首頁 / 恋愛 / おいしい契約恋愛 / 第 351 章 - 第 355 章

《おいしい契約恋愛》全部章節:第 351 章 - 第 355 章

355 章節

351.巡る運命⑨

「依那。少し歩いて帰ろうか」それからお店を出て、慧さんがそう声をかける。「はい」慧さんの隣に並んで歩きながら、あたしも返事を返す。「慧さん。今日は一緒に来てもらってありがとうございました」「ん」慧さんが微笑みながら返事をしてくれる。「二人に慧さんのこと、紹介出来てよかったです」「うん」「あんなに女将さんも感動してくれるなんて思ってなかったです。帰り際に、ホント涙ぐんで、慧さん紹介したこと、すごい喜んでくれてました」「そう……なんだ……」「はい。女将さんと知り合ってから、あんな女将さん初めて見たんで、ちよっとビックリしたんですけど」 女将さんは、どちらかといえば、いつも明るくて、感情的になるとこはもちろん見たことがなかった。女将さん、あんなにこども食堂に思い入れあったんだなぁ。でも、それほど思い入れあるのって、どうしてだろう。何か理由あったりするのかな……?「依那は、あのお店のご夫婦と知り合ったのは、どういうきっかけだったんだ……?」すると、慧さんが隣から尋ねてくる。「あぁ。あたしが高校生くらいに父が偶然見つけたお店なんですけど。たまたま新しく出来たお店だったらしくて、最初の頃からの父が常連なんです。そのうち、家族みんなで行くようになってって感じですかね」「そう……。あの女将さん、依那の母親代わりみたいなもんだったって言ってたけど。向こうには子供も本当にいないって……?」「あっ、はい。そうみたいです。夫婦二人であーやってお店やっていけることで十分幸せだからって」「そう……。いないのか……」「はい。自分に子供がいない分、愛が足りていない子供たちに、少しでも自分たちが力になってあげたいって女将さん言ってました」「愛が足りない……ねぇ……」慧さんは、その話を聞いて一人ボソッと呟く。「依那さぁ。あの、女将さんの名前って、知ってる……?」「えっ? 名前ですか?  えーっと、確か……、小夜子さんです」ん?  慧さん、なんで女将さんの名前なんか?「…………」「慧さん……?」名前を聞いてきたのに、なぜか慧さんは無反応でただ黙り込んでいる。なんか今日こんな慧さん多い気がするのは気のせいだろうか。あんまりこんな慧さん見たことないだけに、少し気にかかる。あたしと話してて、こんな風にボーッとして黙り込むこととか今まで一度もな
閱讀更多

352.巡る運命⑩

そんな慧さんが気になって、隣を歩きながら慧さんを見つめていると……。「ハハッ……。まさか本当にそうだったとはな……」慧さんが少し視線を落としながら、なんだか悲しそうに笑ってそんな言葉を呟く。「え……?  どうしたんですか? 慧さん……」あたしがそう聞き返すと、慧さんは。「うん……」あたしの問いかけに微妙な反応を示す。何か多分、慧さんの中で思ってることがあるのは違いなくて。だけど、それを自分の中で考え込んでいるような、そんな感じに見えてしまう。あたしはそんな慧さんを感じ取りつつ、それ以上何も聞けなくて、そのまま慧さんの隣を歩く。そんな時間がどれくらい続いただろう。何分もそんな沈黙が続いて、あたしはただひたすら慧さんが話始めるのを待っていた。「あの人……。あの女将さん……」すると、ようやく口を開いた慧さん。そしてその言葉はなぜか女将さんの名前。「はい……」「母親だった……」「え……?  母親って……?」慧さんのその言葉にあたしは、立ち止まって聞き返す。「オレを昔捨てた母親だよ……」「えっ……? 嘘……。あの、女将さんが……、慧さんの、お母さん……?」えっ、そんなことってある……? まさかの女将さんが慧さんのお母さんだなんて……。「母親のことはなんとなくしか正直覚えてなかったんだ。あの頃の記憶は曖昧というか……自分の中であまり思い出したくない記憶になってたから……。だけど不思議なもんだよな。なんとなくわかっちゃうんだよ、そういうの……」「慧さん……」「最初は特に気付かなかった。でも、ふと笑った時の表情とか、やっぱ面影あんだよな……」慧さんはどこから気付いてたんだろう……。どんな気持ちであの時あの場にいたんだろう……。そんな気持ちの中、慧さんはそれを隠して、ちゃんと挨拶までしてくれたってこと……?慧さん、一切なんの動揺もしてなかった。それどころかいつものように余裕があって……。だけど、そんな慧さんが唯一気弱になってしまうのは、ご両親の話になる時で……。そんな原因かもしれないお母さんが、女将さんで……、その人が目の前にいて、それであたしが感謝までしてる存在として紹介して挨拶するだなんて……。どうしよう、そんな辛い想いさせてただなんて……。言葉にならないほどの後悔と切なさと辛さで、胸が苦しくなる。
閱讀更多

