All Chapters of 離婚したら元旦那がストーカー化しました: Chapter 461 - Chapter 470

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第461話

清香が再び逮捕されたことはすぐにニュースになり、そこで郁梨は初めて彼女が以前に一度釈放されていたことを知った。一度は釈放されたのに、どうしてまた捕まったのかしら?何かあったのかしら?郁梨は気になっていたが、警察から電話がかかってこないので、邪魔をしないようにしていた。今頃清香の取り調べで忙しいのだろう。そう考えていると、警察から電話がかかってきた。ちょうど休憩中で、郁梨は急いで電話に出た。「長谷川さん、朗報です!」清香が警察署に連行された後、郁梨への連絡を担当していた警官は、我慢できずに電話をかけた。電話越しに警官の喜びが伝わり、郁梨も思わず微笑んだ。「どんな朗報ですか?」「証拠が見つかりました。いや、正確には私たちが見つけたのではなく、誰かが証拠を持ってきてくれたんです」それを聞いて、郁梨はきょとんとした。「証拠を持ってきてくれましたか?」「はい、しかも今回が初めてではなく、以前も誰かが手がかりを提供してくれたのです。おそらくメディア関係者でしょう。長谷川さんが通報してから、メディアは中泉さんに関するニュースを掘り下げて、何か見つけたのかもしれませんね」郁梨は黙ったまま、返事をしなかった。警官はそのまま続けた。「今回送られてきた証拠は、張本さんも中泉さんも言い逃れできない内容です。どうやら彼らは以前から手を組んでいたようで、動画も見つかりました。それに、張本さんには隆城市に愛人とその子どもがおり、その子どもは先天性白血病だとわかっています。だからお金が必要で、こんなバカな真似をやってしまったのでしょう。気の毒ではありますが、だからと言ってそれが犯罪の理由にはなりません」郁梨は疑問に思った。メディアがここまで詳しく調べられるのかしら?警察よりも効率が良いことってあり得るかしら?「長谷川さん、これでもう安心ですね。中泉さんと張本さんは以前から取引をしていたので、今回まだ正式な取引が行われていないと疑える根拠になります。あなたの予想とも一致しています。この証拠を目の前に突きつければ、彼らが正直に話さないわけがありません」郁梨は軽くうなずいた。「私も一度警察署に行った方がいいでしょうか?」「今のところは大丈夫です。彼らが罪を認めたら、またご連絡しますので、その時にいらっしゃってください」「分かりました
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第462話

つまり、彼らが共謀することは不可能だ。四人の警官が集まったが、誰も有効な手立てを見つけられずにいた。ちょうどその時、別の警官がやってきて、折原グループの社長が来たと伝えた。折原承平?なぜ今頃来たんだ?外はすっかり暗くなっていた。「俺が対応する」一人の警官が承平を迎えに行って、申し訳なさそうに言った。「申し訳ありませんが、まだ容疑者の取り調べの最中でして、明確な進展はありません」承平は隆浩を連れて、警官に淡々とうなずいた。「助けに来たんだ」警官は困惑した。「はい?折原さんはどのように助けてくださるんですか?」「ある人に会わせてほしいんだ」「中泉さんですか?」「いや、浩輝だ」浩輝という名前を聞いて警官は一瞬戸惑ったが、すぐに頷いた。「折原さん、私たちは監視室からすべての会話を聞いておりますので、発言にはご注意ください」警官は善意から、承平が浩輝に脅しをかけるのではないかと心配していた。承平は静かに頷き、書類を持って一人で取調室に入った。浩輝はここで承平に会えるとは思っていなかった。彼は驚いた表情を浮かべた後、笑みをこぼした。「折原社長、どうして来たんだ?まさか私を買収しに来たのか?」浩輝は数日ひげを剃っておらず、髪もボサボサだった。承平は眉をひそめた。彼は黙って席に着き、手元の書類を浩輝に向けて押しやった。浩輝は目の前の書類に目をやったが、開けようとはしなかった。「折原社長、これはどういう意味だ?」「お前について調べたんだ」承平は感情の起伏も見せず、淡々と口を開いた。「若い頃、女性に裏切られた経験があって、それが心の傷になり、ずっと結婚しなかったんだろ?そして、お前は三輪愛名(みわ あいな)と出会った。彼女はお前によく尽くし、娘まで産んでくれた。違うか?」愛名の名前を聞くや、浩輝は急に激昂し、机を拳で叩きながら怒鳴った。「あの二人に何をするつもりだ!」浩輝は無意識のうちに、承平が愛名と娘を利用して自分を脅そうとしていることに気づいた。承平は相手の感情に引きずられることなく、淡々と続けた。「愛名が妊娠してから、お前は結婚しようとしていた。でも仕事が忙しく、彼女のお腹も日ごとに大きくなっていった。それで、子どもが生まれてから結婚しようと決めた。ところが、生まれた娘は先天性白血病だった
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第463話

