Semua Bab あなたの懺悔に口付けを 離婚後、元夫は私の妊娠検査票を見て発狂した: Bab 31 - Bab 40

54 Bab

31話 SHINOE INDUSTRY

雨の中、マンションを見上げる。杏の居る部屋は5階だ。もう調べはついていた。傘をさそうとした門田に俺はそれを断り、車で待つように伝える。何故、雨の中、立っているのか。この雨ですべてが流れてくれれば……そういう思いも無かった訳では無い。ここへ来る間中、俺は自分の行動と言動を思い返し、後悔していた。母から聞いた事、自分で思い返してみた事、そして俺のとった愚かな行動や言動すべてが杏を否定していたのだ。雨に濡れるくらいではもちろん、流せない事も分かっていた。これくらいでは何の贖罪にもならない。それでも俺は杏に会わなければならない。会って謝罪をし、許しを乞わなければならない。 (5年だ……5年も俺は杏を見つけられなかった、その間、杏がどれだけ辛かったか……) いや、それだけでは無いだろう。今まで俺はずっと杏を煩わしく思い、邪険にして来た。結婚指輪でさえ、付けて来なかったのだ。俺はどれだけ杏を傷付けたのだろう。 マンションの入り口に人影が見えた。それはタオルを手に持って駆けて来る杏の姿だった。杏が俺の前まで駆けて来ると、すかさず門田が車から出て来て、杏に傘をさす。杏は俺にタオルを差し出し、言う。「何の真似なの?」その声は苛立ち交じりだったが、その実は心配なのだと分かる。俺がタオルを受け取らないでいると、杏は俺の頭や顔をそのタオルでゴシゴシと拭き始める。「風邪でもひいたらどうするの!」まるで母親のような口調でそう言う杏は、俺の知っている杏では無かった。傘をさしている門田の口元が少し緩む。それはそうだろう。こんなふうに俺の頭や顔をタオルでゴシゴシ拭く人間は母親以外では存在しない。俺は杏の手首を掴む。「心配してくれるなら、俺を中に入れてくれ」そう言うと杏は俺を見上げ、言う。「それは出来ないわ。うちには今、子供たちが居て、桃李も来てるもの」 (そうか、弟が来てるんだな) 杏を助け、杏
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-29
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32話 提携プロジェクト

龍月は会議室を見回し、私に目を留める。一瞬、その口元が微笑み、そして言う。「何故、こんなに人が多いんだ?」すぐに関陽斗が言う。「天下の篠江グループのCEOに挨拶したい人間が多いのでしょう」そう言って会議室を見回し、言う。「関係の無い部署の者は会議室を出るんだ」そう関陽斗に言われ、不満ながらも会議室を出て行く何人もの重役たち。「お前も出るんだ」西住部長にそう言われ、私も手元の書類をまとめ、席を立とうとすると、関陽斗が言う。「デザイン部は残ってくれ」私は西住部長を見る。西住部長はなおも言う。「ここは私が残る、お前は出て行くんだ」デザイン部の部長は西住部長だ。私の上司に当たる人がそう言うのだから、と思い、席を立つ。すると大きな声で龍月が言う。「関麗グループは年功序列なのか?それとも女性は会議に出られない決まりでも?」昨日の龍月の様子からして、この会議に私を残したいのだろうと察する。「いいえ、そんな事はありませんよ」関陽斗がそう言って、私を見る。「峰月くん、残ってくれ」そう言われて私は席に戻る。西住部長が私を睨み付ける。 (睨むなら私じゃなく、関陽斗か篠江龍月でしょう?) (でもそんな事、出来ないわよね。だからって八つ当たりなんて不当だわ) そう思いながら私は書類に目を落とし、西住部長の視線に気付かないフリをする。会議はその後、滞りなく進んで行く。「今回の提携プロジェクトのデザインには是非、彼女のものを」そう言って篠江龍月が私を指す。すぐに西住部長が言う。「それは無理な話です!」誰もが驚いて西住部長を見る。「ほぅ……それは何故かな」篠江龍月が聞く。その様子を見て感じ取る。 (龍月、苛立っているわね)
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-30
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33話 龍月の手腕

