凜side「凛、今度中学の同窓会があるんだー、創立記念でホテルを貸切ってやるみたいなんだけど、凛、帰ってこれないかな?」一か月前、地元の仲が良かった友人からメッセージをもらい、なんて返そうかぼんやりと考えていた。東京に来てからは、週末は誰かとデートしたり、習い事に行ったりと絶えず予定を詰め込んでいた。オシャレな街や店が揃っているこの街で過ごす方が楽しくて、地元にはほとんど戻っていない。しかし、今は別居中とはいえ一応律と戸籍上は結婚中。誰かとデートも出来ないし、そもそも結婚した時に全員の連絡先を消してしまったから、こちらから連絡の取りようがない。律と契約結婚したことで、私が東京で築き上げた人間関係からも孤立してしまったのだ。「んー。暇だし、律の影を感じない場所へ逃げたい。たまには顔を出してみるか」私は、行くと短く返事をしてスマホを閉じた。 実家は、名古屋から電車で一時間ほどの場所にある。愛知県と岐阜県は、木曽川を隔てて県が分けられている場所がある。木曽川に架けられた橋を渡らなければ愛知県民と名乗れて、渡った途端に岐阜県民だ。子どもの頃から都会に憧れていた私にとって、名古屋は憧れの場所で名古屋市民と名乗りたかった。そして、名古屋市民でなくとも愛知
Terakhir Diperbarui : 2025-11-17 Baca selengkapnya