All Chapters of 婚約破棄の現場に遭遇したので私から求婚することにしました。白豚と嘲笑った皆様には誠心誠意お返しさせていただきます!!: Chapter 21 - Chapter 30

38 Chapters

治療のために必要なもの。

「ほとんどの物はこの国にある物で解毒ができそうなのだが、3つほど足りないものがあった。恐らくこの3つは、アジュアール国、もしくはその近郊まで行かなければ取れないものだろう。もしかしたらテッサリーニ国に来ている商会が持っている可能性もあるかもしれないが…」マリウスの代わりにボァ兄様が話し出す。アジュアール国にあるかどうかわからない…というのは私たちがアジュアール国のことをあまり知らないから答えを出すことが難しいということだろう。それにドラウゴン国からアジュアール国に行くとなると、テッサリーニ国から船で海を渡る必要がある。直接アジュアール国に行ければ少し楽になるのだが、立地上難しいだろうな。これからどのように動いて行けばいいか考えていると、フィオが恐る恐る手を挙げて話し始めた。「アジュアール国でしたら一度だけ行ったことがあります。今後交易をするためにどのような国か見ておく必要がありましたので…少しでしたら役に立てるかもしれません。」 「「「「そうだぁぁぁ!!今ここにはオルラフィオがいるじゃないか!!!」」」」兄様たち4人が立ち上がり一斉にフィオの方を向いた。ボァ兄様はその足りない解毒薬について考えていたのだろうが、残り3人はアジュアール国を侵略することしか頭にない気がする。「それで、ボァ兄様。解毒薬というのは…。」私がボァ兄様に声をかけると、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに話し始めた。「一つ目はロギヌスの水。これはアジュアール国にあるということが分かった。ロギヌスという槍が刺さっていると言われる湖があるそうだ。その水が必要となる。」ロギヌスの槍…この槍が一体何を示すかまではわからないが…きっとこの国で言う聖水に近いものなのだろう。以前、マーヤが一時的に聖水を使うと爛れが薄くなったと言っていた。成分ももしかしたら似ているのかもしれない。「水ですか…以前、マーヤが聖水を試し
last updateLast Updated : 2025-07-26
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伝説の豚。

ドラウゴン国を出て2週間。私達は伝説の豚であるトロイスの豚を探すために、ドラウゴン国から東に3日程行ったところにあるアヴァーロ島に来ていた。ドラウゴン国にも海がない訳では無い。ただ、アジュアール国には繋がっておらず、テッサリーニ国とは真逆に位置するため、ドラウゴン国から進んでいくのができないのだ。「アヴァーロ島に、すぐ入れたのは良かったな。」アヴァーロ島へは船で行くことは禁止されている。何日かに一度海の間に大きな道ができ、その時だけ島を通ることが出来るのだ。その道をドラウゴン国の人達は神の道と呼ぶ。「メローラの言う通りだな。今回は運が良かった。日によっては1ヶ月入れないこともあるしな…。」ウェインが私の言葉に返事をする。テッサリーニ国から戻ってきたばかりの時はラグネリアのこともあって少し荒れていたようだが、この数週間でだいぶ落ち着いたようだ。「ラグネリアは今回の薬の件、何か言っていたか?」「元に戻れる可能性があるのは嬉しい。ただ…同世代の女性に会うのは怖いそうだ。」「そうか…ラグネリアの同世代と言うとパルサティラ達だろうな。」誰でも虐められたりした記憶があればその人達と会うのは怖いものだろう。恐らく、それはフィオにも言えることだ。「今は取り敢えず2人を助けることを考えよう。それでその後あの2人を笑った奴らにお返しをしようじゃないか。」 「そうそう!2人ともしんみりし過ぎだよー。今はさぁ、ほら丁度目の前に伝説の豚さんがいるじゃない?あれを倒すことだけ考えよっ!ねっ?」私とウェインの肩に手を置いて話しかけてくミル兄様。こういう時に場を明るくしてくれるのはありがたい…と思いたいがもう少し早く話して欲しかった。目の前をるとこちらを睨んだような目で見てくる大きな豚。右足の樋爪で床を蹴って勢いよくこちらに向かっ
last updateLast Updated : 2025-07-26
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エトイナ山の実態。

