婚約破棄の現場に遭遇したので私から求婚することにしました。白豚と嘲笑った皆様には誠心誠意お返しさせていただきます!!

婚約破棄の現場に遭遇したので私から求婚することにしました。白豚と嘲笑った皆様には誠心誠意お返しさせていただきます!!

last updateLast Updated : 2025-07-25
By:  ゆずこしょうUpdated just now
Language: Japanese
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父母に言われ、無理矢理夜会に参加することになったメロライン。 壁の花に徹していると…突然女性が誰かを糾弾し始めた。 「私、貴方のようなデブで吹き出物だらけの豚とは結婚できませんわ!」 「そ、そんな…そんなこと言わないでくれ…」 女性に縋り付く男性をもう1人の男が勢いよく蹴り上げる。 「残念だったな…オルラフィオ王太子殿下。お前とパルサティラの婚約は今日この日を持って破棄させてもらおう。」 一人の男が鼻血を出しながら膝から崩れ落ちた。 「フッ…なんだ。あんな性根の腐ったヤツらなんて放っておけ。オルラフィオ王太子殿下いいことを考えたぞ。私と婚約するのはどうだろうか。」 閃いたとばかりにメロラインは求婚したのだった

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Chapter 1

出来れば夜会には参加したくない。

「なぁ、マーヤ。やっぱり夜会に参加しないと行けないのか?」

「そうですね。メロライン姫様には夜会が似合わないことは重々承知しておりますが、そろそろ婚約者を作らなくては、旦那様も奥様も悲しまれますよ。」

この1年、嫌というほど夜会に参加してきた。

理由は簡単。婚約者を作るためだ…。

この国では不思議な事に16歳から18歳までに婚約者ができなければ売れ残りというレッテルを貼られる事になる。

そうなると更に婚期は遠のき、訳あり貴族やお金持ちの商家に嫁ぐか…平民となるか。最悪ずっと独身で終えるなんてこともある。

私的にはずっと独身でも構わないと思っているんだけど…どうやらそうは行かないらしい。

母様は「結婚こそ女性の夢よ。」と言っているくらいだ。

余っ程騎士団に所属して戦地に赴いている方が性にに合っているというのに…。

「そうだけどさぁ…私的にはその令嬢の嗜みがよく分からないんだよな…お茶会に行ってはお互いを牽制しあって、表では仲良さそうにしていても裏では陰口を言い合う…。魔物達の方が裏表なくて可愛げあるぞ?」

「確かに、メロライン姫様の仰ることはよく分かります。私も一応男爵家出身ですから。その関わりが嫌で侍女になったのです。」

マーヤが以前話していたことを思い出す。

確かマーヤには婚約者も居たと言っていたはずだ。その婚約者が他の女と駆け落ちしてしまった…とかで結婚を諦めたんだったはず…しかも相手の女はマーヤの友人で、前日まで一緒に出かけたりしていた仲だったそうだ。

「すまない…嫌なことを思い出させたな。今日の夜会は確か…」

「過ぎたことですのでお気にならさず…今日はスロット公爵家の夜会です。テッサリーニ国の王太子であるオルラフィオ様も来られているようですよ。」

スロット公爵家か…ランドルと父上は昔からの親友だと言っていたし、参加しないといけないのは分かるのだが、どうもランドルの奥方、エレイラの事はあまりに好きになれない…。

