Semua Bab 麻雀食堂―mahjong cafeteria―: Bab 41 - Bab 50

53 Bab

その5 第三話 紙パックのアイスコーヒー

41. 第三話 紙パックのアイスコーヒー 「ただいまー」 ドアを開けると美咲が出迎えてくれた。どういうことだ?「おかえり~。ちょうど良かった。今から夕飯の買い物しに行くとこなの! 一緒に行こうよ」 まあ、そういうことだよな。出迎えるわけがないんだから。「重いもの持たせるつもりだろ」「正解〜。お米がもう無くってさ」「うわ。よりによって米かよー、一番重いやつじゃんか」「まあまあ、5キロのでいいから」「当たり前だろ。飲み物とか野菜は美咲が持てよ?」 「仕方ないなー。紙パックのパンプキンスープも持ってもらうつもりだったけど。ま、ちょっとだけならね〜」  そんなやり取りをしながら俺たちは近くのスーパー『クルベ』まで歩いて行った。 「で、今日も行ってたんでしょ? 例の所。どうだった? 何か進展あった?」「進展てなー。おまえ何か勘違いしてるようだけど、俺は基本的に飯と麻雀を目的として『あやの食堂』に足を運んでるんだ。進展とか、そんな恋愛シミュレーションゲームみたいな感覚じゃないんだよ。でも、そうだな。麻雀はちょっと進展したかもしんないな。俺、ちょっと難しい麻雀クイズが解けたんだ」 「へぇ~、どんなクイズなの?」「それはな……」 ──────  買い物中ずっとクイズのことばかり考えていた美咲は俺からヒントをもらったりしたが、クイズを正解した! しかも、俺が苦戦したリャンペーコーの方を先に思い付いたのだ。そのあとヒントをあげたらチャンタ三色の方も正解した。アタマの中でイメージするだけで答えが浮かぶってすごいなと驚いた。 伊達に麻雀アプリゲームで三段まで行ってないということか。あとでわかったことだが、美咲は本当に強かった。普通なら三段までは半年〜1年かけるもので、ほんの2ヶ月程度で三段
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-28
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その5 第四話 美味しい温度

42. 第四話 美味しい温度  美咲が米をセットしてる間におれはじゃがいもを切ってた。皮むきしたじゃがいもを半分にし、切断面をまな板に下にして厚さ5ミリ程度に切る。 「美咲ー。ベーコンってあるっけ」「ウインナーもベーコンもあるよ。どっちも期限今日までだから使うなら両方使っちゃって」「OK」  じゃがいもとベーコンとウインナーをフライパンで大雑把に炒める。炒める油にはオリーブオイルなんか使っちゃって。ちょっとオシャレ。火を通したら最後に上からバジルソルトをふりかけて、見た目も味も完成だ。 「ほれ! 完成、バジルソルトがオシャレで美味そうな感じにしてるだろ」「わー! 絶対おいしいやつじゃん」「麻雀と同じだな、見た目を良くしたら自然と味(打点)も良いものになる」「でもお兄ちゃん料理作るの早すぎるよー、お米炊けるの25分後だよ!」「これは……手順を間違えたか。先にサラダでも作れば良かったなぁ。温かいものを先に作るのは違ったわ」  そう、料理には『美味しい温度』というのがある。とくに揚げ物などは出来たてに勝る美味はない。炒め物もどうせなら温め直すより出来たてのものを食べるべきだ。 「ま、せっかくだし、米は無いけど少しつまむか」「そーね」 パク、モグモグモグモグモグモグ……パク、モグモグモグモグモグモグ…… 「「うっまーーーーーい!!」」  いや、これはかなりうまい。ベーコンの焼き加減が絶妙で(まぐれ)塩味が移ったホクホクのじゃがいもも完璧と言える食感(これもまぐれ)になってて、ウインナーは普通にうまいし。エッ、俺は天才だった? 何となく作った料理でここまでのク
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-29
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その5 第伍話 気付きたくなかったこと