 「少し時間は掛かったが、なんとかトロイスの脂が取れたな。」   「そうですね。全てはミル兄様が伝えた忘れたことで時間がかかったのではないかと思いますが。」  邪魔しかして来なかったミル兄様が、「俺頑張ったな…」みたいな雰囲気で話し始めたので、すかさずミル兄様に言い返す。その言葉を聞いてウェインも頷いていた。  トロイスの豚の素材自体がレアということもあり、殺してしまったトロイスの豚の素材は全てマリウスが持ち帰るらしい。 マリウスは素材を持ち帰るためか分からないが騎士団員を何人か連れてきていたらしい。  本当に用意周到な人だ…。  ボァ兄様もここにそんな時間を割くつもりはなかったのだろう。ミル兄様の頭を片手でガシリと掴んだと思ったらいい笑顔で耳打ちしていた。  「そうだな…ミルには次の所で大いに役立ってもらわなければならないなぁ…なぁ?ミル?」  「ヒッ!!も、も、もちろんです。ボァ兄上の必ずや、や、役に立ってみせましょう。」  ボァ兄様の笑顔に一瞬で気温が5℃は下がっただろう。  そんな兄弟のやり取りを見ていると、今まで見ていただけのスロットが話し出した。  「さて、これから行くエトイナ山について話そう。ここから先は我々全員未開の地だ。何が起こるかわからない。気を引き締めて行くように。特にスラッハミール。お前は変な所で調子に乗るからな。その明る
last updateLast Updated : 2025-07-26
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冒険の醍醐味はドラゴン退治でしょ!

ボァ兄様から作戦の内容を伝えられると、それぞれが自分の持ち場に移動した。  「いいかい?今回の作戦は1度だけだ。太陽がてっぺんに来た時に一斉に攻撃をする。」 ドラゴンを見たところ鱗で覆われておりなかなか剣などが刺さらないのは見ていてわかる。  「鱗がない場所と言えば、どこだと思う?メローラ。」  「他の動物で考えると関節部分や、腹、目は比較的剣が入りやすいイメージがあります。」  いつも獣を倒す時に狙う場所を思い浮かべながら話す。  「正解だ。これは生き物全て同じだと思う。そこでだ。目と腹そして動けなくなるよう手足の関節をいっせいに攻撃することにした。ドラゴンは炎で出来ているも同然、恐らくすぐ再生してしまうだろう。そして目覚めてしまえば手が付けられない。欠片でいいから目を手に入れられれば俺たちの勝ちだ。」  ボァ兄様の言う通り、欠片で良いのだ。それを取れれば勝ち。あわよくば鱗など手に入れたいところだけど高望みはしない。  「分かりました。それで行きましょう。で、誰がどこに攻撃しますか?」   今回いちばん難しいポジションは目を攻撃することだろう。素早さだけでなく、攻撃力も必要だ。と、なると…ミル兄様かスロットが行くのがいいのだけど。皆同じ考えなのかミル兄様の方を見る。  「はぁ…分かってるよ。今回は俺が目を攻撃しよう。それにドラゴンと戦えるなんて早々無いしな。やはり冒険と言ったらドラゴン退治だし、おれが勇者になる!!」 
last updateLast Updated : 2025-07-26
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アジュアール国へ。

