迷うことなく、瑛士は直ちに手下に璃音の行方を調査させた。江坂家は大企業であり、一族には軍部に職を持つ者もいる。璃音の足取りを調査することなど、造作もないことだった。そのため、1時間も経たないうちに、璃音の全ての行動履歴は、瑛士の手下によって把握された。「瑛士様、調査結果によりますと、璃音様は1か月前に学校にK国への留学を申請していました」瑛士の手下は恭しく報告した。「1週間前、K国のマサチューセッツ工科大学航空宇宙工学科の入学許可証を受け取っています」「航空会社からのチケット購入記録によりますと、璃音様は3日前にK国行きの航空券を購入され、飛行機の離陸時間は本日午前9時半、現在はまだ着陸していないはずです」飛行機はまだ着陸していないが、璃音の居場所は瑛士によってすでに把握されていた。仕方がない、二人の身分や地位の差があまりにも大きすぎるのだ。璃音が必死に逃げようとする姿は、瑛士から見れば、飼い猫が甘えるように彼に爪を振るっているだけに過ぎない。もしかしたらペットの猫は全ての力を尽くしたのかもしれないが、その爪は飼い主を傷つけるどころか、飼い主にかわいいとさえ思わせている。「悪くないな、まさか大学受験を利用して逃げるとは」瑛士は鼻で笑った。「だが、行き先があまりにもわかりやすすぎる。こっそりマサチューセッツ工科大学に留学を申請するなんて……学校さえ調べれば、捕まえるのは猫が鼠を捕まえるくらい簡単ではないか。彼女を賢いと褒めるべきか、それとも愚かだと罵るべきか悩ましいな。本当に逃げたいのなら、留学なんかせず、直接海外に飛んで姿を消すべきだ。それこそが本当に消息不明になり、調べようもないだろう」璃音の行方を把握した後、瑛士はすぐに飛んで彼女を捕まえようとした。しかし、大学受験はまだあと2日残っていた。彼はすでに青嶺大学金融学科への早期入学が決まっていたが、突然受験を放棄すれば、必ず家族の目を引くことになる。瑛士はまだ若く、完全に権力を掌握しているわけではない。だから、当分は家族に璃音への執着を知られない方がよいと判断した。そう考えた瑛士は、気を揉みながら残りの試験をこなし、その後航空券を手にK国へ飛んだ。K国の大学も入学は9月で、現在は6月、入学まであと3か月ある。だが、璃音は早期入学を申請しており、学校側もすでに承
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