The kiss of death!!〜イケメン悪魔5兄弟VS私!!〜의 모든 챕터: 챕터 31 - 챕터 40

44 챕터

31.1週間限定本命彼女

「…」次の日の朝。私は不本意だが、クラウスの腕の中で目を覚ました。クラウスが起きる前に化粧をしなければ。クラウスを起こさないように私は慎重に体を動かして何とか腕の中から抜け出そうする。「…んー」「…」だがしかし私はクラウスの腕の中から抜け出せなかった。自分の腕の中から抜け出そうとする私をクラウスが抜け出せないように強く抱きしめてきたからだ。離せ!と声を大にして言いたいところだが、今クラウスに起きられると非常に困る。すっぴんだけはあまり見られたくない。昨日の夜ある程度見られていたとしても。何とか抜け出せないかといろいろ試してみたが、とうとう私はクラウスの腕の中から逃れることができなかった。いや、これ、クラウス、起きてないか?「…ん、さくら?」「…」クラウスが起きている可能性が頭をチラつき始めたところでクラウスの眠たそうな声が私の耳に届く。…今起きたようだ。「…おはよ、咲良」クラウスはとろんとした目で私を見つめ、私の耳元に唇を近づけると甘ったるい声でそう囁いた。「…おはよう、クラウス」 朝から刺激的すぎるし、心臓に悪い。そもそも私はクラウスと同じベッドで寝ようとは微塵も思っていなかった。むしろ床ででもいいから別々に寝ようとしていた。だが、それを申し出ると、『契約したいんでしょ?本命彼女なら一緒のベッドでしょ?』と、クラウスに言われ、一緒に寝る選択を選ばざるを得なかった。もちろん一緒に寝ただけで何かされた訳ではない。クラウスなので隙あらば襲ってくる可能性もあるぞ、と警戒していたが、その必要はなかったようだ。そこは拍子抜けというか意外な面でもあった。クラウスは私が本気で嫌がることや望まないことはしないようだ。「…クラウス、化粧したいから離してくれない?」そろそろ化粧をし始めなければ朝食に間に合わない。そう思ってもう起きているクラウスに私を離すようにお願いする。「えー。もうちょっと一緒に寝ていようよ。あと咲良の顔、もっとよく見たいなぁ」「嫌。離して。時間ないから。あとこっち見んな」だがしかしクラウスは私の願いなど聞き入れようともせず、むしろ絶対に離れられないようにさらに自身の腕に力を込めた。そんなクラウスの腕の中から逃れようと私は試みるがもちろん逃れられない。寝ているクラウス相手でも無理だったのだ。
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32.激重女VSニセモノ彼女

兄弟全員に私たちが付き合っていることを公表してから私とクラウスが付き合っているという事実は瞬く間に魔界中に広がった。最初こそあのクラウスが?という空気だったが、ここ数日の私とクラウスの様子や兄弟たちからの証言もあり、魔界中の悪魔たちは私とクラウスが付き合っていると認知せざるを得なかった。ああ、早く終われ、悪夢。どこへ行っても注目の的なのは疲れるし、何よりクラウスからの甘々攻撃に私のライフはもうゼロどころかマイナスだ。いつ恥ずかしさで死んでもおかしくない。そしてクラウスの彼女になってもうすぐ1週間。ついに私が待ち望んでいたその時がやってきた。「…ねぇ、アナタ、ちょっといいかしら」珍しくクラウスと時間が合わず、1人で人気のない学院の廊下を移動しているとある女の子に声をかけられた。愛らしい顔立ちに薄い紫のふわふわの巻き髪の女の子がこちらを恨めしそうに見ている。そう彼女こそがクラウスを困らせている愛の重たい女の子だ。声をかけられてすぐにそうだと判断できたのは事前にクラウスからどの子が愛の重たい女の子なのか聞いていたからだった。「何?」女の子に声をかけられて私は何も知らないフリをして返事をする。彼女が私に声をかけてきたということは、私とクラウスの関係を疑っているということだ。つまりあと一歩なのだ。彼女にあとは私がクラウスの本命であることを伝え、信じさせ、本命彼女の座を諦めさせればミッションコンプリートだ。晴れて私は自由の身!しかもクラウスと契約できる!「クラウスとお付き合いしているのは本当かしら?」ほら!きた!女の子の愛らしい瞳がまっすぐ私を見つめて、真剣に私に質問する。私はそんな女の子の質問に心の中でガッツポーズをした。「…ええ、まあ。そうだけど」予想通りの女の子からの質問に破顔しそうになるのを何とか堪えて不思議そうに私は答える。「…そう」すると女の子はひどく辛そうな表情で下を向いた。良心は痛むがミッションコンプリートだ。こんな可愛らしい女の子を本命になりたがるだけで重たい女認定して邪険に扱うクラウスって本当に最低。「…でも」「…?」「でも!愛の大きさなら例えクラウスの彼女であるアナタにも私は負けないわ!私は誰よりもクラウスを愛している!だから死んで!」「…はあ!?」バッ!と顔をあげて、先程の辛そうな表情と
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33.ミアの正体

