ホーム / 恋愛 / おいしい契約恋愛 / チャプター 341 - チャプター 350

おいしい契約恋愛 のすべてのチャプター: チャプター 341 - チャプター 350

355 チャプター

341.繋がる奇跡⑤

「そんな素敵な場所に連れてきてもらえて嬉しいです」「うん。叔母さんはずっとホントの母親のように心配してくれたから、いつかオレに大切な相手が出来た時は必ず連れてくるって約束してたんだ。そしてやっと今日依那を連れてこられた」そう言って優しく微笑む慧さん。「慧さん……」「正直、依那と出会うまでは、そんな約束守れないと思ってた」「え……?」「今までは、ここに連れてきたいと思えるほどの相手に巡り合ってなかったから……」「あぁ、そっか……」「だからさ、最初はそう伝えてたんだよ。オレはその約束は守れないかもしれないって。だけど叔母さんたちは、いつか絶対オレにもそういう相手が現れるはずだからって……。そういう相手を連れてくることが最終的な親孝行だから、いつまでも待ってるって言ってくれてさ」「なんか、素敵な関係ですね」「あぁ。ホントに二人には感謝してる。だからこの店は絶対ずっと全力で守っていくつもりだよ」「そのお店に、あたしも導かれて、そして惹かれたんですね」「ホント……。そんな頃から縁があったなんてな」「そしてこのお店が母との最後の大切な想い出として存在してるなんて……」「あぁ。そんな大切な時間もこの店で存在してたっていうことが、オレも何よりも嬉しいよ」「慧さんが連れてきたかった場所が、あたしにとっても一番行きたかった場所だったってことですね」今までは、それぞれが大切にしていた想い出とこの場所。それが、二人で一緒に来れたことで、自分だけの大切なモノが二人の大切なモノへと変わっていく。もしかしたら、慧さんと出会えたのも、それぞれの時間が存在していたからかもしれない。慧さんがこのお店を存在させていなくて、あたしも母とこの店に来なければ、きっと巡り合えてなかった。この店がなければ、あたしはこんなお店を母のために作りたいという夢も持たなかったし、興味を持つきっかけもなかったかもしれない。だとすれば、あたしはこの会社に入ることもなかったし、慧さんとも当然出会うことはなかった。あたしが慧さんに出会って、ずっと追いかけているかのように、やっぱりあたしと慧さんの運命も同じように動いているように思える。慧さんが作ってくれたこのお店に、あたしは運命に導かれて辿り着いた。結局はずっと先を歩いてる慧さんに、あたしはきっとどこかで絶対追いかけ続ける。「恩返
続きを読む

342.繋がる奇跡⑥

「ホントにそのお店、料理が美味しくて、ご主人だけじゃなく、女将さんも料理上手くて、二人でいろんな創作料理考えられて、いつ行っても楽しめるんです」「へ~いいな。そういう店」「はい。いつか慧さんも一緒に行ってもらいたいです」「あぁ。ぜひ」そう言って慧さんが微笑む。「そこのご夫婦、二人とも穏やかで温かくて優しいんですよ。女将さんは母がいなくなってからは、ある意味母親代わりみたいな存在で。だから、あたしの大切な人として、慧さんのこと紹介出来たらいいなぁなんて……」厚かましいかな……? そこまで慧さん考えたりしてないかな……?でも、この先慧さんとはどうなるかはわからないけど、でも今自分の大切な人として紹介したいというのはホントのことだから。今日みたいに慧さんが大切な人に自分を紹介してくれたように、あたしも慧さんを紹介したい。「あぁ。もちろん。その時はちゃんとオレも依那のこと大切な存在だって伝えるから」「慧さん……。ありがとうございます」その言葉と優しい微笑みに、一気に安心する。慧さんも同じように、あたしのことを大切だと伝えてくれると、慧さんの口から言ってくれたのが嬉しい。なんの躊躇も抵抗もなく、すぐにそう答えてくれたのが嬉しい。それから慧さんと二人で、このカフェでいろんな話をした。あたしは母との想い出話をし、慧さんはこのカフェを作った時の話や、本村さんや本村さんのご両親との素敵な関係の話まで。お互いが知らなかった頃の話。その時から抱いてる想い。お互いのそんな話を出来たことで、また慧さんのことをたくさん知れて、そして二人の絆がまた強くなった気がした。こうやって少しずつでもいいから、お互いのことをもっと知っていきたい。慧さんと生きてきた時間も年月も違うけど、でも今この時間この瞬間、今慧さんと同じ時間を過ごせている。その一緒にいられない時間があったのなら、今その分その時の話をして、お互いの時間を知っていけばいい。まだここから始まる慧さんとあたしの時間は、無限だ。この慧さんと一緒の時間が、ここからはそれぞれの想い出として共に刻まれていくのだと思うと、また胸が躍った。
続きを読む