それは杏が俺の事を許し、受け入れてくれた時に叶う事だ。当然、今のままではそれとは程遠い。とにかく出来る事を確実に、一つ一つこなしていく、それが近道だろう。まずは関麗グループとの提携で杏にデザインをさせ、杏に実績を作ってやらなければならない。資料を見た限りでは、この関麗グループでは杏の他に、特に目立つようなデザイナーは居なかった。杏にデザインの才能があった事も驚きだが、それが周囲の追随を許さない程のものだった事も、幸いだった。このまま杏にはこのプロジェクトの担当になって貰い、このプロジェクトを絶対に成功させなければならない。◇◇◇朝一番の会議はお昼前まで続き、その会議でプロジェクトの大筋が決められた。ここまで詳細にCEO自らが決定を下すのは異例と言っても過言では無いだろう。それ程までに篠江龍月も関陽斗もこのプロジェクトには乗り気だった。会議が終わりに近づくと、関陽斗が言う。「篠江社長、今夜、提携プロジェクトを祝して、お食事など、いかがですか?」そう聞かれ龍月が私をチラッと見る。提携プロジェクトの食事会ともなれば参加は避けられないのだけど、私は二人の子供の母親だ。だからこういう時、断る事も有り得る話ではあるのだけど……今回のメインのデザイナーは龍月が私を指名した。龍月は取引先のCEOで、今夜の食事会はそのCEOを接待する意味もあるだろう。という事は私はそれを断れない立場ではある。「良いですね、私は東山市には疎いので、是非とも美味しいお店に連れて行って頂けると嬉しいですね」龍月はそう言って営業スマイルを関陽斗へ向ける。この営業スマイルは相手には威圧と受け取られる事もあるらしいけれど、私から見たら龍月のこの営業スマイルはむしろ優しさの意味合いが強い。「えぇ、では、東山市で一番美味しい店を手配しておきましょう」関陽斗はそう言うと、自身の秘書である桐山拓海に目配せする。桐山拓海は頷いて、微笑む。「あぁ、そうだ」龍月が真っ直ぐに私を見る。「このプロジェクトのメインデザイナーである彼女と連絡先を交換したいのだが、問題無いな?」龍月はそう言って関陽斗を見る。関陽斗の表情が一瞬、曇る。それでも相手は篠江龍月だ。断れる筈が無い。「峰月くんが嫌でなければ」そう言うのがやっとだろう。その場で私はスマホを出し、龍月と番号の交換とメッセージアプリのアカウント登録をす
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-31
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34話 ドレス

自身のオフィスに戻り、息をつく間も無く、私は仕事に忙殺される。オフィスに入ってPCを開くだけで膨大な量の資料や目を通さなければならないような案件への企画書などがどんどん入って来るからだ。それらに目を通しながらも自分のデザインの案もいくつか作って出さないといけない。流れ作業のように企画書に目を通し、更に上にあげる為に数字的にミスが無いかのチェック、そして龍月に指名されたプロジェクトの資料に目を通し、イメージを作って行く。世界的な大会社である篠江グループのイメージと関麗グループのイメージを重ね合わせて……頭の中にそのイメージが浮かぶかどうかのインスピレーションの問題もあった。そんなふうにして時間を過ごしているうちにあっという間に夕方になる。さっと片付けをし、PCを持った時だった。ノックが響き、返事をすると、入って来たのは門田さんだった。「門田さん、どうしたんですか?」そう聞きながらも門田さんの手には大きな箱があって、私にはそれが何か、もう察しがついていた。「龍月様からです。本日、お召しになる服飾品ひと揃えでございます」そう言われて私は笑う。(やっぱりね……龍月ならそれぐらいするわよね。だって私は元妻だもの)(サイズなんかは調べなくても、篠江家の誰かが知っているでしょうし)溜息をついて門田さんに言う。「そこに置いておいてください」これを門田さんに突き返しても、意味は無い。ただただ門田さんが困るだけだという事を私はもう知っている。門田さんはオフィスの小さなコーヒーテーブルにその箱を置き、深々とお辞儀をして、言う。「食事会のお時間前にはお迎えに参ります。お迎えはご自宅で構いませんか?」(迎えね……)私に対してこんなに好待遇なのは、やっぱり5年経って、龍月が後悔しているからなんだろう。それは一緒にランチをした時にも感じた事だ。迎えは必要ないと言うべきなんだろうけど、これも断れば龍月は次はどんな手を使うか分からない。「えぇ、自宅で構いません」そう言うと門田さんが言う。「それでは食事会の前に伺います」門田さんが出て行くのを見送って、私は仕事に忙殺されて、今夜の予定を桃李に言うのをすっかり忘れていた事に気付く。慌てて桃李にメッセージを送る。仕事で外せない食事会に行かないといけない事、そしてその相手が篠江龍月である事。メッセージを送り終わると、またノ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-01
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35話 推察と波紋