353.巡る運命⑪

「ごめんなさい……」 あたしはその場で立ち止まって、俯いたまま慧さんに告げる。すると、少し前まで歩いていた慧さんが振り返って。「え? どした? 依那」逆にそんなあたしに心配そうに声をかけてくれる。「慧さんのお母さんだなんて知らなくて、あたし……」知らないとはいえ、あんな無神経に会わせてしまったこと。あたしの母親代わりだなんていって紹介してしまったこと。そんな中で、慧さんにお付き合いの挨拶をさせてしまったこと。今起きたすべてのことに申し訳なく思えて、泣きそうになる。「フッ。なんで、依那が泣きそうになってんの」そして、泣きそうになるのを堪えてたあたしを、傍まで近づいた慧さんが顔を覗き込み、そんなあたしを見て優しく笑う。「だって、何から謝ったらいいか……」いろんな想いは溢れてくるのに、どう言葉にすればいいのかわからない。何から謝ればいいかわからない。「いや、違うから。オレは依那をそんな悲しませたくて言ったんじゃない」「だって……」「でもまぁ、そっか、こんなタイミングで依那はいきなりそんなこと聞かされたらそう思っちゃうよな」あたしを覗き込んだ慧さんは、変わらず優しく微笑む。「依那」あたしの名前を呼んで、そんなあたしの手を握る慧さん。「家に帰って、ゆっくり話しようか」「はい……」「ん」そう返事したあたしの手を、慧さんはちゃんと繋いで、隣に並んでまた歩き始める。慧さんのが絶対苦しいはずなのに、どうしてこんなにこの人は優しいんだろう。関係ないあたしが泣いちゃダメだとわかっているのに、慧さんの辛さを考えると、胸が痛んで涙が出てしまう。こんな状況なのに、あたしを包み込んでくれる慧さんが優しすぎて涙が出てしまう。そんなあたしの手をしっかり握って引っ張って歩いてくれる慧さんは、ホントに頼もしくて。そして、その手からは、慧さんの気持ちが伝わってきそうな、優しさの中に少し強さがあるような……。だけど、なんだかその繋ぎ合っている手から、慧さんの隣にいていいんだよと言ってくれてるようで。慧さんとしっかり手を繋いで、今隣で歩けていることに、嬉しさで心が温かくなった。
閱讀更多