承平はずっと笑っていたが、笑っているうちに目が赤くなっていった。自分は清香のような人間のために、郁梨を徹底的に傷つけた。なんて愚かなんだ?自分はなんて愚かなんだ!監視室の四人の警官はわけがわからず、顔を見合わせた。折原さんはどうしたんだ?彼は気が狂ったのか?一人の警官がどうしても気になって、そばに立っていた隆浩に尋ねた。「折原さんは何を笑っているんですか?」隆浩はため息をついた。「折原社長は笑ってなんかいません。泣いているんです!」「泣いています?」警官たちは再び取調室を見て、不思議そうに言った。「泣いていませんよ、折原さんはまだ笑っているじゃないですか。大丈夫ですか?」隆浩はしみじみとため息をついた。「はあ……もう起きてしまったことです。とはいえ、これはあなたたちと関係がありません。折原社長は今、後悔による笑いを浮かべてるだけでしてね。まあ、そんな感じですかね」警官たちは頭をかきながら、ますます頭の中が混乱していた。承平は涙を流していなかったが、目は真っ赤で、凶暴に見えた。「それを見てみろ」彼は浩輝に目配せして、目の前の書類をめくるよう促した。浩輝は承平が何を考えているのかわからなかったが、直感が彼に、目の前の書類が答えを与えてくれると告げた。そこで彼は開いた。書類には、彼の娘のここ数年のすべての診察記録があった。「これはなんだ?」「俺にはわかっているんだ。お前が最も心配しているのは娘さんだってことを。浩輝、俺は愛名と電話で話した。彼女はもうお前がしたことを知っているんだ」「あんた!なぜそんなことをしたんだ!彼女たちは無実だ。何も知らないんだ!」「無実?じゃあ俺は?俺は無実じゃないか?郁梨は無実じゃないか?郁梨の母親は無実ではないか?清香がお前に俺を殺すよう言いつけた時、俺が無実だと考えたことはあったのか?清香がお前に郁梨の母親を殺すよう言いつけた時、郁梨の母親が無実だと考えたことはあったのか?お前は理由もなくこれほどの苦しみ続けている郁梨が、無実だと思っているのか!」承平は怒りを抑えながら、続けて問い詰めた。浩輝は返す言葉がなく、手錠をかけられたまま頭を垂れ、自分の髪を掴んだ。「お前には選択する権利がある」承平の言葉に、浩輝は顔を上げ、虚ろな目で彼を見た。「もうお前も気づいただろ
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第464話