ドレスを手に取った時、チャイムが鳴った。インターフォンで確認するとそこには門田さんと数人の女性の姿が映っている。とりあえず部屋に来て貰うと、部屋の前で門田さんが深々と頭を下げて言う。「龍月様より、メイクアップとドレスの着付けのスタッフを連れて行くように言い付かりました」女性たちは微笑み私に頭を下げる。(さすがは篠江龍月ね……)私はそう思い、苦笑する。◇◇◇食事会の会場はやっぱりと言うべきか、ここ東山市では有名な高級店だった。少し大きめの個室に案内される。中には既に数人居た。私が入って行くと個室の中の人たちが振り返る。その中でも背が高く、ひと際目立っていたのが篠江龍月だった。龍月は私を見て微笑むと、ゆっくりと歩いて来て私の前に立つ。「ドレスは気に入った?」そう聞かれ私は言う。「こんなに高価な物を送って下さらなくても。これからはこういう事はしないで下さい」濃紺のベルベットドレスを着ている私を見て、満足そうに微笑む龍月は私にそう言われて苦笑する。「高価でなければ良いかい?」そう言われ私も思わず笑う。「そういう問題じゃないわ」◇◇◇篠江龍月と談笑している彼女を眺める。桐山から篠江龍月もドレスを贈ったようだと聞いた時から、何となくは予測していたが。俺が贈ったサテンのドレスでは無く、篠江龍月の贈ったベルベットを選んだのは篠江龍月が取引相手だからだろう、という事は分かるが。(それでも俺の贈ったドレスを選んでくれるかもと少し期待したんだが……)そして何よりも。篠江龍月が贈ったベルベットのドレスがとても似合っていたのも気に食わなかった。(二人はどんな関係なんだ……?)あの距離感で話が出来るなんて。篠江龍月と峰月杏はまるで夫婦のように距離が近い。そこで俺はピンと来る。(もしかして……?)「桐山」呼ぶと桐山が俺のすぐ傍に来る。「はい、陽斗様」俺は桐山に指示を出す。◇◇◇食事会は和やかに進んだ。仕事の話はほとんどしなかったけれど、かと言ってプライベートに切り込むような話題も出なかった。関陽斗が切り出すまでは。「篠江社長、ご結婚などは?」そう関陽斗が口火を切った。聞かれた龍月は左手を皆に見せながら言う。「していませんよ」指輪の痕すら無い、綺麗な薬指だ。私と結婚していた間も指輪はしていなかったんだもの、綺麗な指のままよね、と思う。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-02
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36話 三つ巴の……