あの後、エトイナ山と呼ばれていたブリュレソレイユドラゴンは討伐され、ずっと萌え続けていた木々の全ての火が少しずつ弱まって行った。  ブリュレソレイユドラゴンがまた生まれるのかは定かではないが、ここ100年は大丈夫だろうと言うのがマリウスの見解だ。  「まさか倒してしまうとは思っていなかったがな…」  「ミル兄様は強いですからね。最後のトドメは見ていてとても気持ちが良かったです。」 私が上手く羽根での攻撃をキャンセルしたのもあるかもしれないが、ミル兄様一瞬の隙を見逃さなかった。 あそこで羽根の攻撃を受けていたら皆丸焦げだっただろう。我ながら上手く動いたと思う。  「そうだろそうだろ。俺もドラゴンの首をスパーンと切った時は気持ちが良かったね。やはり俺は勇者になるべくして生まれたようだな。ハハハ!!」  うん…ミル兄様は少し子供っぽいところがあるが、その分扱いやすい。 家族の中で一番バカだけど、強さだけなら父様と同等かそれ以上だろう。 頭が使えない分父様には勝てないようだけど。 それでも有り余ってお釣りが来るくらいの強さだ。  バカだけど…。   「流石ですよ!この調子でアジュアール国も私たちの領土にしてしまいましょう!!ミル兄様!!」  「そうだな!それがよい。さぁ、行くぞ!!メローラよ!!!」  
last updateLast Updated : 2025-07-27
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アジュアール国の実態。

「いや、こちらとしてもドラウゴン国の方とは会ってみたいと思っていたところだ。遠路遥々ご苦労であった。して、わざわざ王族が来るとは一体どのような要件だろうか。」  初めて来る国に王族だけで来るなんてそんなことはしないだろうと言いたいのだろう。少しこちらを疑っているのも目を見ていれば分かる。  「最近隣国で新しい国と交易を始めたと耳にしまして…そこのお茶が今流行っていると聞いたのです。それ意外にもこの国のドレスにとても興味がありまして…」  嘘は言っていない。最近テッサリーニ国で流行っているお茶。確かジャスミンティーと言ったはずだ。令嬢たちの間で目も楽しめると話題のお茶なのだとマーヤが教えてくれた。  「はい、ジャスミンというお茶なのですが、カップの中でお茶を注ぐと花が開いてきれいだと耳にしたのです。それとこちらのドレスにその染色、私達の国では出来ない技術だと思っております。私達の国でも流行ること間違いなしだと思うのです。是非、交易していただけないかと…。」   ボァ兄様の言葉に続けるように私が話す。私だってひめなのだ。話を合わせるくらい出来る。  「ふむ。なるほどな。その件については我が国としてもありがたいことだが…君たち、ドラウゴン国は代わりに何を差し出すというのだ。」  椅子に肘をついて話を聞くのが面倒くさいとばかりに手に顎を乗せている。  見るからに小物臭がする国王陛下だが、やたらと上から目線で腹が立ってくる。 見た目と性格ともに肥えた味の悪そうな豚にしか見えない。いや、それは豚に失礼
last updateLast Updated : 2025-07-27
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後宮。

 「今から、あるお方の所に行っていただきます。」  ボァ兄様が帰ったあと、私は謁見の間まで案内してくれた女性に後宮へと連れて行かれた。 後宮の中に入ると空気がより一層重くなった。以前、後宮は女の戦場だと母様が言っていたがもしかしたらそれが関係しているのだろうか。  「なんだか空気が殺伐としていますね…これが普通なのですか?」  「…そ、そうでしょうか?いつもこのような感じなので気にしたことは無かったのですが…。」  私の言葉に侍女の纏う空気が少し変わったのがわかる。まるで何かに見つかることを恐れているような…そんな感じだ。  後宮内はとても広い。私たちが住むキャロット城に比べて3倍くらいの広さはあるだろうか。  侍女に着いて歩き始めて10分位経った頃、1つの部屋の前で止まった。  扉の中へと促されてはいると部屋の中は光一つない暗闇の世界だった。  そしてそこから凛とした声が聞こえてくる。  「急にこのような所に連れてきてしまいすまないな。あまり時間が無い。手短に話そう。他国の姫にこのようなことを頼むのは不躾であることは重々承知している。しかし、もうこの国は限界なのじゃ。助けてくれないだろうか。」   「申し訳ございません。急なお話でまだ整理が出来ていないのですが、もし良ければ簡単にで構いませんので話して頂けませんか。」 
last updateLast Updated : 2025-07-27
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ドラゴウン国。