354.二人が出会った意味①

それから家に帰って、いつものようにリビングのソファに二人並んで座る。「依那。まず約束してくれるか?」「えっ、何を……ですか?」「今からする話で、依那が悪いと感じて謝るのは禁止。依那が気にすることは一切ないから。今から話すことは、オレとあの人との話だから」「でも……」「依那がそんな気持ちで聞くなら、この話はしない」「――嫌です! 慧さん一人で抱えるなんて絶対嫌です!」「ん。オレは、依那には悲しむんじゃなく、支えてほしい」「慧さん……」「今はオレの隣には依那がいる。だから大丈夫だ」「はい……」「ん」あたしにそう伝えながら、隣で優しくあたしの手を握って微笑む慧さん。こんなんじゃ、どっちが悲しんでるんだかわかんないや……。「慧さんは……、平気ですか?」「あぁ。依那がいてくれるから平気だ」「あたしが、いるから……ですか?」「そう。……まぁ、本音を言えば、まったく平気かって言われれば、そうとは言い切れない」「……ですよね……」「自分の中でも、自分の中でどう受け止めていいのかもよくわからない」「はい……」「オレを捨てて選んだことには変わりないんだし、そしてそこまでして一緒になりたかった相手があの大将だったんだよな……」そうだ……。慧さんの前からいなくなった理由、それだった……。だけど……、あたしが出会ってからの女将さんは、確かに大将と仲がいいけど、そんなに酷いことをする人だとはどうしても思えなくて……。あたしの母がいなくなってから、女将さんはずっと親身になってくれていた。他人のあたしでさえ、あんなに向き合ってくれていた人なのに、自分の子供を簡単に平気で見捨てるようなそんな人なんかじゃないはず……。大将もすごくいい人だし、理由を知っていれば、そんなことになっていなかったような気さえもしてしまう。だから、慧さんと離れることにならざるを得なかった理由が何かある気がして仕方ない。「でもなんかわかるよ」「え……?」「あの大将。穏やかで優しくて……。あの人が惹かれる気持ちはなんとなくわかる気がする」「そうなんですか……?」「うちの父親とは正反対だから」「え……?」「うちの父親は、自分が絶対主義で、自分が正しいと思うことは曲げない人だった。たまに会う時でも決して温かかったり穏やかな時間なんてものはなかったんだよね。母親の意
閱讀更多

355.二人が出会った意味②

「だけどさ。あの大将は、あの人のやりたいことも、意見もちゃんと聞いてあげてる。話し方も、接し方も、穏やかで……。ちゃんとあの人自身を見てる人なんだなってそう感じた」「確かに……、大将は昔からすごく女将さんを大切にされてるんだなって印象はあります。二人で一緒に二人三脚でやってきたみたいな、そんなイメージというか……」「……そう。あの人は、ちゃんと大切にしてもらえてたってことなんだな……」「はい。それはそうだと思います……」「うん。正直オレを捨ててまで手にした幸せが納得出来ないものだとわかったら、もしかしたらオレはもっと穏やかでいられなかったかもしれない」「え……?」「だけど、オレを捨てたあとに大将との幸せがあったのなら、仕方なかったのかもしれないな」「でもその選択をしたことで、慧さんは……」「うん。辛くて寂しい想いをしたのは事実。だけど、それがなければ、オレは今ここにこうしていなかったと思うから」「え……、どういうことですか……?」「もし母親とずっと一緒にいたら、また違った人生だった」「それは今の慧さんじゃなかったかもしれないってことですか……?」「そうだな……。もし今の状況になってなければ、柾弥とここまでガッツリつるむこともなかったと思うし、今の仕事も一緒にしてなかっただろうな」「そうなんですね……」「父親の家庭に引き取られて転校したから、柾弥と出会えたんだ。柾弥と出会えたから、今の仕事をしようって思ったし、それが出来たことで依那とも出会えた」「そっか……。その選択じゃなければ、あたしは慧さんと出会えてない運命だったかもしれないってことですよね……」そうだ。そういうことだ。慧さんがこの会社を作ってくれたことで、あたしは慧さんに出会えて、今一緒にいることが出来ている。今のあたしは慧さんがすべてで、慧さんがいるから今の自分がいる。慧さんを好きになれたことも、一緒にいることも、好きになってもらえたことも、すべてなかったことになる現実もあったかもしれないんだ……。今のこの現実が違ってしまうなんて……、この幸せが存在しないだなんて……。そんな慧さんといられない未来になっているかもしれないと、そんな想像するだけで怖くなる。「オレさ……、正直、母親に捨てられてから、自分は誰にも必要とされない人間なんだって、ずっと思ってたんだ」「え…
閱讀更多
上一章
1
...
313233343536
掃碼在 APP 閱讀
DMCA.com Protection Status