思わず峰月杏の手首を掴む。峰月杏が驚いて振り返る。「海原社長……」今夜の峰月杏は溜息が出る程、美しいドレスを着ていて、ネックレスや手首についている宝飾品の細部までもが高価なものだと分かる。「ここで何を?」そう聞くと峰月杏が言う。「食事会です。篠江グループとの提携が決まったので」そう言いながら彼女は俺の手から逃れようとするかのように、俺に掴まれた腕を引く。「あぁ、そうだったな。関麗グループが篠江グループとの提携を勝ち取ったのは知ってるよ。でも何故、ここに君が居るんだ?」そう聞くと峰月杏は眉間に皺を寄せて言う。「私もプロジェクトに携わっているんです」黒く長い髪が美しく揺れ、白く繊細な肌がベルベットのドレスに映える。仕事をしている時から着飾らせたら美しいだろうと思ってはいたが、やはりだ。「今夜の君は美しいね、次は是非、俺とも食事に出掛けよう。君の為に美しいドレスを贈るよ」峰月杏は俺の手を振りほどこうとしている。俺は振りほどかれないように手に少し力を入れる。「離してください」俺は彼女に顔を近付けて言う。「君の携わっているプロジェクトは篠江グループだけじゃないだろう?海原グループとも手を組んでやっている仕事だってある筈だ。その俺とも一度も食事に行った事が無いのに、今夜はこんなに綺麗に着飾って食事に出ているのは、相手が篠江社長だからか?」◇◇◇「その手を離せ」そういう声に振り返る。そこには篠江龍月が居た。「篠江社長……」海原有起哉は龍月を見て、慌てて手を離す。龍月は大股で歩いて来ると、私を自分の背後に隠すように立ち、言う。「海原有起哉、彼女に何の用だ?」背の大きな龍月は海原有起哉を見下ろしてそう聞く。そして私に振り返り聞く。「大丈夫か?」こんなふうに龍月が私を守るような行動に出るなんて、初めてだった。海原有起哉に掴まれた腕が痛む。「彼女は篠江グループの関わるプロジェクトの大事なメンバーだ、手を出されては困るな」龍月は海原有起哉に一歩近づき、凄むように言う。「最近、君が彼女に興味を持っている事も知っているよ」龍月は海原有起哉の肩に手を置き、言う。「悪い事は言わない、手を引け」そして海原有起哉から離れると、私を促す。「行こう」歩き出しながら、龍月が聞く。「大丈夫か?痛むか?」私は海原有起哉に掴まれた腕を見ながら言
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-03
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37話 動き出す悪意の気配

冷やすものを受け取った関陽斗は隣に座っている私に手を差し出す。「手を」私は笑って言う。「自分で出来ます」そう言っても関陽斗はニッコリと微笑むだけだ。私は観念し、関陽斗に海原有起哉が掴んだ腕を差し出した。関陽斗は私の腕に冷やす為に用意した氷の入った袋を当てる。◇◇◇どうして龍月が帰って来ないのだろう。東山市に行った事は知っているけれど、もう週も開けているのに、龍月は一向に帰って来ない。メッセージを送っても返事は無いし、返事をする時間も無い程、忙しいとは思えない。電話すらかけても出てくれないのだ。(一体、何が起こっているの?杏が出て行って、やっと龍月の奥さんになれると思っていたのに……)私はいつ龍月が帰って来ても良いように、準備をしていた。龍月の家で龍月の帰りを待とうとしていた私は、喉の渇きを潤そうと部屋を出る。「あら、あなた」そう声を掛けて来たのは龍月のお母様だ。「お母様」そう言って微笑むと、お母様は私を一瞥して言う。「ここで何をしているの?あなたが自由に入って良い場所じゃないでしょう?」龍月のご両親は杏が居なくなったにも関わらず、私の事を嫌っている。今まではそんなご両親から龍月が庇ってくれていたのだけど、今は龍月が居ない。「お母様、そんな事、言わないでください」そう言うとお母様はフンと私から視線を背けて言う。「あなたにお母様なんて呼ばれる筋合いは無いわ」そのまま行ってしまうかと思ったけれど、不意にお母様が振り返り、言う。「もうこの家には入らないで頂戴。杏が帰って来て、あなたが居たら、杏が不快に思うわ」そう言い捨てて、行ってしまう。(杏が帰って来る?!杏が見つかったというの?!)(だから龍月が帰って来ないの?!)(待って、まずは事実を確認しないと)そう思い、私は電話をかける。◇◇◇杏を救い出したというのに、杏は連れて行かれてしまった。関陽斗か。アイツは杏に気があるに違いない。不意にスマホが鳴る。みれば華凜からの電話だった。出る気になれなくて俺はその電話を無視する。華凜の名を見て、心が躍らない。ここのところずっとそうだった。杏が出て行くまでは俺にとっての優先事項は常に華凜の事だった。けれど、杏が出て行き、更に居なくなってから杏の妊娠が発覚し、その後、俺の子を宿したという華凜は流産した。俺はいつから華凜では無く杏を気に
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-04
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38話 来襲