43. 第伍話 気付きたくなかったこと  その後、母さんが帰ってきて「おいしい! おいしい!」と食べてくれた。嬉しかった。と、同時にふと思い出した。あやのさんのこと。(そう言えばあやのさんは俺がうまいうまいと食べる顔が好きみたいなこと言ってたな。……今ならわかる気がする。自分が作った料理を笑顔で食べてもらえたら嬉しいや。まして、あやのさんの場合はそれが丹精込めた自信作なわけだから尚更か)  俺は、この料理をもっと真剣に色々調べて作っていたら良かったと思った。そしたらあやのさんの気持ちももっと共感できたんじゃないかって。そう思うんだ。 「ごちそうさま! すごく美味しかったわ。ありがとう春人、美咲。……そう言えば春人は最近居間でボケ~っとゲームしてることなくなったわね。なんだかケータイばかり見て。彼女でもできた?」  す、鋭い。さすが母親だ。 「お母さん鋭いねー、そうなの。お兄ちゃんたら最近モテモテなのよー」「えっ、やっぱりそうなの? ずいぶん遅く来たわねーモテ期」「余計な事言うなよ美咲。モテモテって……2人同時に気に入られただけだよ。そんな何人もいるわけじゃない」「ねね、それ何歳くらいの人? 写真とかないの?」「あ~年齢はけっこう上……ひとりは写真あるな」  そう言って俺はメッセージアプリのアイコン画を見せた。あやのさんのアイコンは唐揚げだが、マキは海岸で撮影した自分の水着姿だ。この人は脱いでも自信があるってことだろう。事実、その写真はどう見ても20代後半か30前半のお姉さんにしか見えない。 「あら、若い子じゃない。ギャルっぽいけどそれがむしろ可愛いわね。いくつなの?」「確か、45歳」「ハァ!? えっ、これは若い頃の写真と
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-30
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その5 第六話 美咲との兄妹戦

44. 第六話 美咲との兄妹戦  夕飯を食べ終え風呂に入り、風呂からあがると母さんから彼女たちとはどこで出会ったのか、デートはしたのかなどの質問攻めが始まったので心底めんどくさいなと思い自室にこもることにした。 「おやすみ!」 「あっ、ちょっと待ちなさいよー!」 (全く、冗談じゃないぜ。まだ2人とも恋人ってわけじゃないのにペラペラ喋れるかよ。そもそも、俺は人に彼女たちを語れる程彼女たちの事をまだ知らないんだ) コンコン! 「んー? 美咲か?」「うん。お兄ちゃん今いい?」ガチャ「勝手に入っていいぞ」  許可を聞く前に扉を開けるな。うちの妹はせっかちすぎる。 「いやまあ、入る必要はないんだけどさ。お兄ちゃんもダウンロードしたんでしょ『雀ソウル』……なら今から友人戦やらない?」「兄妹戦だけどな。いいぜ、やろう」 ──── イヌイ手牌 東一局 6巡目 親番 ドラ⑤一二二三三⑤77889東東 東ツモ 打⑤ (こうなったらドラはもういらない。ポンテンも取らない。気合いでメンゼン仕上げの一手だ。チャンタリャンペーコーになった時だけは暗刻ってる東も切ろう) カチ  俺は決意を固めて『鳴き無し』のボタンを押した。このイーシャンテンからポンテン5800はもったいないと思うから。  すると次巡。美咲が東を切ってきた。俺に暗刻なんだから当然生牌だ。7巡目に生牌の東は強い。鳴かれる覚悟のある一打なはずだ。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-31
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その5 第七話 こんなに美人でも

45. 第七話 こんなに美人でも  その頃、閉店後の店内で髙橋彩乃は浮かれていた。『ハルト君』と呼べること。好きな人を下の名前で呼べることに気分を良くしていたのだ。 もちろん、犬飼真希という強敵がいることはわかっている。でも、今は自分と乾春人との関係が前進したことを素直に喜んだ。 (ンフフフフ。ハルト君♪ ハルト君♪)「楽しそうね」「わっ、びっくりした。マキ、まだ帰ってなかったの」「トイレ入ってただけなのに閉店作業しちゃうんだもん。最後のハイボールまだ飲みかけだったしー。まあ、もう帰るけどさぁ」「ごめんごめん。精算は済ませたわよね。ハイボールは今度来たとき普通料金でメガハイにしてあげるから許してね」「ラッキー♪ ならいいよ」「……ねえ」「うん?」「いや、いい、なんでもない」「ハルトのことでしょ」「うん……」「アンタ本気なんだ?」「そう言うマキも、そうなんでしょ」「…………まぁ…ね」「マキとは長い付き合いだけど……初めてだね、こんなこと。恋愛ドラマみたい」「しかも昼ドラね。主婦の大好きな三角関係ドロドロなやつ」「観るのは好きだけど、自分がやることになるなんて」  二人は見つめ合って、そして同時にフーーーーーと深いため息をした。 「マキはハルト君のどこが好きなの?」「えっと、全部」「ずるいってそれは」「そうは言っても、あのコに欠点とかないしね」「それは確かに」「どうしたらいいんだろね」「いっそ三角関係のまま仲良く暮らさない?」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-01
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その5 第八話 こんな日常でいい

