なんてなかったわ!私は……あなたを彼女のもとに返すって、覚悟はできてるのよ!」亮は動けず、ただその場に立ち尽くした。確かに――木実がいなくなってからの彼は、何をしていても、ふとした瞬間に彼女の面影を探していた。美味しい料理に出会えば、彼女がかつて自分のために料理を作ってくれたことを思い出す。歓奈の笑顔を見れば、かつての木実の、月のように優しく輝いていた笑顔が脳裏に浮かぶ。そして今日、歓奈が着ていたその服も――あの学生服。彼があの服を好ん
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