次の日の夜、ホテルを貸し切った由美の誕生日パーティーは派手だった。翔平のおかげで、マスコミが全部集まった。由美は皆にちやほやされながら真ん中にいて、彼女のデビュー曲も繰り返し流されていた。突然誰かが空気の読めない質問をした。「前に高橋夫人の彩音さんが、この歌は自分が書いたって言ってませんでしたっけ?」その瞬間、由美は入り口から入ってきた翔平を見て、笑った。「『明月』は翔平のことを思って書いたの。彼が私の作曲を見ていたの。彼が一番の証人よ」周りがざわめいた。由美の妊娠のニュースは消されたとはいえ、二人の関係はやっぱり怪しかった。しかもこの歌は完全にラブソングだし、由美がこう言うのは、翔平を好きだということを告白するのと同じだった。「そうかな?」翔平が鼻で笑った。「でも俺がこの歌を初めて聞いたのは、三年前だった」由美の表情が固まった。「翔平、冗談はやめて。このシングルの録音からプロモーションまで、全部あなたが手がけたじゃない」「その通り、だから今日は俺の間違いを認めに来た」翔平の言葉が終わると、大スクリーンに画面がついた。彩音が彼にこの歌を歌っている動画が流れた。彼女は笑顔で、歌声は美しく響いた。あの時この歌を聞いた感動が、今は胸に突き刺さった。頭に浮かんだのは、あの夜の宴会の光景。彩音が、自分の歌を他人に渡されて皆に馬鹿にされ、楽譜まで消された時のことだった。あの時彼女はどんな気持ちだったのか?少し想像するだけで、翔平は耐えられなくなった。どうして自分にそんなことができたんだ?三分後、動画の中の彩音がギターを置いて、優しく真剣に告白した。「この歌を私の『明月』に贈る。私の最愛の人、翔平に」過去の記憶で胸が痛くて、翔平は息をするのも辛かった。あの時の彩音は、自分の「明月」が彼女を失望させるなんて思ってもみなかっただろう。彼が、彼女の愛にふさわしくなかったのだ。動画が終わった。由美は顔が真っ青になった。この時、彼女は翔平の本当の目的に気づいた。彩音の名誉を取り戻すことだったのだ。「翔平、正気なの?こんなことして何になるの?これで彩音があなたを許すとでも思ってるの?夢見てるんじゃないの!忘れないで、私はあなたの子供を妊娠してるのよ!」周りは静まり返
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