そのまま関陽斗にマンションまで送って貰った。「ありがとうございました」そう言うと関陽斗が微笑む。「腕、ちゃんと冷やしてくださいね」車を出た私にウィンドウを下げて、関陽斗が言う。「さぁ、入って。見送ります」そう言われて私はお辞儀をし、マンションの中へ入る。部屋に入り、一息つくと、メッセージが来る。~部屋に着いたか?腕は大丈夫か?~送り主は龍月だ。龍月は関陽斗に家まで送る事を奪われた形になった。私は溜息をついて、返信する。~部屋に着いたわ、腕は大丈夫。ご心配なく~それだけ書いて送る。ドレスを脱ぎ、重たい宝飾品を外す。それらを見ながら私はこんなに高い物を私が受け取ってしまって良いのだろうかと考える。関陽斗にとっても篠江龍月にとっても、私に贈ったものなど、それ程、気にならない額なのかもしれないけれど。私にとっては高価だ。今夜、着なかった関陽斗から贈られたドレスや宝飾品は返却した方が良いのだろうか。でも返すなんて失礼かもしれない。メッセージアプリを立ち上げ、悩みながらも関陽斗に聞いてみる。~今夜はありがとうございました。送って頂いたドレスや宝飾品など、今夜は使わなかったので、ご返却した方が良いでしょうか~すぐに返事が来て、それを読んで微笑む。~今夜はお疲れ様でした。贈ったものを返せなどと言うつもりはありませんよ。また機会があれば着て貰えたら嬉しいですね~今夜は子供たちが居ない夜だ。普段は子供たちが騒がしいのに、居ないとなると静かで少し寂しい。◇◇◇「とにかく急いで」私は運転手にそう言う。取るものもとりあえず、私は東山市に向かった。やっと帰って来た龍月からの返信はしばらくは東山市に滞在するというものだったからだ。杏が東山市に居て、杏を目の前にし、更に龍月の子供を目の前にすれば、龍月の同情心を買うかもしれない。子供を盾に杏が龍月との復縁を望むかもしれない。だって天下の篠江グループなんだもの。子供にとっても大富豪の子供である方が良いに決まっている。(絶対にそんな事はさせないわ)龍月の居るホテルはもう分かっている。予告なく、突然、訪ねても龍月なら私を受け入れるしか無いだろうという事も分かっている。だって今まで、私は龍月の公然の恋人としての地位を固めて来たんだもの。◇◇◇ホテルの部屋に戻り、一息つく。部屋に居ても落ち着かない。杏からは腕は大丈
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-05
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39話 懐かしい声