「で……でも……」「愛名は今元気に暮らしている。もしお前の娘の容体が良くなれば、必ず彼女から知らせが来る。その時、お前は俺を信じたのが正しかったってことがわかるよ」承平の言いたいことは、それ以前の段階で、浩輝が何を根拠に信じるというのか、自分には分からない、ということだった。浩輝は深く考え込んだ。彼は拳を握りしめ、内心では激しく葛藤していた。30分以上経って、彼はようやく肩を落とし、要求を口にした。「愛名と話をさせてくれ」「それは俺が決められることではないけど、聞いてみることはできる」承平はそれ以上何も言わず、すぐに警官に確認しに行った。しばらくすると、電話を持った警官が取調室に入ってきた。浩輝が愛名に電話をかけると、彼女は彼の声を聞くなり泣き出した。「浩輝、ごめんね、私が悪いの。白血病の家系だってことを隠していなければ、あなたはこんなことにならなかったのに」愛名は本当にいい人だ。真実を知っても、浩輝を責めたりはしなかった。彼女には分かっていたのだ。あの状況では仕方のないことだと。世の中はそんなものだと。貧しい者の苦しみは、誰にも理解できないのだと。もちろん、浩輝が法を犯したのは間違っている。「浩輝、早く自分の罪を認めて。これ以上間違いを重ねないで。どれだけ時間がかかってもいいから、あなたが出所できるなら、私はいつまでも待っているわ!」浩輝は涙と鼻水で顔中ぐしゃぐしゃになりながら、嗚咽をこらえて頷いた。「わかった、私は罪を認める、認めるから!」――長い待ち時間に、清香はつい考え込んでしまった。俊明が浩輝に余計なことを話してしまったのではないか、と。なぜこんなに長く誰も自分を取り調べに来ないのだろう?前回逮捕された時とは全然違うわ!清香はすでに三時間近く一人で取調室にいた。手足は冷え切って、全身が微かに震えていた。突然、二人の警官がドアを開けて入ってきた。彼らの表情は穏やかで、以前の焦燥や怒りは全くなかった。一人の警官が彼女に向かって笑いかけた。「中泉さん、張本さんはもう罪を認めました」清香は雷に打たれたような衝撃を受けた。まさか?浩輝は気が狂ったのかしら?自白したら、彼だって刑務所行きになるのに!嘘ついているね!警官たちはきっと自分を騙しているに違いないわ!清香は警官らを信じておらず、冷
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第465話

清香はどうしても罪を認めようとはしなかった。しかし、人証も物証も揃っており、彼女は何も言い返せなかった。浩輝に続き、俊明も彼の自白を知った後、ついに真実を語った。「五年前のことは知ってたけど、事件の後になってから知ったんだ。確かに自分が手を貸したのは認めるが、私はマネージャーとしてどうしようもなかったんだ。それに、長谷川さんの母親を殺害した件については、本当に知らなかったんだ。清香さんは事件を起こした後に私に教えてくれたんだ。彼女がすでに狂っていたことは分かっていたし、彼女を助けなければ、間違いなく私には容赦しなかっただろうね」清香は俊明が自分を裏切ったと知り、激怒して罵声を浴びせた。「この裏切り者が、今の地位にいるのは誰のおかげだと思っているのよ?よくも私を裏切ったわね。何様のつもりなの?浩輝も役立たずだし、あの時私がいなかったら、娘はとっくに死んでいたのに!」清香は浩輝の娘のことを知っていた。当時、撮影現場で浩輝が愛名と電話しているのを聞いたからだ。それで、承平が現場に来ると知ったとき、彼女は浩輝のもとへ向かった。自分は、この件が決して表沙汰にならないと思っていた。明らかにすべての障害を取り除いたつもりだった。浩輝を誰も使えない立場に追い込み、撮影現場で行き場を失わせてパパラッチにさせた。そしてあの人物も……!あの人まで始末したのに!なんで?なぜ承平は知ってしまったのよ!承平は自分を許さないだろうね。真実を知った承平は、どう仕返ししてくるのかしら?承平は特別なことは何もしなかった。ただ李人を呼び寄せただけだった。事件の真相はすでに明らかで、複数の罪状が積み重なり、清香は間違いなく刑務所で長く過ごすことになるだろう。――清香が自供すると、メディアも情報を掴み、瞬く間に芸能界全体を震撼させた。ネットユーザーたちは清香の罪状に驚きを隠せなかった。清香は郁梨の母親を殺害した真犯人であるだけでなく、五年前に承平を救った事件さえも仕組んだものだった。この女はどうしてここまで狡猾なんだ?【清香は本当に最悪な女だな。郁梨さんは可哀想すぎるわ。折原社長と結婚しただけで、自分の母親まで殺されるなんて!】【郁梨さんが一番可哀想だわ。母親もいなくなって、夫まで彼女を裏切ったしね!】【折原社長は郁梨さんを裏切ったわけじゃないでし
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第466話