「そうか。テッサリーニ国から態々参加するとは珍しいこともあるんだな…。」

「そうですね。オルラフィオ王太子殿下の婚約者がパルサティラ様だったはずですから他の方々への紹介も兼ねてこられたのでしょう。」

パルサティラ・ドレッド。

モルガン・ドレッド公爵の一人娘で昔からあまりいい話を聞かないし、幼い頃に母親を亡くしているからか、我儘で気位が高い娘だ。

今までに何人の令嬢が泣かされてきただろうか。

そんな女と婚約なんて、恐らくドラゴウン国との縁を作りたかったのだろうが、少し可哀想になってくるな。

相手が相手なだけにこのままで済めばいいのだが…

「パルサティラか…昔からあいつとはウマが合わないんだよな…今日は何事もなくこの夜会が終わればいいが。」

「そうですね。昔から本当に反りが合わず、しょっちゅう喧嘩をされていましたしね…。さて、出来ましたよ。一応見た目は女性らしくなっていると思います。」

鏡を覗くと確かにいつもとは違う自分が現れた。母上がピンクのドレスと持ってきた時は、それを着るくらいであれば絶対に夜会には参加しないと断固拒否したものだ。

青いドレスであればそこまで目立ちもしないし大丈夫だろう。

「青いドレスにして正解だったな…マーヤ。恩に着る。」

「本当ですよ。急な変更で準備が大変だったのですから。いいですか?メロライン姫様は······美しいのですから!じっとしていてくださいよ。」

マーヤは片方の手を腰に出を当てたもう一方の手をピシリと私の方に突き出した。

「わ、わかった。今回は何もしないで静かにじっとしているから安心してくれ。そ、それに…だ。もし何かあれば今度こそ母上がピンクのドレスを着させると言っていた…それだけは何としてでも阻止しなければならん。」

首がもげるのではないかと言うくらい縦に首を振ると、分かってくれたようで、「約束ですからね!」と一言言ってから手を下ろした。

ドレス選びから始まり、装飾選び、身支度、全ての準備を終える頃に明るかった空も暗くなり始めていた…。

今回の夜会には父上や母上、兄上も参加するようで、馬車が何台も準備されている。

「あら、メルちゃん。ドレス似合っているわね。」

母上が笑顔でこちらに近付いてくる。

母上が、メルちゃんと言う時は何かしら含みがある時だ。絶対ピンクのドレスを着なかったことを根に持っている…。

「そ、そうでしょうか。このドレス。母上が選んでくれたとお聞きしました。さすが母上のセンスはバッチリですね。」

ドレスの裾を摘みながらくるりと回ると、母上はため息を着いて。

「本当に…どうしてこんな子に育っちゃったのかしら…」とぼそりと呟いた。

聞こえてますよ…母上。そしてこんな子に育ったのは…母上と父上。そして兄上たちを見て育ったからです。

そう!私だけが原因では無いのです!