46. 第八話 こんな日常でいい  俺はその後もあやのさんともマキとも曖昧な関係のまま、いつも通り仕事をしていた。 そもそもが、休みが少なくたまの休みもヘバッて家で寝てることも多い俺だ。彼女を作るとか、デートするとか、そんな余裕は無かったのかもしれない。ただ、美味いごはんを食べに行く。そこで彼女たちの笑顔を見る。そのあと麻雀をする。それで充分過ぎる幸せを感じていたし、それ以上進展させる必要もないかなって。……これは俺が変なのかな。 少し変化があったのは家で俺が料理することが増えたこと。餃子の焼き方もマスターしたし、出来るようになるとやりたい気持ちが増えてくるな。 それは麻雀も同じで、最近麻雀に対する理解が深まったのもあり面白くて仕方ない。美咲相手にもいい勝負が出来るようになってきた。まぐれ勝ちしかしてなかった以前の俺とは違う。ベストを尽くしたから勝てた、というその満足感を体験していた。  そして、今日は久しぶりに美咲と一緒の休み。昼ご飯は焼きそばにするつもりだ。 「美咲〜。お昼は焼きそばでいいかー?」「イイヨ〜」  最近思い付いたおいしい焼きそばの作り方を実行する日が来た。よーし、やってやるぞ。 ──────  できた! 「よし、完成だ。――美咲ー!ごはんできたぞー!」「あーーい」「濃い味焼きそば! ソース味を強くして麺の量を増やした。どうせ一人前じゃ足りないだろ。1.5人前ずつ食べようぜ」「そんくらいが丁度いいよねー。じゃ、いただきます!」「俺も、いただきます」  パクッ モグモグモグモグモグモグ 「美味しい! 明らかに味が濃い」「な、濃くて美味しいだろ? イメ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-02
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その5 第九話 常識破りのしょうが焼き

47. 第九話 常識破りのしょうが焼き  今日は教育している後輩が病欠ということで、久しぶりに仕事が早上がりできた。 ダウンしてる後輩には悪いが、多忙な時期にこれは千載一遇のチャンスと思い、俺は麻雀食堂に寄ってから帰ることにした。できれば少し麻雀がやりたい。俺が最近上達したところを彼らにも見せてやりたいと思ったのだ。あと、肉が食べたいかな。 ──── ガラガラガラ 「こんにちは」「あら、ハルト君。いらっしゃいませ! 今日は何にする?」「ん~~……。しょうが焼き定食にしようかな。ここでしょうが焼きはまだ頼んだことない気がする」「ウチのしょうが焼きは人気メニューよ。それじゃあ腕によりをかけて作っちゃおうかなっ!」  俺はあやのさんが手際よく料理をしてる様子を眺めてた。手順がいい。火から少し目を逸らしていいタイミングになったらサラダを作ったり洗い物をしたり、とにかく1人で店を回すことのプロなんだなと思った。「……! な、な~に? じーっと見つめて」「いや、ちょっと見てただけ。テキパキ働くなーって」「どうせなら『見てた』じゃなくて『見惚れてた』って言ってよね♡ でもあんまり見つめられると恥ずかしいからケータイでもいじって待ってて。私だって見られて緊張することはあるんですからね」「そうなの?」「そうよ、完璧にしたいからこそ緊張するの。緊張感を支配してこそプロなんだけどね、なかなかそうは……いかなくて」 喋りながらも厨房をあちらこちらと移動する。その移動歩数、動き方、全てが最少の動きになってることに今気付いた。 この人はこの空間を完全に理解してて、移動の順番、歩幅、間隔、それら全てでベストを選んでるんだ。 (すごいな&helli
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-03
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その6『三人の契約 編』第一話 信じられる仲間