「この間は本当にありがとうございましたね。真相が明らかになって、本当に良かったですわ」「長谷川さん、長らくお待たせして申し訳ありませんでした」「とんでもないことです。皆さんが精一杯やってくれたことはわかっていますから」警官は照れ笑いを浮かべると、続けて言った。「あ、長谷川さん、実はお伝えしたいことがあるんです」「え?何でしょうか?」「前に、誰かが陰で助けてくれているってお話ししましたよね?私たちはずっとマスコミの記者だと思っていたんですが、実は折原さんがずっと裏で調査されていたようです。折原さんは何もおっしゃいませんでしたが、張本さんがこんなに早く自白したのは、全て折原さんのおかげなんです」郁梨は少し驚いた様子で「全て承平のおかげですか?」と聞いた。「そうなんです。折原さんは張本さんが隆城市で隠していた愛人のことを突き止めましたし、その子が先天性白血病だということも知っていました。折原さんは、正直に話せば娘を治す手立てを考えると告げました。張本さんは無法者ではありますが、妻と子には本当に優しかったので、すぐに自白しました。中泉さんも最初は罪を認めなかったものの、張本さんが録音を持っていたため、無駄でした」郁梨は長い間沈黙していた。警官はようやく自分が話しすぎたことに気づいた。結婚三周年の記念日、承平は郁梨を置いて他の女性のもとへ行った。その日、彼女は如実も亡くし、血だらけになりながらも如実の最期に立ち会えなかった。その日の郁梨の承平に対する態度からしても、彼女は心の中で確実に彼のことを恨んでいるに違いない。たとえこれらが全て誤解だったとしても、もうどうしようもないのだ。起こってしまったことは、心に刺さった永遠の棘となるのだ。警官は郁梨を高く評価していた。当初彼女が警察に通報し、これほどまでに事を大きくしなければ、この事件はいつまで経っても解決しなかったかもしれないからだ。「長谷川さん、もう過ぎたことなので、仕方ないですよ。お母様もきっと天から、あなたがしっかり生きることを願っているでしょう。実は折原さんも今は後悔しているのです。当時、彼も被害者でしたし、夫婦としての縁もあると思いますので、私はこれからもお二人が幸せであることを願っています」幸せ?郁梨はしばらく俯いた後、ゆっくりと口を開いた。「実は……私と承平は
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第467話

幸せかな?自分はこの人生で幸せを得られるのかな?自分はもう幸せなんかいらないわ。自分の人生で味わえる幸せと引き換えに、お母さんに戻ってきてほしいな。――清香の罪状はネット上で大騒ぎになり、彼女が出演した全てのドラマや映画は配信停止となった。郁梨が義明に休暇を申請した時、彼は二つ返事で承諾し、さらに追加で数日休むよう勧めた。元々映画「母なる海」と「遥かなる和悠へ」はいわばライバル同士であったが、今や「母なる海」は新たなヒロインを選び直す必要があり、撮影の再開時期も未定なので、両作品の公開時期がぶつかる心配はなくなった。義明は時間に余裕があると考えており、撮影の進捗を急いでいなかった。加えて、郁梨が置かれている状況は誰もが理解できるものだった。清香の裁判が開かれる前、郁梨は折原家の人々に会いに行った。栄徳と蓮子の他に、承平の祖母も来ていた。承平の祖母と蓮子は郁梨を見るなり泣き出し、彼女を抱きしめ、息遣いも荒かった。「郁ちゃん、こんな大事をどうして私たちに話さなかったの?今日蓮子が教えてくれなかったら、私は今でも知らないままだったよ。どうして!ねえどうしてよ!」蓮子はティッシュを握りしめ、涙を拭い続けた。「あなたは本当に私たちに何も言わないのね。栄徳、あなたもよ!知っていながら私たちに教えてくれなかったのね!」蓮子の後半の言葉は、栄徳に向けられたものだった。蓮子と承平の祖母は普段からあまりニュースは見ない方で、一方で栄徳は見なくても部下から報告を受ける立場にあった。しかし、彼は口が固く、今日裁判が始まるまで蓮子には打ち明けなかった。栄徳はため息をついた。確かに彼は早くから知っており、この件がニュースになった直後に情報を得ていた。しかし、彼が話さなかった理由は……郁梨が彼らに話すつもりがないことを栄徳は察し、彼はその決定を尊重し、知らないふりをしていた。今や裁判が始まるにあたり、彼らも来ざるを得なかった。郁梨と承平が離婚したとしても、家族としての絆は残っていた。郁梨は蓮子と承平の祖母の感情に触発され、涙が止まらなくなった。彼女は涙声で謝罪した。「ごめんなさい、わざと隠していたわけじゃないんです。ただ……ただ皆さんにも私と同じ苦しみを味わってほしくなかったのです」だって本当につらいんだもん。もし自分が話し
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第468話

