凛side「あの時は驚いたよ。高柳さんのことを好きで忘れられないと話していた凜が、合コンの場にいるなんて。しかも、他の男と楽しそうに話していて、居ても経ってもいられなくなって割り込むように話しかけたんだ」私は、律に初めて会った時のことを思い出していた。律のかっこよさに隣にいた男性との会話を終わらせて律と別の場所に移動したのだ。あの時の胸のときめきを思い出して小さく笑う私に対して、律は苦い顔をしていた。「だけど、そのあともっとキツイことがあった。凜は、俺に向かって『初めまして』と挨拶してきたんだ。俺はずっと凜と再会できることを夢見ていたけれど、凜の記憶に俺は残っていなかった。」「あ……」私は思わず口元を覆った。私は、書斎であの本を見つけた時、そして同窓会であの男子二人組に会うまで、律の存在をすっかり忘れていた。ずっと想いを寄せていた相手に「初めまして」と言われることが、どれほど絶望を与えたか、今になって理解した。「その時、凜が誰を好きだろうと関係ない。今、凜が俺に興味を持ってくれているのなら、自分のそばから離したくない、そう思ったんだ。俺はずっと、凜がまだ高柳さんのことを好きだろうと思っていた。高柳さんを忘れるために自棄になって合コンに参加していると思っていたんだ」啓介への未練がなくなり、啓介よりもいい男を捕まえると意気込んでいたあの合コンで、啓介との関係を知っている律が、まさかそんな風に私を見ていたことに驚きを隠せなかった。
Terakhir Diperbarui : 2025-11-29 Baca selengkapnya