343.巡る運命①

 それから数日後。久々家で食事をして、ソファーで二人でまったりしていると。「依那。明日の夜。この前依那が言ってた昔からお世話になった小料理店に食べに行かないか?」「えっ、一緒に行ってくれるんですか?」「あぁ。明日なら時間出来るから一緒に行こう」慧さんがそんなことを言ってくれた。「嬉しいです!」うわっ、こんなに早く一緒に行ってくれるんだ!「でも、一ついい?」「はい」「まずは客としてでもいいかな。普段のいつも通りの感じで依那とのやり取りも見たいし、料理もじっくり楽しみたいなと思って」「はい! もちろんです! あたしも慧さんにあの店の料理じっくり味わってもらいたいです」「ちなみに、そこには依那がオレと付き合ってるってことは話してあるのか?」「いえ。まだ。実家の近くだし、ゆっくりお店に行ける時間なくてまだ話せてないんです」「そっか。なら、最初は客としてだけど、ちゃんとその日に依那とお付き合いさせてもらってるって伝えるつもりだから」「えっ、伝えてくれるんですか……?」「そりゃそうだろ。それが目的で行くんだし。依那もそう言ってたろ」「いや、まぁそうですけど。あれはいつか願望的な感じで、まさかこんなに早く一緒に行ってもらえるなんて思ってなかったんで」「何? 願望だけでそれ叶えなくていいのか?」「いえ! 叶えたいです!」  せっかくの慧さんのその言葉をなかったことにしたくなくて、素直に答える。「まぁこの先もずっと一緒にいるんだし、焦る必要もないんだけどさ。でも依那から話聞いてから、オレがちゃんと挨拶しときたいなって思ったから」慧さんがサラッとそんな風に言う。慧さん、この先もずっと一緒にいたいって思ってくれてるんだ……。それを知れただけでも嬉しい。それって、あたしが親と同じように慕っている存在に、ちゃんと慧さんが名乗って挨拶してくれるということは、ど
続きを読む

344.巡る運命②

 そして翌日の夜。慧さんと約束通りそのお店にやってきた。「こんばんは」そのお店の玄関を開け、中を覗くと、すでに賑わっている様子が見える。まずは知っているあたしがその中を覗き、慧さんは後ろに待機してもらう。最初はそのままお店に来ようかと思ったけど、慧さんが予約しておこうと言ってくれたから予約事前にして正解だった。「依那ちゃん。いらっしゃい」すると、顔を見せたあたしに気付いて、お店の中から女将さんが声をかけてくれる。「お久しぶりです」「嬉しいわ。久々に来てくれて」「実家出ちゃったんで、なかなか来れなくてすいません」「いーえ。とんでもない。お父さんがしょっちゅう来てくださって、こちらこそいつもお世話になってます」「てか、今、父来てないですよね!?」女将さんにそう言われて、父がこの店にたまたま来ている可能性があるかもしれないと気付いて、すぐに確認する。「昨日来てくださって、次は週末って言われてたわ」「あぁ、よかった。今日はちょっと会いたくなかったので」このタイミングで父親と鉢合わせとかはちょっと面倒くさい。ここの二人に慧さんに会ってもらうのと、父親に会ってもらうのは随分意味が違いすぎる。「そういえば今日予約お二人だったわよね?」「はい。今日はこのお店の料理ぜひ一緒に食べてほしい人と来てて」「あら、そうなの。嬉しい。じゃあ、席確保してあるからどうぞ」そう言って、女将さんがカウンターに通してくれる。「お待たせしました」そしてその中に入るタイミングで、待機していた慧さんに声をかける。「大将。こんばんは」「いらっしゃい」いつものように大将がカウンターで料理を作りながら優しく迎え入れてくれる。そしてあたしがカウンターに座ろうとして、慧さんの方を振り向くと。「いらっしゃいませ。ようこそ」入口で入って
続きを読む