郁梨は返事もせず、黙って座り込んだ。李人は怪訝そうに「何の話だ?俺を焦らすなよ、これじゃ実力が発揮できなくなるからな!」と言った。「もし清香に相応の代償を払わせられなかったら、お前を社外顧問から下ろすからな!」折原グループの社外顧問を務めれば、年間の収入もかなり増える。李人は承平に渋々頭を下げた。「わかった、わかったよ。全力を尽くすよ!」――すぐに陪審員らが入廷し、清香、浩輝、そして俊明も連れられてきた。特筆すべきなのは、清香のアシスタントである芳里が証人として法廷に現れたことだ。「彼らが何かについて話し合うときは、いつも私のことを避けていました。なので、私が知っていることはそう多くありません。ただ、『真犯人は誰だ』というバラエティ番組の収録時に、清香さんが二人のカメラマンを買収し、郁梨さんを陥れたのは事実です。そのとき、病室の外で多少話を聞いていました。それからもう一つ、原告である折原社長が一晩中清香さんの面倒を見た件についてですが、あの日は清香さんが泥酔していて、本来は私が付き添うはずでした。ところが、俊明さんから電話があり、何としても行けない状況を作れと言われました。彼らに弱みを握られていた私は逆らえず、足を捻って怪我をしたことにして、その結果、折原社長が一晩中清香さんを看病することになり、あの報道が出たのです」清香は法廷で突然叫び出し、芳里をひどく罵倒したが、裁判官に叱責されてようやく静かになった。芳里は涙を拭いながら訴えた。「もう私はこれ以上耐えられません。清香さんは気に入らないとすぐに私を殴りつけ、八つ当たりしてきました。体中あざだらけです。確かに私は過去に過ちを犯しましたが、法廷に出る前に全て警察に話しています。どんな処罰でも受け入れます!」警察が提出した証拠と、李人の巧みな弁舌が相まって、清香らはしっかり代償を払うこととなった。清香は無期懲役、浩輝は懲役15年、俊明も懲役5年の判決が言い渡された。この裁判は、ついに幕を閉じた。清香は狂ったようにもがき苦しんだ。あの男は自分を助けに来ると言っていたのに、なぜまだ来ないのだろう?自分はすでに無期懲役を宣告された。これから一生、この暗い刑務所で過ごさなければならないのかしら?それとも、あの男は自分を騙したのかしら?彼の許可なく逃げた自分のようなペットを
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第469話