クラウスとやっと契約が結べたその日のバイト終わり。「ねぇ、咲良」「ん?」スタッフルームで一人荷物をまとめているとミアがスタッフルームに入って来た。あまり聞かないミアの暗い声に思わず自分の荷物からミアの方へと視線を向ける。「…」するとそこにはひどく暗い表情でこちらを見つめて立っているミアがいた。「…ミア?」一体何がミアをそんな表情にさせているのかわからず心配になる。私は私の名前を呼んだミアの次の言葉を固唾を呑んで待った。「咲良はクラウスと付き合っているの?」「…」ああ、なるほど。ミアの暗い表情から出た言葉に私は1人納得する。どうやらミアはクラウスと私の関係について気にしているようだ。私の口からではなく、人づてにクラウスと私が付き合っていると聞いてしまったことが気に食わなかったのだろう。あるあるだ。私も大切な友だちのそういう話を本人から直接聞けず、知ってしまった時は辛かった。私の価値がその友だちにとってその程度だったのだと思えてしまったからだ。 「もう付き合ってないよ」 暗い表情のままのミアに私は今の私とクラウスの関係について安心させるように優しい笑顔で伝えた。数時間前までは確かに一応付き合っていたが、クラウスからの条件も満たしたのでもう付き合っていない。そもそもきちんとしたお付き合いじゃないからね!ミアそんな顔しないで!ミアにクラウスとのことをきちんと話そう。悲しい顔も辛い想いもミアにはさせたくない。「…」どんな言葉でどんな風にクラウスとのことをミアに伝えようか。クラウスとの関係をミアへどのように説明しようかと考えている時だった。「…もう、てことは付き合っていたのは本当なんだ」ミアは私の言葉なんて待たずにそう呟くと冷たい瞳で私を見つめた。「…あ、まあ、うん。でも…」それには事情が…。「何も聞きたくない」静かに怒っている様子のミアに事情を説明しようとしたが、それをミアが許さない。珍しい…いや初めて本気で怒っているミアの姿を見た。相当怒っている。これはいけない。何とかことの経緯を早くミアに説明しないと。「…我慢の限界」「え」ふっ、と冷たく笑ったミアの声はいつも聞いているような明るく可愛らしい声ではない。低い男の人のような声だ。冷たいその声に私は聞き覚えがあった。美しく愛らしい見た目である
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34.怪しい秘薬