と、言いたいところだけど、言い返すとあとが大変になるため、グッと言葉を飲み込んだ。

「皆揃ったようだし、出発しよう。」

母上と話している間に、兄上達も皆馬車に乗り込んだようだ。

父上の言葉に馬車がゆっくりと進み出した。

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出来れば夜会には参加したくない。
「なぁ、マーヤ。やっぱり夜会に参加しないと行けないのか?」「そうですね。メロライン姫様には夜会が似合わないことは重々承知しておりますが、そろそろ婚約者を作らなくては、旦那様も奥様も悲しまれますよ。」この1年、嫌というほど夜会に参加してきた。理由は簡単。婚約者を作るためだ…。この国では不思議な事に16歳から18歳までに婚約者ができなければ売れ残りというレッテルを貼られる事になる。そうなると更に婚期は遠のき、訳あり貴族やお金持ちの商家に嫁ぐか…平民となるか。最悪ずっと独身で終えるなんてこともある。私的にはずっと独身でも構わないと思っているんだけど…どうやらそうは行かないらしい。母様は「結婚こそ女性の夢よ。」と言っているくらいだ。余っ程騎士団に所属して戦地に赴いている方が性にに合っているというのに…。「そうだけどさぁ…私的にはその令嬢の嗜みがよく分からないんだよな…お茶会に行ってはお互いを牽制しあって、表では仲良さそうにしていても裏では陰口を言い合う…。魔物達の方が裏表なくて可愛げあるぞ?」「確かに、メロライン姫様の仰ることはよく分かります。私も一応男爵家出身ですから。その関わりが嫌で侍女になったのです。」マーヤが以前話していたことを思い出す。確かマーヤには婚約者も居たと言っていたはずだ。その婚約者が他の女と駆け落ちしてしまった…とかで結婚を諦めたんだったはず…しかも相手の女はマーヤの友人で、前日まで一緒に出かけたりしていた仲だったそうだ。「すまない…嫌なことを思い出させたな。今日の夜会は確か…」「過ぎたことですのでお気にならさず…今日はスロット公爵家の夜会です。テッサリーニ国の王太子であるオルラフィオ様も来られているようですよ。」スロット公爵家か…ランドルと父上は昔からの親友だと言っていたし、参加しないといけないのは分かるのだが、どうもランドルの奥方、エレイラの事はあまりに好きになれない…。「そうか。テッサリーニ国から態々参加するとは珍しいこともあるんだな…。」「そうですね。オルラフィオ王太子殿下の婚約者がパルサティラ様だったはずですから他の方々への紹介も兼ねてこられたのでしょう。」パルサティラ・ドレッド。モルガン・ドレッド公爵の一人娘で昔からあまりいい話を聞かないし、幼い頃に母親を亡くしているからか、我儘で気位が高い娘だ。今ま
last updateLast Updated : 2025-07-20
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壁の花。
夜会の会場に着くと既にたくさんの人でごった返している。恐らく国王陛下である父様が夜会に来ると嗅ぎつけたのだろう。父様も母様も殆ど夜会には参加しない。参加するとしたら国家行事の時や、仲のいい友人から招待を受けた時くらいだ。以前、母様に聞いたことがある。私には夜会に参加しろと言うのになぜ自分たちは夜会に参加しないのかと。そしたら母様は、王族の私たちが参加したら、皆楽しめないし、主催者よりも私たちが目立ってしまって主役になってしまう可能性が高い。それに忖度してこようとする輩まで出てくるかもしれないから行かないのだと言っていた。「メローラ。今日こそ婚約者を見つけないとそろそろ母上たちが怒るぞ。」「分かっていますよ。アニバル兄様…しかし今日は何も問題起こさないと決めているのです。で、ないとピンクのドレスが…。」母様が持ってきたピンクのドレスを想像する。たくさんのリボンとフリルが着いていて髪につける髪飾りまでリボンだった。それを自分が着ると言う想像をするだけで鳥肌が立つ…。「フン…それよりも縁談の方が面倒だろうが…。取り敢えず1人くらいは自分から声かけろよ?で、ないとまた母上が縁談を拾ってくるぞ。」兄様だって結婚相手を作る気もなくのらりくらりしているのに何故女と言うだけで、私だけが言われるのかがよく分からない。アニバル兄様こそ王太子なのだから結婚相手を見つけなくては行けないのではないだろうか。「これが女と男の違いと言うやつか…つくづく嫌になる…。」私は兄様達と別れると、壁によりかかって辺りを見渡した。夜会のときは壁に寄りかかって観察するのが1番面白い。兄様達は令嬢立ちに囲まれて渋い顔をしているし、父様たちは下心ありそうな大人に囲まれている。恐らく、兄様達の婚約者にうちの娘はどうかと勧められているのだろう。あんなに話しかけられても顔色一つ変わらない母上は流石だと思う。「また、お前はそうやって壁の花に徹しているのか…?」「なんだ…ウェインか…。お前も呼ばれていたのか…。」声を掛けてきた男の方を見る。ウェインライト・ガーフィール私より3歳年上の19歳でガーフィール侯爵家の嫡男。私の幼馴染でもある。ウェインの母が私の乳母をしていたこともあり、兄妹のようにして育った。兄様たちとは歳が離れているからか、兄様たちよりも兄妹らしいかもしれない。
