壇上に立った結衣は、会社の設立理念を堂々と語り、賛同する人々に協力を呼びかけた。彼女は最初の事業計画として、西部の過疎化が進む山村の活性化について語った。その地域は豊かな自然に恵まれ、特産品のきのこを活かした、持続可能な開発を進めることで、都会に出て行った若者たちの帰郷を促す……隅に立っていた翔太は、スーツ姿で自信に満ちたスピーチをする結衣を見て、ハッとした。これほど輝く結衣を見るのは久しぶりだった。付き合うようになってから、彼女の視界は自分一色に染まってしまっていたような気がした。彼女は全てを投げ打って自分を愛してくれたのに、自分は彼女を失望させてしまった。翔太は、結衣の輝きを見て、ハッとしたと同時に、全てを悟った。自分への愛に生きていた結衣はもういない。自分から離れることでしか、彼女は再び光を取り戻すことはできなかったのだ。今の結衣には、好きな仕事があり、望んだ人生がある。あの息苦しい世界から、やっと解放されたんだ。もうこれ以上、彼女を邪魔するべきじゃないのかもしれない。「また来たの?」壇上から降りてきた結衣は、すぐに翔太の姿を見つけた。彼は日に日にやつれていき、まるで自分を罰するかのように生きているようだった。「結衣、俺と別れて、前より幸せになったのか?」彼は嗄れ声で尋ね、熱っぽい視線を結衣に向けた。「ええ」結衣はきっぱりと答えた。翔太はうつむき、苦い笑みを浮かべた。「ごめん。今までお前を傷つけてばかりだった」「もういいの。もう恨んでいないから。行きなさい。自分のやるべきことをやりなさい」結衣は冷たく言い放つと、踵を返して去っていった。翔太はその場に立ち尽くし、彼女の後ろ姿を呆然と見つめていた。胸が締め付けられるように痛み、視界がぼやけていく。まるで黒い影が覆いかぶさってくるようだ。次の瞬間、彼は地面に倒れ込んだ。少し休んでから、翔太は立ち上がった。気に留める様子もなかった。彼は花屋に行き、一年分の花を予約した。毎日、結衣のオフィスに届けるようにと。最終的に、翔太は手放すことを選んだ。飛行機を降りた途端、翔太は株主たちに囲まれた。彼らは翔太に社長の座を譲るよう迫ってきた。翔太は暗い表情で、彼らとバリューアップ契約を結んだ。半年で400億円を稼げなければ藤原グループを明け
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