魔界へ来てもうすぐ1年。私が帰る為に必要な契約は残すところヘンリーとの契約のみとなった。人間界へ帰りたい。だがここでの生活も悪くないと思い始めている自分がいることも確かだ。特に焦ることなく機会を伺い続けた結果が今である。そんなある日の朝のこと。「…お、咲良、はよ」「おはよ~、咲良。今日もかわいいね」食堂へ向かって廊下を1人で歩いていると後ろから明らかに朝帰りらしいエドガーとクラウスに声をかけられた。2人ともそれぞれ違う場所で朝まで遊んでいたのだろう。エドガーがギャンブルでクラウスが女の子関係であることは間違いない。オールで動けるなんて若いなぁ。少しだけ眠たそうだが特に変わった様子もない2人に感心しながら私も2人に「おはよ」と挨拶をした。朝帰り組と私、3人で並んで他愛もない会話をしながら食堂へ向かう。「あ、そう言えば俺賭場で珍しいらしい秘薬を貰ったんだけどよ」会話の途中でふと思い出したかのようにそう言ってエドガーが自分の服のポケットからガラスの小瓶を出す。「何の秘薬かわかんねぇんだわ」そしてエドガーは面白くなさそうにそう言った。「「…」」エドガーの発言により、エドガーの手の中にある小瓶に私とクラウスの視線が自然と集まる。ガラスの小瓶の中には水色の液体が小瓶いっぱいに入っており、ユラユラと揺れていた。…秘薬ね。普通に怪しいんだけど。「いくら珍しくても何かわかんねぇと高値で売り捌けねぇよ」「…んー。媚薬系ではないことはわかるけどこれが何か僕にもわからないなぁ」エドガーもクラウスも小瓶を見つめて首を傾げている。どうやらクラウスも小瓶の中身が何なのかわからない様子だ。「見た目だけじゃわからないんじゃない?匂いとか液体の感じとかでわかったりして」人間である私がわかるはずもないが、私目線でどうすればよいのか考えて言葉にしてみる。「あー。それは一理あるわ」するとエドガーは私の言葉に納得したように頷き、カポっと小瓶の蓋を開けた。「…」「どう?」黙ったまま難しい顔で小瓶の中身を覗き見ているエドガーの答えを私は待つ。数秒そのまま動かなかったエドガーは、数秒後、顔をしかめて、「わかんねぇ」と呟いた。「ここはやっぱりヘンリーかギャレットに聞くのが1番じゃない?2人とも博識だし、知識お化けじゃん」「確かに。それが1番早
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35.全員もれなく幼い

「ギャレット!」バーン!と勢いよくエドガーがぐったりとしたヘンリーを小脇に抱えて食堂の扉を開ける。エドガーに急に名前を叫ばれたギャレットはもう食堂の席に座っており、「え!?何!?」と、突然の大きな音と声に驚いて肩をびくっと振るわせていた。バッカスもギャレットと同じようにすでに席についていたが、ギャレットとは違い、いつもの無表情で特に驚いている様子もない。…ある意味すごい。動じなさすぎる。「ギャレット助けて!」そんなギャレットに今度はエドガーの後ろから食堂へ入ってきたクラウスが必死な顔で助けを求めた。クラウスと同じように私もエドガーの後ろから食堂へ入る。「助けてって…。一体何が…」呆れたように私たちを見つめるギャレットだが、突然ギャレットの言葉がそこで止まった。驚いたように大きく目を見開いてこちらを見つめるギャレット。幼くなったヘンリーに気づいたのだろうか?「…咲良っ!それっ!」ギャレットは勢いよく席から立つと血相を変えて私の方へと近づいてきた。ん?私?「どうしたの!?その首!?」「…え?」エドガーが抱えている幼いヘンリーをスルーして私の元へ来たギャレットが痛々しそうに私を見る。…首?一瞬何のことだとも思ったが、すぐに何故ギャレットが痛々しそうに私を見たのかギャレットの視線と言葉でわかった。ギャレットの視線は私の首にある。そこは先程ヘンリーに絞められていたところだ。鏡などで見ていないのでわからないが首にヘンリーに絞められた跡でも残っていたのだろう。「…いやぁ、これにはいろいろ事情があって」「事情って何!?こんなの相当な力で絞められないとできない跡だよ!?咲良殺されかけた自覚ある!?」「…うん。それで事情なんだけど」「言って!今すぐ説明して!ソイツに報復に行くから!」すごい勢いで私に迫るギャレットに私は苦笑いを浮かべる。そんな私なんて気にも留めずにギャレットは「全く!エドガーとクラウスは何していたのさ!特級が2人もいて情けない!」と相当怒りをあらわにしていた。まさかギャレットが怒るとは思わなかった。跡が残っているとも思わなかったけど。「事情については僕とエドガーで話すよ」はは、と力なくクラウスがギャレットに笑う。そしてクラウスとエドガーによる先程起きたことの説明が始まった。*****「…つまり今そこ
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36.魔王と電話と状況説明