last updateLast Updated : 2025-07-20
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一石二鳥。
そうだ、ガランハルド・スロットランドルの一人息子だったはずだ。こいつもこいつでいい性格しているんだよな…女好きで見境ないし。よくランドルに怒られてた記憶がある。「この白豚!いい?私は貴方のような白豚と結婚する気は無いの。お父様に頼んで婚約破棄して貰うわ!そして私はガランハルドと結婚するの!」「そ、そんな…君が婚約したいと言ったんじゃないか…だからこの婚約を受けたというのに…」パルサティラの事だ。他の全て優位に立たないと気が済まない。それは人も物もだ。だから肖像画を見て、美男だと思って飛びついたんだろう。だが実際会ってみたら…全然違った。そんな所か…。3人のことを見てるとガランハルドが勢いよくオルラフィオ王太子殿下の顔を思い切り蹴り上げる。蹴った足が顎に直撃していたこともあり、軽く脳震盪を起こしたのだろう。オルラフィオ王太子殿下は呻き声をあげながら膝をついてその場にうずくまった。「ふん。テッサリーニ国の王太子が聞いて呆れるな。そんな見てくれでよく王太子なんか務まるものだ。いいか。パルサティラは俺の女だ。」オルラフィオ王太子殿下の前髪を引っ掴んで上を向かせると…「俺たちの前に二度と顔を見せるんじゃねぇぞ。白豚が…。」もう一度勢いよく顔を床にたたき落とす。既にオルラフィオ王太子殿下は戦意喪失した目をしていた…周りの奴らも見て見ぬふりで、クスクスとオルラフィオ王太子殿下をみて笑っているだけだ。仮にもこの国の貴族なのかと疑いたくなる。こんなの見たら兄様は愚か父様や母様だって怒るだろう。たまたま席を外していたようでよかった。母様から問題を起こさないように釘を刺されているし、出来れば父様たちが来てくれるのが1番なんだけど、居ないからこそ行動に移したのだろうことは何となくわかる。「おい…行くのか?」私が歩き出すとウェインが後ろからついてくる。「あぁ、ああ言うのは見ていて胸糞悪い。それに元々好青年だった男がああなるという事は何かしら理由があるのだろう。それに、あれを止めない方が後で母様たに怒られるぞ…」「た、確かに…そうだな…。」それに私は今の状態から一つだけ名案を思いついたのだ。問題も解決して、上手く行けば婚約者を作ることも出来るかもしれない。そしたらピンクのドレスも着なくて済むし怒られないしで一石二鳥、いや三鳥くらいになるだろう。
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女神様!? オルラフィオ王太子殿下視点。
「はぁ…」「大丈夫か?オルフィ」「お前だけだな。この姿になっても普通に接してくれるのは…ジーノ」自分がこの1年で見るに堪えない姿になってしまっていたのはよく分かっていた。父上や義母上だけでなく、侍女や従者、貴族達からも「白豚」と罵られ、煙たがられているの知っている。このままでは結婚すらできない…とまで言われ、廃太子となるのも時間の問題だろう。最近では父上も弟ピリットンに仕事を任せるようにしていた。その中で唯一私の味方でいてくれたのが、ジーノ・スポレトーレ。スポレトーレ公爵家の嫡男で、私の従兄弟だ。スポレトーレ公爵家は母上の実家でもあり、小さい頃から何かと世話になっている。今回もそうだ。急に太り、脂ぎった身体。体からは据えたような匂い。顔は吹き出物だらけでやけどのような爛れまである。そんな私を快く迎え入れてくれた。義母上やピリットンから「臭いから王城には居ないで頂戴。」とまで言われた私をだ。今まで婚約者にと近づいてきていた女性達もこの姿になってからは誰1人として近づいても来ない。やはり中身では無く見た目なのだろう。体を洗ってケアをしてみたり、痩せるよう体を動かし食事を変えてみたりもしたが全然変わらない。全てにおいて自信がなくなり、部屋からも出ず引きこもっていると、父上から一通の手紙が届いた。父上から連絡が来るのは半年ぶりくらいだろうか。少しは私のことを心配でもしているのかも読んでみると、そこには婚約者ができたこと、2週間後にドラウゴン国で行われる夜会に参加するように書かれていた。ドラウゴン国。軍事国家で近隣諸国の中で最も大きい国だ。特に、今の国王になってから戦は負け無しだと聞いている。普通であれば他国の王太子と
last updateLast Updated : 2025-07-20
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隣国の王太子殿下に求婚する。