345.巡る運命③

 それから慧さんは大将が作ってくれた料理をじっくり味わう。そしてその料理を口にして、慧さんはちゃんとその一つ一つの感想を目の前の大将に感想を伝える。「慧さん。さすがですね」「ん? 何が?」「この料理一つ目にしただけで、何も聞かなくても、そんな旬の素材だからこそこんな料理アレンジにするんだとかわかるんですね」「あぁ。仕事柄そういう相談はたくさん乗ってきてレシピもいろいろ一緒に考えたりもしてるからな」「なるほど。あたし自分で料理作りますけど、目の前の料理をただ”美味しそう~”とか”綺麗~”とかそういう感動することがあるだけで、そんな風に特に意識して食べること少ないかもです」「うん。普通はそうだよ。いちいちそんなの気にせず、依那はただ素直に感じて楽しみながら食えばいい」「はい。あたしどちらかといえば食レポとかするなら、その間に出された美味しいまま早く食べちゃいたいってなるタイプなんで」「あぁ。料理人からしたらそっちのが嬉しいと思うよ」「でも、そうやって慧さんがちゃんと細かなとこ気付いてくれることも嬉しいんじゃないかなって思います」「オレさ。手先が器用じゃないから自分で料理は作れないんだけど、その分知識はその人たちと同じだけちゃんと理解しておきたいと思ってるんだよね。それがオレの中で、作ってもらう人に敬意を払う自分なりのルールっていうかさ。アドバイスするには、それだけオレも作れなくても対等に理解してアイデアを出し合いたいって常に思ってるから」そうだったんだ……。だから慧さん、こんなに詳しかったんだ。すごいな。料理自分で作れなかったら、必要最低限の知識しか普通は入れないけど、慧さんのレベルはそんなどころじゃない。確かにこれは細かく調べなければ理解出来ない知識。料理が出来ないなら、それは特に。この人はどこまで勉強してるんだろう。どこまで努力していくのだろう。「まぁオレが作れない分は、柾弥に実践してもらったりすることも多いけどな」
続きを読む

346.巡る運命④

 「それにしても驚いたよ。この店のこの料理のクオリティーなのに、この値段設定。オレが関わってきた店の中でもさすがにここまではなかった」すると、あまりにも安い値段設定が気になったのか慧さんがそんなことを呟く。ここの料理は、小料理店というこんな小さな規模レベルじゃなく、大将が昔有名料理店で働いてただけの高いクオリティーなのに、慧さんが驚くほど確かにこのクオリティーでは、破格の値段設定。見た目では敷居の高い料亭で出しそうな料理を、それこそ定食屋や居酒屋みたいな値段で提供している。でも、さすがだな。もう慧さんはこうやってちゃんとわかっちゃうんだ。「あぁ。それ。近所の人が来やすいお店価格にしてるそうです」「やっぱりそうなんだ?」「はい。この地域は、案外昔から住んでる人たちが多くて、今では単身の方や年配の方が増えてきてるんです。だからそういう人たちが気軽に来やすい場所に来てほしいからって、こういう価格にしてるみたいで。だからいつも近所の人たちがたくさん来るお店になってます」「あぁ。そういうことか。なるほどね」「ちなみにここ、子ども食堂もたまにされてるんです」「えっ? そうなのか?」あたしがそう伝えると、慧さんが少し驚いた表情をして反応を示す。「はい。ここのご夫婦、子供もすごく好きだそうで、困ってる子供たちの力になりたいって思って開いたそうです」「そういう子供もここら辺では多いってこと……?」「そうみたいです」「そっか……。子ども食堂を……。じゃあ、きっと、この地域の子供たちはここに救われてるんだろうな……」慧さんが感慨深そうにそう呟く。すると。「私たちに子供がいない分、妻がそれはどうしてもやりたいってきかなくてね」たまたまこちら側に来て調理していた大将が、その話を耳にしてそう伝えてくれる。「女将さんが……」その大将の言葉に慧さんも反応して答える。「どうしようもない事情があって親に見放さ
続きを読む

