All Chapters of 末永くつき添いたいと願ったのに: Chapter 21 - Chapter 25

年が明けて間もなく、祖父の重病の知らせが届き、隆介は里奈とその母を名指しで帰ってくるよう求めた。黒木家の実家に着くと、家の中は人でいっぱいており、早苗母娘は隆介のそばに立ち、その隣には誠の姿もあった。里奈が来るとは思っていなかった彼は、口を開けて必死に何かを言おうとしたが、里奈はさっと視線を逸らし、それっきり彼を見ようとはしなかった。彼に説明する資格なんてない。「里奈、やっと来てくれたね！お爺さんがずっとあなたのことを楽しみに待っていたよ。早く行ってあげて」隆介は娘を抱きしめようとしたが、彼女はすっと避けられ、気まずそうに口元を引きつった。祖父のベッドの前まで進み、里奈は恭しく「おじいちゃん」と声をかけた。幼い頃、父が母を裏切る前は、祖父は彼女にとても優しく、いつも彼女をいじめる悪い子たちを追い払ってくれた。でも早苗が来てから、祖父の愛情はそちらに移ってしまった。「里奈ちゃん……」老人の枯れ果てた口からは、かすかな声しか出てこなかった。「ここ数年、苦労をかけたな…爺ちゃんは……爺ちゃんは……後悔してる……お父さんを恨まないでくれ……」「早苗……」老人は早苗を呼び寄せ、骨ばった手で二人の手をしっかりと握りしめた。「みんな家族なんだ……」「最期の言葉には偽りがない」と言うが、彼女は以前はお父さんを恨み、それがゆえに黒木家の全員をも憎んでいた。しかし、今日という日を境に、全ての恩讐に終止符を打ちたい。老人は隆介に向かってうなずくと、隆介はひとつの箱を差し出した。老人はその箱を里奈の手に押し込んだ。「これは黒木家の家宝だ。じいちゃんがこれをお前に預ける。大切な宝物だ。だから……もう……恨まないで……恨まないでくれ……」その言葉を最後に、老人は永遠に目を閉じた。家中に泣き声が響き渡った。祖父が亡くなった。里奈は祖父から渡された箱を持って、庭先に座って、家の中を慌ただしく行き交う人々をぼんやり見ていた。菫も、祖父のあの行動に心を動かされ、過去のわだかまりを水に流し、葬儀の手伝いに来ていた。人の感情とは本当に不思議なものだ。すべての因縁はこの実家から始まり、そしてこの実家で解きほぐされていく。幼い頃、祖父はよく言っていた。「里奈は菩薩のような心の持ち主で、心が優しくて、共感できる子だ」と。今、

しかし、予想していた痛みは訪れなかった。いつの間にか誠が再び彼女の前に身を挺しており、鮮血が彼女の顔に飛び散った。彼の体は徐々に力なく崩れ落ちていった。「警察に通報した！これ以上したら全員共犯よ、殺人は重大な犯罪だ！」さっきまで怒りに駆られていた人々も、血を見た途端に我に返った。「なんで早苗たちの言いなりになってるんだ、もし里奈を傷つけたら現行犯で捕まるぞ！」人々は一斉に散り、健司が仲間を連れて駆けつけ、里奈と菫を救い出した。こうして、一連の騒動は幕を下ろした。里奈は必死に誠の傷口を押さえたが、血は泉のように溢れ出し、どうしても止まらなかった。「大丈夫、誠。あなたは絶対に助かるから！」「姉ちゃん……俺は早苗の彼氏なんかじゃない……彼女に陥れられたんだ。酒に薬を盛られて……俺は君を裏切ってなんかいない……」話をすると、彼の首筋からぞっとするほどの血が流れ落ちた。里奈は首を横に振り、それ以上彼に話させまいとした。「わかってる、あなたが彼女のことを好きじゃない。ちゃんとわかってる。もう何も言わないで。病院に着いたら、それから話して」彼は二十六歳の大人だったが、それでも彼女の顔に触れたくても手が重くてどうしても動かない。言いたいことはまだ山ほどあったし、やりたいこともたくさん残っていた……「姉ちゃん、愛してる……本当に心から愛してる……もし時間を戻せるなら、もっと早く……君に出会いたかった……」あんな腐れ縁なんて、もう二度といらない。彼が欲しかったのは、ただ里奈だけだ。早苗の目は刃のように鋭く、二人を八つ裂きにしたいほどの憎しみに満ちていた。「嘘つき！嘘つき！あの女を引き止めながら、私とは寝てたじゃない！毎晩呼んでいたのは私の名前だった！だからこそ、私たちの子どもができたのよ！」再び激痛が襲ったが、彼女は必死にこらえた。「里奈、この子が死ねば、あの男はまた私に借りを作ることになる。もう二度とお前と一緒になんてできやしないわ。はっはっは！」里奈はそれを聞いて、胸が締めつけられるような切なさに襲われた。やはり彼は……「姉ちゃん！これは俺の子供じゃない……君に振られてから、俺は自分が理性を失ったことが悔しくて、パイプカットの手術を受けたんだ……これは俺の子じゃない……」「えっ？」今度は早苗が崩れ落