ボァ兄様とマリウスが用意した薬の1つを恐る恐る手に取る2人。もしかしたら死ぬかもしれないと言われている訳だし、怖くなる気持ちも分かる。震えている手に軽く手を添える。「大丈夫だ。2人なら勝てる。」薬を口まで持っていくと、一息ついてから勢いよく口の中に流し込んだ。それから一つ一つゆっくりと時間を空けて全てを飲み干したあと、少し眠たいのか2人の頭が大きく船を漕ぎはじめる。「眠たいなら少し寝てしまえ。私とウェインはここにいるか、安心しろ。」声は何とか聞こえているようで、2人とも軽く頷いたあとゆっくりと夢の中へ落ちていく。薬を飲み干した直後は少し息が荒く辛そうだったが、次第にそれも落ち着き、気持ちよさそうな寝息だけが響いていた。 そして薬を飲んだ翌日から、少しずつ、肌や見た目にも変化が訪れる。「うむ。ここまで綺麗になればあとは自然治癒でいけるだろう。2人とも良く頑張ったな。」薬を飲み始めて1週間。フィオとラグネリアの身体は元の状態に近い状態まで快復し、爛れていた肌も薄らと痕は残っているが化粧などをすれば隠れる程までになっていた。「あ、ありがとうございます。これでウェインの横を堂々と歩ける。」女性がこのような状態になるのはどれだけ辛かっただろう。ラグネリアは自分の顔を鏡で見ると、その場では泣き崩れた。「よかったな。ラグネリア。その…こんな所で言うのとなんなんだが…私には女の友人がいないのだ。もしよければ私と友人になってくれないだろうか。」今までずっとベールをしていたから見えていなかったが…少し儚げな雰囲気に艶やかさ。綺麗と言う言葉が良く似合う。こういうのを月下美人というのかもしれないな。「よろしいのですか?私なんかが姫殿下の友人なんて…。」「勿論だ。それに、私なんかと言うな。
Last Updated : 2025-07-28 Read more