久々にゆっくり眠った。子供たちが居ない朝はそれでも少し寂しかった。子供たちは桃李が保育施設まで送ってくれている筈だ。私は一人で仕事へ行く支度をし、昨日帰って来てから考えたデザインを起こしたファイルを持つ。これにもう少し手を入れたら提出できる。マンションを出るとマンション前に見慣れた車。大きな黒い車の持ち主は龍月だ。私が出て来ると、ウィンドウが開き、龍月が顔を出す。「送る、乗ってくれ」そう言われて私はそれを断る。「いいえ、結構です、篠江社長」そう言って歩き出すと背後でドアの開く音、そして駆けて来る足音がする。龍月は私の腕を掴んで言う。「頼む、乗ってくれ」こんなふうに私に頼み事をする龍月は初めて見た。「何故?」そう聞くと龍月が言う。「話したい事がある。会社に着くまでの短い時間で良い」憂いを秘めた瞳、整った顔、背が高く、まるでモデルのような男が私のような女に縋っているなんて、滑稽だった。「話したい事って何ですか?」そう聞くと龍月が言う。「乗ってくれ、話は人に聞かれたくない事だ」そう言われて、私は溜息をついて、車に乗る。隣に乗り込んだ龍月に聞く。「で、話って?」そう聞くと龍月が言う。「子供たちの事だ」そう言われて私は身構える。(前に会った時は親権も子供たちに父親だと名乗る事も強制しないと言っていたけれど、気でも変わったの?)そう思っていると、龍月が書類を私に渡す。「中を見てくれ」言われてA4の封筒を開ける。中にはDNA検査の結果が入っていた。龍月との親子鑑定結果だ。「これを私に見せて、何の意味が?」そう聞くと龍月が言う。「同じものを俺の両親にも送ってある」龍月のご両親……離婚する時には旅行に行っていて、ちゃんとした挨拶さえ出来なかった、私の恩人だ。「母さんが杏に戻って来て欲しいそうだ」以前から龍月のご両親は華凜を嫌っている。華凜の張り巡らされた陰謀を、まるで見透かすように。(お母様が戻って来て欲しいとそう言ってるから、私にこんな話を?)そう思いながら私は言う。「確かに子供たちはあなたの子よ。でも私は戻る気は無いわ」龍月が私を見る。「何故だ?」そう聞かれて思わず吹き出す。「何故?そんな事を私に聞くの?あなたが離婚を望んだのよ」(華凜があなたの子を身籠ったから、ご両親の事故と華凜の誘拐、両方とも私が手を回
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-06
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40話 疑惑の女

「元気だった?龍月と離婚して、あなたが姿をくらましてから、ずっと心配していたのよ?」そう言われ私は微笑む。「きちんとした挨拶も出来ず、すみませんでした」そう言うとお母様が言う。「そんな事は良いの、それよりも。私は杏と会って話がしたいの」お母様は矢継ぎ早に言う。「もうそっちに行く手配は済んでるわ。主人も一緒にあなたに会いに行くわ」電話の向こうで龍月のお父様が言う。「会いに行くぞ!杏」二人とも変わっていないなと思う。「分かりました、いつ頃、こっちに?」そう聞くとお母様が言う。「今夜中には着くわ。だから明日、会いましょう」◇◇◇子供たちを迎えに行き、マンションまで帰る。(明日か、子供たちはどうしよう。桃李に聞いてみよう)そう思いながらスマホを操作して、桃李にメッセージを送る。龍月のご両親が東山市に来る事、私と話がしたいと言っている事……。~子供たちは俺が見てるよ。それは問題無いけど、子供たちを篠江龍月の両親と会わせるのか?会わせたら後戻りは出来ないよ?~桃李の言う通りだ。天下の篠江グループ会長と会長夫人。彼らはCEOの座を龍月に渡しはしたけれど、その権勢は衰えていない。あの龍月でさえ、ご両親に逆らう事は出来ないのだから。(でも今まですごく良くして貰って、彼らが傲慢に振る舞っているところなんて見た事が無い)(きっと大丈夫、彼らはそんな人間じゃないわ、それは私が一番良く知っている)◇◇◇ホテルに戻る。華凜には病院に行って貰い、案の定というべきか、異常は無かった。医者が言うには仮病かもしれないと。すぐに病院を出て、ホテルに俺とは別の部屋を取って、華凜にはそこに滞在して貰っている。今夜中には両親が東山市に到着する。華凜が来ていると知ったら、烈火の如く、怒り出すかもしれない。目まぐるしく色々な事が起こり始めている。「門田は華凜の事、どう考える?」そう聞くと門田が言う。「私には何も」いつもそうだった。俺は溜息をついて言う。「良いから言ってみろ」そう言うと門田が言う。「私は龍月様がCEOになられる前から、龍月様に付いていますが、その私から言わせて頂くならば、華凜様のような女性には気を付けた方がよろしいかと」俺はグラスの中のブランデーを揺らしながら聞く。「何か知っているのか?」門田は少し口元を緩め言う。「華凜様があちこち
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-07
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