48. ここまでのあらすじ  乾春人は仕事が多忙を極めていた。余裕が無かったこともあり、髙橋彩乃とも犬飼真希とも関係を深めることもなく過ごしていた。ハルトは2人の自分に対する気持ちを知っていながら、この数週間は何も出来ないでいるのだった。 ただ麻雀だけはアプリゲームで研究していた。その上達ぶりを見せたいと思い、久しぶりに麻雀食堂へと足を運ぶとちょうどマキもやってきて――  【登場人物紹介】 乾春人いぬいはると  主人公。ごく普通のサラリーマン(26)。営業職だが最近は後輩の教育も任されており忙しい。ひょんなことからあやの食堂と麻雀を知り、あっという間に虜になった。食堂に行く時間がない時でもアプリゲームの麻雀『雀ソウル』を使って研究などしている。  髙橋彩乃たかはしあやの  店内に麻雀卓のある風変わりな定食屋『あやの食堂』の店主。 髙橋幸太郎との間に娘がいるが現在は離婚しており、独身子持ちの37歳。 一人娘の髙橋祈(たかはしいのり)を女手一つで養っている。 乾の事を好きになってしまったが、親友で店の手伝いもしてくれたりする犬飼真希も自分と同じ気持ちなので少々参っている。  犬飼真希いぬかいまき  あやの食堂の付近にあるカラオケスナックのオーナー。気さくな性格でとても歌が上手くて世渡りも上手。 45歳だが、全くそんな風に見えない健康的な若々しさがある美女。バツなしの独身。乾春人を純粋に好きになってしまい、日に日にその気持ちを膨らませているが親子ほどの年齢差に悩んでいる。  髙橋幸太郎たかはしこうたろう
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-04
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その6 第二話 あやのの思い出

49. 第二話 あやのの思い出  東1局はあやのさんがダマのピンフを入れていて、俺はリーチしたが宣言牌で放銃。結果1000点で蹴られた。  俺はドラ3赤赤で良い手だったのに。でもまあ、それはつまり相対的に相手は安い手が来てるってこと。1000点で流されるのも仕方ないっていうか、当たり前なんだけどな。しかし悔しい! 東2局のあやのさんの親番は2900をあやのさんに放銃したが、次局は俺が1300をアガって少ない失点で抑えた。  緊張感のある攻防。少しの気の緩みで負ける気がする。 こんなに近くにいるのにあやのさんと俺は何の会話もしてなかった。 いや、その代わり牌で会話をしていた気がする。その選択、そのモーション、その押し引き、全てが会話だった。2人だけの世界で、麻雀という言語を使って、ある意味ものすごく深い所で繋がったような感覚だった。まだほんの数十分の攻防だけど、俺は確かな繋がりを感じていた。 (これが、あやのさんの麻雀か)  なんと表現したらいいのか、あやのさんの麻雀はあたたかい気がした。いつでもいらっしゃい。と言われてる気がする。さすが、雀荘の店長を経験しているだけはある。程よい緊張感と、俺を受け入れてくれるであろう優しさが混在するこの雰囲気は今まで経験したことのない感覚だった。  その後もツモロンと攻防は続き、俺はあやのさん相手に意外にもリードしていた。 「ごちそうさまー! 美味しかった! 食器ここ置いとくね」  そう言ってマキはひょいと厨房に入り食器をタライに漬け込んだ。客が厨房に入るのは普通ありえない光景だが、マキは宣伝などのお手伝いもしてる身内みたいなものだと言っていたから特別なのかもしれない。 「ありがとー。そしたら次からマキも参加しなよ。もうオーラスだから」「そうするね。久
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-05
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その6 第三話 メタとあやのとハムチーズトースト

50. 第三話 メタとあやのとハムチーズトースト 「あのひとのアガった数え役満……あれのせいで私は人生めちゃくちゃにしちゃったよね。まさかあれと3回結婚して3回離婚するなんてさ。でも、カッコイイと思っちゃったんだよね~。あの時は」「どんなアガリだったんですか?」と俺が質問すると、あやのさんは牌をカチャカチャと並べ始めた。 一二三④⑤⑥⑦⑧⑨12233 「南3局で18000点持ちラス目の親番。ドラは2索だったわ」「これって……切り番ってことすよね。ドラ2索なら1索切ってリーチするかな」「そう思うわよね。私もそうだと思ったもの」「でも、違った。となると、⑨切ってのテンパイ取らずかな。強い形で復活しやすい」「その考えもあるわよね。わかるわ、私もそれ考えたから」「でも、これも違う……と」「そう」「なら打3かな。とりあえずツモれれば強引な満貫となる仮テンとして、良い変化をしたなら待ちを替えてリーチ。これじゃない? これ、メタさんぽいじゃん」「そうよね、それ全く同じことを私も思ったんだけど……」 「打④だ。懐かしいな」  気付いたらそこにメタさんが来ていた。換気中で扉を開けっぱなしだから入ってきたことに誰も気付かなかった。「あ、おかえり」「よーメタ、おかえりぃ」「メタさん! こんにちは。って、えっ、ここから打④? 意図がわかりません。何で④筒なんですか?」 「うん、おれはこの手が倍満級になると思ったんだ。ここからイメージ通りに進んだらの話だけどな」 「メンピンイーペードラドラ……ツモっても跳満止まりですよ。倍満はちょ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-06
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