彼が取ろうとした瞬間、安子が遮った。彼女はデスクにもたれかかり、スカートをまくり上げながら、つま先をゆっくりと彼の太ももへ滑らせた。そして眉をひそめて言った。「お兄ちゃん、昨日の夜よく眠れなかったんでしょ? 安子が気分をリフレッシュさせてあげようか?」確かに啓太は昨夜よく眠れなかった。安子は実家に両親がいるのをいいことに、わざと遠ざけておいて、一晩中欲求不満にさせた。彼は一晩中抑えきれない欲情を冷たいシャワーで何度も押さえつけたのだ。今その炎が再び煽られていた。彼は片手で安子の足首を掴み、目にはあふれんばかりの情欲が宿っていた。「正直に言え、昨日の夜はわざと……」言葉が終わらないうちに、彼女は身を乗り出してキスをした。啓太は何より彼女のこういう手に弱かった。清純な見た目とは裏腹な色気。あざといとわかっていても、いつだって進んでその罠にかかった。彼は彼女の行動の上に、様々な味を見出していた。まずは恥じらい、つぼみのような未熟さ。次第に開花し、彼を奥深くへと誘う。そして最後は情熱的で、まるで彼の全身を焼き尽くさんばかりに。そんな体験は奈緒からは与えられなかった。だからこそ彼は狂おしいほどに、代償を顧みず彼女に近づき甘やかし、独占したくなったのだ。啓太は主導権を握り返すように女の首筋を押さえつけた。激しく深いキスを交わしながら、片手は彼女の襟元に潜り込み、ゆっくりと愛撫し挑発する。安子はたちまちへたり込んだ。二人はデスクからソファへ、そして最後には大きな窓辺にへばりつきながら、太陽が昇るにつれて、オフィスは熱い雰囲気と甘い声に満ちていった。その後、安子は彼の肩にもたれかかった。甘く嗄れた声で尋ねた。「お兄ちゃん、この前約束してくれた株式譲渡書、安子にいつサインさせてくれるの?」それを聞いて、啓太の身体が一瞬固まった。当時は彼女を守りたくて焦り、口が滑ってしまった約束だった。後になってすぐに後悔していた。20%の株式は、数十億円の価値がある。単なるバッグを買うのとは訳が違う。金銭的な価値だけでなく権利の問題であり、会社全体の意思決定や将来に関わることだった。奈緒は彼に10年も付き添い、会社に計り知れないほど貢献をしてようやく20%を得た。安子に一体何の資格があるというのか?たとえ彼女をど
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