それから私たちは短い時間で幼いヘンリーが目覚めても大丈夫なようにいろいろと準備を進めた。その中で私が任されたことは学院やヘンリーの職場へ欠席連絡を入れることだ。学院に5兄弟全員と私の欠席連絡を終えた後、今度はヘンリーの職場である魔王城へ私は自分のスマホから直接電話をかけていた。「…」無機質な機械音が耳元で繰り返し鳴る。『お電話ありがとうございます。魔王城でございます』そして2コール程で魔王城の窓口と電話が繋がった。スマホ越しから物腰の柔らかい男性の声が聞こえる。「ヘンリー・ハワードの家の者です。ヘンリーの体調が優れないので本日は欠席させます」『かしこまりました。そのように伝えておきます。ご連絡ありがとうございま…っ!』早速ヘンリーの欠席を伝え、ミッションコンプリートだと思ったのだが、スマホ越しの向こう側の電話対応されている方の様子がおかしい。いや、心なしか彼の周りが非常に騒がしいような…。スマホ越しなので詳細はわからないが。『代われ!』「…っ!?」電話対応の彼の次の言葉を待っていると聞き覚えのある声が向こうから聞こえてきた。…テオだ。何故魔王城のトップがこんな電話対応の現場にいるんだ。『…ま!魔王様!電話対応は私がしますので!どうぞ業務にお戻りください!』『いや!今回は俺がする!お前は下がっていろ!』『しかし!』『…これは命令だ!』『ゔぅ!』現場が騒がしい理由がスマホ越しから聞こえてくる声によってよくわかってしまった。声だけでも伝わるテオの鬼気迫る勢いとそれに負けじと健気に対抗する電話対応の方の攻防がよく聞こえてくる。何でテオはそんなに電話に出たいんだか。『咲良!』テオと電話対応の方の攻防が終わるのを待っていると数秒後、テオの明るい声がスマホ越しから聞こえてきた。どうやらテオがあの攻防を制したようだ。スマホ越しのテオの様子からして何故かテオは電話の相手が私だとわかっているようだった。謎しかない。ほんの少ししか言葉を発していない電話の向こう側の人物を迷いなく私だと言い切れる根拠はどこにあるのか?『…声聞けて嬉しい。ヘンリーのことはわかったからゆっくり休むように伝えて』「うん。ありがとう、テオ」先程の攻防の時とは全く違う甘えるような優しいテオの声が私の耳へ届く。謎しかない展開だが、こちらも急いでいるの
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37.頼れる大人と争奪戦

