「真理……この子、今はまだ産んでほしくないんだ」蒼司の言葉を聞いた瞬間、真理の頭が真っ白になった。笑みが固まる。「……な、なに?」「俺たちは、もう何の関係もない。この子が生まれても、籍も名分もない。それに俺はいま高瀬家に向き合わなきゃならない。そんな状況で、この子を自分の子だなんて認められるわけがない。生まれても、この子が不幸になるだけだ。だから……今回は手術をしてくれ。もし、いつかまた機会があれば、そのときまた授かればいい。真理……わかってるよ、これは君の体に負担をかけることだって。でも、もし君の病気が再発して、子どものために治療を諦めるようなことになったら……そんなの悲しすぎる。今は
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