 「ハァハァ…ちょっと待ってください!パルサティラ嬢!少し話がしたいだけなのです。」  穏便に話をしたい私はゆっくりとパルサティラ嬢に近づくと後ろに後ずさっていく。それはそうだろう…この見た目でちょっと歩くだけで息切れするようなやつに近づいてほしいやつなどいないはずだ…  「わ、わわ私に近寄らないで!!!貴方みたいなデブで吹き出物だらけの豚と結婚できませんわ!あ、あああ、貴方なんか私の婚約者に相応しくないわ!!!」   「そ、そんなこと言わないでくれ…パルサティラ嬢。」   「やめてよ。汚らわしい…その汚い身体で私に触れないでちょうだい。この白豚!!」  勢いよく身体を押されて尻餅をつく。女性に押されただけで倒れてしまうとは…それにしてもこれでも豚と言われれば傷つくのだがな…。パルサティラ嬢が会ってもいない男と婚約しようとしたのも敗因の一つだと思うのだが間違っているだろうか。 それからの時間はやたらと長く感じた。  ただ呼ばれたから来ただけの夜会で、知らない男に蹴られ、婚約者であろう女には罵られる。違う国の貴族たちにも侮蔑のまなざしで見られるし…私は何のために来たのだろうか…そんな風に思っていた時…  1人の女神さまが手を差し出してきた。  「もし良ければ私と婚約をしないか?君の事は昨年、テッサリーニ国の建国祭で見かけて知っていた。国民のことをよく考えていて、私は好感を持
last updateLast Updated : 2025-07-20
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婚約したい相手を父様達に紹介することにしました。
「分かりました!ではフィオ様と呼ばせて頂きます。それと私の事もメローラと呼んでくださいませ。メロラインと呼ばれる時は大体怒りの鉄拳が母様から降りる時なので…吃驚してしまいまして…」母様の話をすると大体の人は笑ってくれるのだが、少し困った顔をする程度。ずっと下を向いているし、父様たちのところに連れて行っても、余りいい印象を持たれないだろう。 「フィオ様。よろしいでしょうか?これからフィオ様には私の家族と会っていただきます。そこで…1つお願いがあるのですが…」 「な、なんだろうか?」フィオ様顔がこちらを向いた。確かに見た目は変わっているようだが…こちらを真っ直ぐと見つめる翡翠の目の色は何も変わっていないようだ。「正直言って私の家族はとても変わっていると言いますか…まぁ、その変わっているのがこの国の王族なんですけれども…」この国の王族は戦闘民族と言っても過言では無い。特に父様は戦闘が好きで戦があれば誰よりも前に出て戦うようなお方だ。それに似た1番目の兄、アニバル兄様と3番目の兄、スラッハミール兄様も同じである。考えるよりも先に動くからか、周りからは脳筋などと呼ばれている。逆に2番目の兄ボァルトルト兄様、4番目のロオーデリヒ兄様は母様に似ているのか外交などが得意だ。だからと言って戦闘が弱い訳では無い。父様たちより劣るかも知れないが、その分頭の良さでカバーしているので、負け知らずだったりする。言わずもがな、怒ると怖いのは単純な3人よりもボァルトルト兄様とロオーデリヒ兄様、そして母様なんだけど…「まず、私達家族の前で下を向いて話すのは禁止だ。前を見て、話しかける相手の目を見ながら話すこと。見てくれを気にするような輩は居ないからな。寧ろそんなヤツがいたとしたら…なぁ、ウェイン?」
last updateLast Updated : 2025-07-20
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婚約。
⟡.·*.··············································⟡.·*.ウェインライト視点。 「ウェイン。その…メローラは本当に私でいいのだろうか?」「いいんじゃないですか?それにメローラは見た目だけで判断するような奴ではありませんよ。オルラフィオ王太子殿下は知らないかもしれませんが、俺たちは昨年行われた建国祭に行っているんです。その時に貴方のことを見かけました。」1年前の建国祭。建国祭は1週間通して行われ、うち3日間は夜会が行われるというものだった。と、言っても夜会に参加するのは貴族のみで国民たちは1週間の建国祭を町の中で楽しむ。そんな建国祭に、俺たちはドラウゴン国の代表として参加していたわけだが、メロラインが3日間の夜会に耐えられるか…と言ったらそんなことはなく…俺たちは夜会を抜け出して城下町を回っていた。「その時に、たまたまあなたを見かけたんですよね。メローラは、あぁ見えて記憶力がとてもいいんですよ。一度あった人の顔は忘れません。恐らくロオーデリヒ殿下と話していたのを見たんでしょうね。その時に言っていました。「国民にあれだけ慕われている王太子を初めて見たかもしれない…」と。」城下
last updateLast Updated : 2025-07-21
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マリウス・リンデマン。