アジュアール国を牛耳っていたヘルムート達を捕まえたあと、ロギヌスの湖の水を汲むと私たちは急いでドラウゴン国に戻った。あの後、アジュアール国の国王陛下と少し話す機会があったが、ずっと毒を飲まされ続けていたようで解毒するのに時間がかかるらしい。ただ、アジュアール国にはロギヌスの水がある。マルヴィナ王妃が、お礼にと教えてくれたが、ロギヌスの水は万能薬とも言われており、飲み続けていれば時間はかかるものの解毒することが可能だそうだ。ただ、促進効果がある訳では無いため、解毒にかかる時間は毒をどのくらい体内に取り込んだかによって変わってくる。私が後宮でヘルムートたちを捕まえている間に、ミル兄様が王宮を制圧してくれたいたが、その中にフェサリス王子はいなかった。フェサリス商会と何かしら関係あるのではないかと思っていたのだけど…一体どこに消えたのか分からないただヘルムートがいくら国王の義弟だからといってこんな騒動を1人で起こせるかと言ったら無理な話だろう。誰かしら手引きをした奴がいたはずだ。私はそれがフェサリス第2王子だと思っている。元々、王太子殿下だったフェサリス第2王子。マルヴィナ王妃になかなか子ができず、アンドレアス国王陛下は側妃を娶ることにした。そして、できたのがフェサリス第2王子だ。マルヴィナ王妃自身ももう子供が出来ないと諦めていたが、それから10年後…妊娠したのである。そして産まれたのがエリアス。10年間、辛い思いをしながら耐えてきたフェサリス第2王子はエリアスが産まれたことで生活が一転した。 と、言うのが私の考えた事である。まぁ、どこまでが本当かは分からないけど、おおまかこんな感じな気がする。1週間以上かかて、ドラウゴン国に戻るとマリウスとボァ兄様は早速研究室へと帰って行った。「ただいま、フィオ。」「おかえりメローラ。」
last updateLast Updated : 2025-07-28
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ラグネリア・ヴァルディー

ボァ兄様とマリウスが用意した薬の1つを恐る恐る手に取る2人。もしかしたら死ぬかもしれないと言われている訳だし、怖くなる気持ちも分かる。震えている手に軽く手を添える。「大丈夫だ。2人なら勝てる。」薬を口まで持っていくと、一息ついてから勢いよく口の中に流し込んだ。それから一つ一つゆっくりと時間を空けて全てを飲み干したあと、少し眠たいのか2人の頭が大きく船を漕ぎはじめる。「眠たいなら少し寝てしまえ。私とウェインはここにいるか、安心しろ。」声は何とか聞こえているようで、2人とも軽く頷いたあとゆっくりと夢の中へ落ちていく。薬を飲み干した直後は少し息が荒く辛そうだったが、次第にそれも落ち着き、気持ちよさそうな寝息だけが響いていた。 そして薬を飲んだ翌日から、少しずつ、肌や見た目にも変化が訪れる。「うむ。ここまで綺麗になればあとは自然治癒でいけるだろう。2人とも良く頑張ったな。」薬を飲み始めて1週間。フィオとラグネリアの身体は元の状態に近い状態まで快復し、爛れていた肌も薄らと痕は残っているが化粧などをすれば隠れる程までになっていた。「あ、ありがとうございます。これでウェインの横を堂々と歩ける。」女性がこのような状態になるのはどれだけ辛かっただろう。ラグネリアは自分の顔を鏡で見ると、その場では泣き崩れた。「よかったな。ラグネリア。その…こんな所で言うのとなんなんだが…私には女の友人がいないのだ。もしよければ私と友人になってくれないだろうか。」今までずっとベールをしていたから見えていなかったが…少し儚げな雰囲気に艶やかさ。綺麗と言う言葉が良く似合う。こういうのを月下美人というのかもしれないな。「よろしいのですか?私なんかが姫殿下の友人なんて…。」「勿論だ。それに、私なんかと言うな。
last updateLast Updated : 2025-07-28
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