法廷を出ると、ちょうど昼食の時間になっていた。蓮子はレストランで軽く食事をしようと提案し、郁梨も断りにくかった。承平と李人もついていこうとしたが、蓮子に拒否された。「あなたたちを別のところで食べて、私たちは郁梨と一緒に食べるから」李人はキョトンとして目を瞬かせた。自分は嫌われたのか?「蓮子さん、俺は隣で静かに食事するので、お願いします」蓮子は李人の腕を軽く叩いた。「また今度ごちそうするから、ね」李人は彼女らの車が見えなくなるまで見送り、首をかしげた。「俺は確かに部外者だけど、ここまで徹底的に仲間はずれにすることはないだろ?俺何か悪いことしたっけ?」彼はじっくり思い返し、「何もしていないよな!お前の家族とは半年ぶりに会ったぐらいだからな!」と言った。承平はそばで苦笑した。「彼女らはお前のことを避けているんじゃない。俺のことを避けているんだ」「お前を?」李人は合点がいった。「なるほど、俺は無実で巻き込まれたのか。残念だな、郁梨さんともっと話して仲良くなりたかったのに」その言葉を聞いて、承平は喉が詰まるような感覚に襲われた。「勝手にしろ」離婚の話をする度、承平の胸は締め付けられるように苦しくなった。そう言い残すと、彼は一人立ち去った。李人はその場に立ち尽くし、信じられないというような表情で口を開け、なかなか状況を飲み込めないでいた。「まじかよ!」しばらくして、李人はびっくりし、急いで承平の後を追った。――真昼間から、二人の男は酒を飲み始めた。李人は感慨深げに言った。「お前と郁梨さん、どうしてこんなことになったんだ?」承平はショットを一気に飲み干し、うなだれて唇を噛んだ。そうだよな、どうしてこんなことになってしまったんだろうな?自分と郁梨は……もっと幸せになれたはずなのに!以前の郁梨は自分にとても尽くしていた。毎朝早く起きて朝食を作り、自分が出かけるのを見送っていた。仕事から帰ってきたら、自分の好きな料理を並べ、もし接待で帰れない日があっても、ベッドサイドには二日酔いに効くサプリを用意してくれていた。あんなにも尽くしてくれた郁梨を、どうして自分は大切にできなかったんだろう?過ぎ去った日々を思い返し、承平の胸は塞がり、彼はまたショットを一杯グイッと飲み干した。本当に、一度の間違いがすべてを
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第470話

承平は少し酔っていた。彼はグラスを掴もうとしたが、李人に避けられた。「グラスを返せ、飲ませろ!」「飲むな!これ以上飲んだら、後でお前の両親にどう説明するんだ?」承平はテーブルに身を伏せ、小さく呟いた。「でも、酒に頼らなきゃ、俺は眠れないんだ……」李人は一瞬言葉を失った。彼は以前から承平の目の下が赤く、寝不足だった様子なのに気づいていた。どうやら、ただの寝不足わけではなく、そもそも眠れなかったのだ。「まったく、お前は本当に可哀想だな!まあ、自業自得だけどな!」承平は無意識に首を振った「俺が?俺のどこが可哀想なんだ?俺はただの自業自得なんだ!俺は犯人を自分の命の恩人だと間違えて、清香のような女と手を組んで、郁梨をボロボロに傷つけたんだ、ボロボロにな!」そう言いながら、彼は突然李人の腕を掴んだ。「李人、郁梨はどうしてこんなに不運なんだ?どうして、よりにもよって俺なんかに出会っちゃったんだ……」そう言って承平は李人から手を離し、独り言のように呟いた。「俺のせいで、郁梨はあんなにも辛い思いをして、あんなにも苦労したんだ。彼女が自分の母親を失ったのも、全部俺のせいだ。俺は何をすれば、この罪が償えるっていうんだ?どうやって償えばいいんだって聞いてんだよ!」李人は椅子を引いて彼の隣に座った。「償えないよ!郁梨さんが失ったものは、お前がどう頑張ってももう取り戻せれないんだよ!さあ、お前はどうするつもりだ?これからは酒に逃げて憂さを晴らし、毎日ベロベロになるまで飲んで、家に帰ったらベッドに倒れ込んで、ひたすら眠り続けるってわけか?」それを聞いて、承平は何かについて考え込むような仕草を見せた。しばらくして、彼はゆっくりと首を振った。「だめだ、何もかも放り出すわけにはいかない。兄貴もまだ昏睡状態だ。彼が意識を取り戻すまで、何がなんでも俺が踏ん張らなきゃいけないんだ!」自業自得なのは間違いないし、哀れなのも間違いない。かつて光啓が折原グループを取り仕切っていた頃は、栄徳もまだ舵を握っていた。だから、光啓もそこまで追い詰められることはなかった。だが、今や栄徳は完全に身を引き、巨大企業の重圧は、すべて承平一人にのしかかっている。胸が張り裂けるほど辛くても、崩れ落ちることは許されない。生きている限り、承平は立ち向かい続けるしかないのだ。李人は
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