情事の終わり際、白石葵(しらいし あおい)は早川涼太(はやかわ りょうた)が避妊をしていなかったことに気がついた。 慌てて声を上げる。 「ねぇ、いつ外したの?こんな真夜中だったら学校の周りに薬も売ってないのに、もしも……もしも私、妊娠したらどうするの?」 涼太は彼女の腰を掴み、低い声で笑った。 「心配するなよ。妊娠したら産めばいいじゃん」 葵は呆然とした。反応する間もなく、涼太の長い指が彼女の下腹部に触れてくる。 「でも先輩、このお腹、小さすぎるよ」 彼は悪戯っぽく笑った。 「こんな小さいお腹で、本当に俺の子供産めるのかな?」 葵の顔は真っ赤に染まり、そっぽを向いた。 涼太は軽く笑い、彼女の耳元に唇を寄せる。 「先輩、顔を赤らめる姿、好きだって言っただろ?まだ足りないんだ。さあ、おとなしく……」 その夜、涼太は彼女を四度も求めた。 夜が明けかけた頃、葵はこっそり寮に戻った。 だが、寮に着いた途端、携帯が鳴る。涼太からの着信だった。 「もしもし……」 電話に出ると、向こうは騒がしい雑音ばかり。 どうやら涼太はポケットの中で誤って発信してしまったらしく、本人は気づいていないようだ。 葵が切ろうとした瞬間、涼太の友人の声が聞こえてきた。 「涼太、大学院推薦の締め切りまであと少しだぞ?葵さんを確かに妊娠させられるのかよ?」 葵の手が凍りつく。 すると、涼太の怠惰な声が返ってきた。「焦るなよ、まだ時間はあるだろ」 さらに男たちの下品な笑い声。 「さすが涼太は女に甘いよな。玲奈(れいな)さんと別れたって、未だに忘れられないんだろ?葵さんが玲奈さんの大学院推薦の資格を奪うのが心配で、自分から体を張ってるんだからな!」 涼太の声が冷たく響く。 「誰が玲奈と別れたって言った?彼女は大学院推薦の前に勉強に集中したいから、一時的に距離を置いてるだけだ」 友人たちがからかう。 「ははは、涼太のことは誰も逆らえないよな!たとえ玲奈さんが学内一の美人だって、涼太のこと忘れられるわけないし!」 「そうそう、葵さんだって、まじめで大人しいのに、涼太の手にかかればあっさり落ちたもんな!毎晩グラウンドでやってるらしいぜ?」 「でもよ、涼太。正直、葵さんってめちゃくちゃ可愛いよな
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