律side「専務、今度の得意先の協力会の集まりですが、当日男性陣がゴルフをしている間、女性たちだけでお茶会の話が上がっているようでして……奥様は参加できますでしょうか」「ちょっと今は厳しいな。俺だけで行くと先方に伝えておいてもらえるか」「はい、かしこまりました」「当面、接待関係は俺だけで参加する」「かしこまりました。奥様に何かあったのですか」「ん、ああ、まあ、ちょっとな」「……かしこまりました。ちなみに、それは喜ば……いえ、何でもありません」小森は、最初はタブレットにメモを入力していたが、最後の質問で俺の顔を見た。そして途中で俺の硬い表情に気づいて、これ以上触れてはいけない問題だと悟ったように感じた。俺は、三週間前の幹部会から今までのことを思い出していた。(凛は、今頃、どこで何をしているんだろうか―――――)幹部会で凜に別れを告げられたあの日から、しばらく自己嫌悪に陥っていた。謝るにも何から説明していいか分からずに考えているうちに、あっという間に日が過ぎてしまい、翌週になり仕事が終わって家に帰ってきた時には、ポストに隣の部屋のルームカードが入っていた。
Terakhir Diperbarui : 2025-11-11 Baca selengkapnya