347.巡る運命⑤

 「あの……。それ、もしかしたらお力になれるかもしれません」すると、慧さんが静かに大将にそう声をかける。「え……? それはどういう……」「あぁ。私、飲食店のプロデュース業をやっておりまして。実は最近社内でもそういうプロジェクトに取り組みたいという話があるんです。それでもしよろしければ一度ご相談させていただければと思いまして、失礼ながら声をかけさせていただきました」不思議そうに聞き返す大将に、慧さんは詳しく自分の立場を明かす。「あっ、大将。実は、この方あたしが勤めてる会社の社長さんなの」そして、あたしも大将に説明をする。「あぁ~。依那ちゃん。そういえば飲食店のプロデュース会社で働いてるって言ってたね」「はい。そうなんです。うちの社長、ホントにすごく尊敬出来るすごい人で。めちゃめちゃたくさんの飲食店の力になってて、世間でもホントすごく有名な人なんです」「あぁ~そうなんだね。じゃあ、心強い味方ってことだね」「はい! もちろん!」「確かにこれはいい機会かもしれないな。実は最近いろいろと手が回らなくなってきてる部分もあってね。だけどこれは妻が絶対続けたい想いだから辞めるわけにはいかなくてね。どうしたもんかと思ってたんだ」すると、そんなタイミングで大将のそんな言葉が飛び出す。「えっ!? そうなんですか!?」あたしは意外な言葉を聞いて驚いて反応する。「ならぜひご協力させてもらえないでしょうか」すると慧さんも仕事モードになって前向きに大将にお願いする。「あぁ。じゃあ、それなら妻にも一度確認しないと」そう言って、店の奥でお客様を対応している女将さんを見る大将。「はい。それはぜひご一緒に相談されてからで」「あぁ。こっち戻ってくるみたいだから今ちょっと聞いてみるよ」慧さんの言葉に、大将は今すぐ確認してくれると返事をしてくれる。「慧さん。ありがとうございます」あたしはこっそり隣の慧さんにお礼を伝え
続きを読む

348.巡る運命⑥

 「それって詳しくお話聞かせてもらえたりするのかしら?」女将さんがそう慧さんに尋ねる。「慧さん?」何か思うことがあるのか、慧さんはその問いかけに気付かなかったのか、二人のやり取りをじっと見つめたまま返事がなかったので、あたしは思わず声をかける。「あぁ……。いや、すぐに承諾していただけたので、お互い信頼し合ってる関係なんだなと……」「あぁ~。それはそうね。依那ちゃんのことは昔から知ってるし、ずっと見守ってきた仲だもの。それに依那ちゃんも、子ども食堂のことでの私たちの想いとか現状まで、詳しく知ってくれているから、そんな依那ちゃんが信頼してるとこの社長さんなら、こちらとしても安心してお願い出来るんじゃないかと思って」そう言って女将さんは微笑む。「そう思っていただけたならよかったです」「そうね。二人の雰囲気からしてとても素敵で、すでにお互い信頼し合ってるんだなとわかったわ」「えっ、女将さん。そんなの見ててわかるもんなの!?」慧さんに返した言葉を聞いてあたしは思わず聞き返す。「長年こういう仕事をしていると詳しく聞かなくても、その人たちが纏う雰囲気とか表情で大体のことはわかるものよ」「へぇ~そうなんだ」じゃあ、女将さんたちにはあたしたちはどんな風に見えてたんだろう。どんな関係だと思ってるのかな……?「まさか依那ちゃんとこの社長さんだとは思ってなかったから、そこは驚いたけど、でも二人してここに来てくれることはそれなりに意味があるんじゃないかと思ってるのだけど違うかしら?」そう言いながら嬉しそうにフフッと笑う女将さん。「うわぁ~女将さんすごい」「だって依那ちゃんがこんな素敵な方連れてきてくれたの初めてだものね。いつもご家族で来てくれることはあっても、こんな風に一緒に来てくれるなんて思ってなかったら、私としてはとても嬉しく思ってるのよ」「そうなんです。実は…
続きを読む

