警察が介入してから、確かに黎斗は簡単に桐乃のそばに現れることはできなくなった。だが、彼には金も権力もある。そこで――十鳥グループの海外支社は、スポンサーという名目で地域のあらゆるインフラや施設に大規模な投資を始めた。その目的はただ一つ。桐乃がどこへ行っても一銭も払わずに済むようにするためだった。同時に、黎斗は派手に謝罪と告白を始めた。毎日、千本のローズが桐乃の家に届けられ、桐乃の友人たちの元にも、彼女の名義で高価な宝飾品が次々と届いた。驚きと喜びに包まれる一方で、彼らは気まずさも感じた。事情を説明して安心させるため、桐乃は簡単に経緯を話し、「クズ男のお金なんだし、遠慮せずもらって」と笑って彼らを宥めた。黎斗が惜しみなく金をばらまく中、季節はクリスマス直前へ。休暇で自宅にいたアンソニー一家は、海辺へバカンスに行くことにし、桐乃に「一緒に行かないか」と声をかけた。その頃、桐乃の手元には、2億円相当のサファイアのネックレスと、映画祭の招待状が届いていた。だが彼女は迷わず、アンソニー一家と出かけることを選んだ。映画祭には、彼女が大好きで憧れているスターが来ると分かっていても。しかもその映画祭は、黎斗が彼女と同じ場所にいるためにわざわざ開いたものだと分かっていても。桐乃は、もう彼に会いたくない。彼からの好意も受けたくない。ところが――海辺で、本来なら映画祭にいるはずの黎斗を見つけてしまった。「アンナ、日焼け止めを塗ってくれる?」アンソニーが笑顔で近づいてくる。肩にはベスが乗っていた。桐乃はクリームを受け取り、彼の胸から背中まで丁寧に塗ってあげた。その間ずっと、強烈な視線が自分たちを射抜いている気がしていた。誰のものかは分かっていた。黎斗だ。だが無視した。しかししばらくすると、金髪碧眼のセクシーな女の子たちが次々と現れ、アンソニーに色っぽく話しかけ始めた。あからさまに含みを持たせた誘い文句に、アンソニーは困り果て、ついに桐乃に助けを求めた。「彼にやめさせてくれない?自分はこの町のライフセーバー、こんなことしても困るよ。それに自分は……そんな軽い男じゃないんだ」桐乃は仕方なく、黎斗のもとへ歩み寄った。自分から来てくれたことに、黎斗は目を輝かせた。「桐
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