夜会を終えてから2週間が過ぎた。  フィオはこの2週間、自国には帰らず私達王族が住まうキャロット城に身を寄せている。  フィオが色々話してくれたが、このような見た目になってから味方になってくれていたのは従兄弟にあたるスポレトーレ公爵家のジーノだけだそうだ。  初めは見た目のことを気にしていたフィオも、私達家族が誰も気にしていないのがわかってからは、ゆっくり寛げているようで、いつの間にか父様達とも仲良くなって情報交換なども行っていた。  そして、私は案の定母様の怒りの鉄拳を頂いた。ウェインはそれを見て笑っていたが、お前も同罪だと2人して怒られ、止めなかったお前も悪いとロオーデリヒ兄様も一緒に怒られていた。  この家で母様に敵う者はいない…。  謹慎処分などなかっただけ良かったが、次バレたら城下町に行くのを禁止されそうだ。   「マーヤ。フィオの状態はどうだ?」  「色々な薬を試していますが、あまり効果は見られないですね。ただ、聖水だけは一時的ですが、爛れた皮膚に効果があるようです。貴重な薬なのでそこまで準備ができないのが残念なのですが…」  気分転換がてら城下町でも行かないかと声をかけてみたものの、外に出る勇気はまだないようで断られてばかり。 せめて爛れた皮膚だけでも良くなれば気持ち的にも上が向くかと思ったのだが、なかなかよくならないらしい。  「そうか…やはり、父様の言
last updateLast Updated : 2025-07-21
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「マーリン。連れてきたよ。」ボァ兄様が声をかけると、薬草畑の中からヒョイッと顔だけ出してこちらを見る。「おおおぉ!!君がオルラフィオ王太子殿下かい!いやぁ、話を聞いてからずっと会ってみたいと思っていたんだよ。ふむふむ。確かに…この状態は酷いな。」スタスタと近づいてきてある程度観察すると何を思ったのかまた奥の部屋へと入って行ってしまった。「えっと…なんだか話す前に居なくなってしまったんだが…やはり気持ち悪かっただろうか。」フィオがマリウス動きについていけず、自分の所為で居なくなったのではないかと不安になっているが、これがいつものマリウスの動きだ。「そ…「大丈夫大丈夫!あれはいつものマーリンの動きさ!何かしらオルフィのその状態に心当たりがあるのかもしれないよ。」私がフィオに話しかけようとすると被せるようにボァ兄様が話してくる。本当にこの師匠にしてこの弟子ありだ。ボァ兄様はマリウスの知識を受け継いでおり、かなり頭がいいのだが…如何せんマリウスと同じように人の話を聞かないのである。1人であればまだ我慢できるのだが、2人が揃うとかなり面倒な存在だ。だが、それ以上に解決が早くなったりする分、なんとも言えない所である。だが、出来れば関わりたくない…。と思ってしまうのは私だけだろうか…。 暫くするとマリウスが一冊の本を持って戻ってきた。「マーリン。やっぱりこれは呪術とかなのかい?」 呪術という言葉を自分で発しながらワクワクしているボァ兄様。フィオが心配で着いてきたと言うよりは、自分の興味で着いてきたというのが正しいようだ。 「呪術なんてものはあるわけないだろう?ただね、それに似せることは出来るんだよ。この本の内容をよく見ておく
last updateLast Updated : 2025-07-21
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メローラのやるべきこと。
マリウスはフィオの目を見て本気だということがわかったのだろう。1度大きくため息をついてから、私の方を向いた。  「…はぁ…分かりました。そこまで言うのであれば、力を貸しましょう。メロライン姫。貴方にはいくつかやってもらいたいことがあります。」   「な、なんだ?」  ここまでの話的に薬が分かればいいと言う話だと思ったんだが、私にやって欲しいこととはなんだろうか。マリウスの事だからあまりいい気はしないんだが…  「貴方にはテッサリーニ国の王宮に潜り込んでいただきたい。」   「「「は!?」」」  マリウスの突拍子の無い言葉に思わず聞き返してしまったのは私だけではなかったようだ。その後マリウスは順を追って説明を始めた。  「先程薬の順番を間違えれば死に至ると伝えたのは覚えていますか?」  「あぁ…それは覚えているぞ。」  マリウス曰く、ある程度薬の順番は分かるそうだが確証にかける部分が幾つかあるらしい。それはドラウゴン国になくて他国にある薬草類なのだそうだ。  オルラフィオはテッサリーニ国王太子殿下。ドラウゴンにない薬草を使われてもおかしくないだろう。  「オルラフィオ王太子殿下。ここ数年で、テッサリーニ国は他国との交易が盛んになっていますよね。この交易品の中に薬草なども含まれるのでは無いです
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