349.巡る運命⑦

 「なぁ? お前もこの人はタダモノじゃないって言ってたもんなぁ?」そう言って女将さんに声をかける大将。すると、女将さんがボーッとしている。「おい。どうした?」「……え? いえ、なんでもないわ……。えっとなんだったかしら……」すると女将さんがさっきとは違う反応。ん? 女将さんどうしたんだろう。「では、子ども食堂の件は、また改めて会社を通してお話させていただいてもよろしいでしょうか?」すると、慧さんが大将に仕事モードになって声をかける。「ええ。それはもちろん」「ありがとうございます。ではこれからよろしくお願いします」「こちらこそ」慧さんはそのあと大将に自分の名刺を渡し、スマートに話をまとめていった。慧さんがここに来てくれるだけで嬉しかったのに、まさか子ども食堂のことまでこんな話進んじゃうなんて、ビックリだ。ずっとあたしはここに来ていたのに気付けなかったことを、慧さんはいち早く気付いて、解決していく。それも慧さんだから出来ること。こんな風に慧さんは、どんな時でもちゃんとその状況を判断しながら、いろんな人の力になっていってるのかな。「慧さん。ありがとうございます」話が終わり、二人になった瞬間、慧さんにお礼を伝える。「ん。ちょうど、子ども食堂をプロデュースしたいって話が出ててさ。まさかオレもここでそんな話出来るとは思わなかったよ」「このお店が、慧さん関わってくれるなんて嬉しいです。実は何回かお手伝いしたこともあるんです」「子ども食堂を?」「はい。お手伝いしてるのも、子供たちと話せるのも楽しくて。料理の勉強にもなるし。それに何より、このお店と二人に恩返ししたくて」「そう」「だから、子ども食堂のスタッフとしても、これからが楽しみです」大切にしていた場所が、更に大切な人が関わって、きっともっとその大切が大きくなっていく。日常だったことが、慧さ
続きを読む

350.巡る運命⑧

そして、一通りそれから食事をして、帰り際、慧さんが大将と最後に挨拶をしていると。「依那ちゃん。今日は来てくれてありがとう」女将さんが声をかけてきてくれた。「こちらこそ。美味しいお料理ごちそうさまでした」「まさか依那ちゃんがこんな嬉しいこと……。ホントに、彼を連れてきてくれて感謝するわ……」女将さんが、そう言って少し涙ぐみながら、あたしの手を取りギュッと握り締める。女将さん。子ども食堂、そんなに感激してくれてるのかな。確かに女将さん、子ども食堂にはすごく思い入れある感じしてたし、いつも子どもたちに親身になって向き合っていたもんな。最近ちょっと大変だってことは耳にしてたから、慧さんが力になってくれることで、女将さんも安心したのかもしれない。「子ども食堂。これからは慧さんが力になってくれるんでもう大丈夫ですよ」あたしはそう言って、笑顔で女将さんの手を握り返す。「あ……。えぇ……。そうね……。これからは、彼が力になってくれるということだものね……。フフ。最近、ちょっと涙もろくなってダメね。ちょっとしたことでもすぐ泣けてきちゃう」そういいながら、女将さんが少し涙ぐみながら微笑む。「それほど喜んでもらえて、あたしも嬉しいです。あたしも関われるように頑張りますね。あっ、でも、慧さんはちゃんと関わってくれるみたいなんで安心してください」「そう……。彼は関わってくれるのね……。なんだか夢みたいだわ……」女将さんがそれほど感動して喜んでくれてるのを見ると、あたしも嬉しくなる。さっき慧さんが更にもう少し詳しい話をしてくれて、それを少し聞いてただけでも、慧さんが考えている子ども食堂のプロジェクトは、とても画期的で、更に今以上充実した素敵なモノになるのだろうと、あたしも聞いててワクワクした。慧さんが軽く話すだけで、そのすごさを感じるのに、これが正式な形になれば、更に素晴らしくなることが想像出来る。女将さん、慧さんの話すのを聞いてた時から、すでにウルウルしてたもんな。確かに、二人がメインで今までやってきた子ども食堂も、とても温かくて素敵なモノだったけど、きっと慧さんが加わることで、もっと手を広げたいこととか、もっと理想や望む状況に近い運営が出来ることになる。あたしもまさか、この出会いが、そんなきっかけに繋がるなんて思いもしなかったから、密かに女将さんと
続きを読む
前へ
1
...
313233343536
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status