この言葉はまるで縄のように、彼を五年間締めつけ、息もできないほどに苦しめてきた。だが今回は、誠はもう耐えるつもりはない。「これらは全部、お前がくれた手紙だ」彼は箱の中の手紙を一気に病床の上にぶちまけた。「今、全部返す。俺たちは、もう友達でもなんでもない。これですっきりした。俺を恨んでも憎んでも構わない。でも、もう自分を傷つけるのはやめてくれ。俺にはそんな価値がない」これらの手紙は、長い間ずっと彼の心に重くのしかかっていた。過去に早苗が何度も崩れ、自殺を図ろうとしたとき、彼はこの手紙を取り出し、若かった頃の思い出を読み聞かせることで、彼女を一時的に落ち着かせ、自傷を止めさせてきた。だがこれからは、そんな愚かなことは二度としないと決めた。舞い散る手紙に目をやったその瞬間、彼はふと動きを止めた。開封されたことのない数通の手紙の封が、破られていた。まさか……里奈が読んだのか?その考えが頭をよぎった瞬間、彼はすぐに打ち消した。彼女はいつも俺のプライバシーを尊重してくれていて、スマホを覗くこともなければ、箱の中のものを見るなんてあり得ない。それに、この箱の暗証番号を彼女が知るはずがない。「二十年よ!」早苗が突然叫んだ。「私は二十年間、七千三百日もあなたを想い続けてきたのよ!あなたの子を身ごもって、そして中絶した。女として与えられるすべてをあなたに捧げたのに、それでも私を見ようともしないのね、そうでしょ!?」彼女の目の奥から、憎しみがあふれ出した。五年前、海外で誠が三十歳の女性と付き合っていると聞いたときは、冗談だと思っていた。まさかその冗談が五年も続いていたなんて。早苗は何度も自殺未遂を繰り返して同情を引こうとしたが、彼は来てくれても、心の中に彼女の居場所は一度もなかった。だから彼女は海外のことをすべて片付け、わざわざ帰国した。会った日、彼女は誠の車の中にある贈り物を見つけ、それが里奈へのものだと分かっていながら、わざとこっそり身につけ、ついでに傷だらけの手首を見せた。そして彼も、彼女の思惑通り、何も言えなかった。彼女は昔のように振る舞い、友達という名目で彼らの輪に入り込み、三日後が彼と里奈の記念日だと知ると、それをぶち壊そうと早くから計画していた。今日のリストカットも、彼女の仕組ん
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