「ちょっと待った!」幼い5兄弟たちとの期間限定!ハラハラ☆ドキドキ(泣)な生活が強制的に始まった訳だが早速問題発生だ。何とあのヘンリーが家政婦(嘘)の私がいるというのに、この馬鹿でかいお屋敷を1人で掃除し始めると言い出したのだ。この大きなお屋敷を1人で、しかもこんな幼い子どもが掃除するなんて日が暮れるどころか1週間は平気でかかるはずだ。そんな無謀なことを1人で始めようとするヘンリーを私は必死で止めていた。「掃除もしなくて大丈夫です!」先程からずっとこれだ。家事など何かをやろうとするヘンリーを全力で私が止める。それの繰り返し。兄弟たちの為に朝食を作ろうとしたり、魔王城へ仕事へ行こうとしたり。子どもであるヘンリーがやらなくても大丈夫なことを何度も何度もヘンリーはやろうとしていた。主に家事だけではあるが、それは大人であり、一応ここの家政婦でもある私の仕事だ。「…お前は先程から俺のやろうとすること全てを否定するな?」「ごめん!でもヘンリーがやる必要ないことまでやろうとするから…」こちらをギロリと睨むヘンリーは幼くても迫力がある。大人のヘンリーは屋敷のことは全てたくさんいる使用人たちに任せていたはずだ。何故幼いヘンリーはそれをしないのか。「俺がやる必要ないだと?じゃあ誰がやるんだ?朝食を作るのは?この屋敷を管理するのは?その為に必要な資金は?全て俺以外の誰ができると言う?」幼い子どもが言う言葉じゃない。妙に落ち着いているがまだ幼いヘンリーにはあまりにも似合わない言葉だ。どこの世界線の子どもがこんな言葉を言うのか。何故ヘンリーはこんなことを言わなければならないのか。「…ヘンリー、アナタはまだ子どもでしょう?今ヘンリーが言ったことは全部大人がやることだよ?ヘンリーがやることじゃない」「そんな大人は俺にはいない」「…」顔色ひとつ変えずに当然のようにそう言ったヘンリーに私は思わず何も言えなくなった。幼いヘンリーを…いや彼ら幼い5兄弟たちを取り巻く環境は一体どういうものだったのだろうか。何もわからないが、ヘンリーの様子を見て、少なくても彼らには頼る大人がいなかったのでは、と思った。「…今は私がいる」「は?」「私はこの家の家政婦件唯一の大人。さっきヘンリーが言ったこと全部とは言えないけどできる範囲で私がやるよ」「…」過去がど
last update최신 업데이트 : 2025-10-22
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38.最後の契約

長かった場所争奪戦も終わり、やっと寝られる態勢になった。私の左隣はあんなにも争われていたのに空いており、右隣には何故かヘンリーがいる。これがこれ以上の争いを生まない為のヘンリーによる苦肉の策だった。私はそんなヘンリーに背を向け眠ろうとしていた。「…咲良」すると私にしか聞こえないような小さな声でヘンリーが私に話しかけてきた。「お前は赤の他人だ。何故俺たちに構う。何が目的だ」やっと警戒が解けたと思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。疑い深いヘンリーの声が私の耳に届く。「何が目的って…」最初こそ彼ら5兄弟が苦手で嫌いで仕方なかったが、今ではそうではない。普通に好きだ。だからこそ、何かあれば少しでも力になりたいと思うことはごく自然なことなのだ。だが、そんなことを言ってもきっと今のヘンリーにはわからない。今のヘンリーには私と過ごした1年の記憶がないからだ。突然現れた人間に好きだからとか言われても気持ち悪い上に信じがたい話になるはずだ。「…自分の願いを叶える為に、かな」なので私は〝好き〟だという感情以外で彼らと関わる理由を口にした。そもそも人間界へ帰る為に彼ら5兄弟たちと過ごしてきたのだ。間違いではないはずだ。「願い…か。正直だな」「別に隠すことでもないし」「そうか」声だけではヘンリーが何を思っているのか分かりづらい。ただでさえ感情を隠すことが上手なヘンリーだ。幼くてもそれは変わらない。「ずっと側に居てくれるか」「え」ヘンリーの感情は読めないままだが、思いもよらないヘンリーからの言葉に私は思わず声を変な声を出す。な、何て?「…咲良がいると弟たちが楽しそうなんだ」「…」「俺も咲良といることが楽しい。何故なんだろうな」あまりにも正直でまっすぐなヘンリーの言葉に私は嬉しさと気恥ずかしさで顔が熱くなった。このショタはなんだ。可愛すぎて怖い。「できる限り側にいるよ、ヘンリー」「その言葉、忘れるなよ」私からの返事を聞くとヘンリーは満足そうな声でそう言った。*****「…ん」朝。いつもとは違う場所で目覚める。「…ん?」私は今自分が置かれている状況に身に覚えがなく首を傾げた。談話室で幼い5兄弟たちと雑魚寝したのは覚えている。だが今私の目の前に広がっているのは幼くない誰かの裸体なのだ。しかも私は
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39.咲良の願い

ヘンリーと契約をして数日。人間界へ帰れる条件をもう満たしている私だが、そのことを魔王であるテオに私はまだ伝えていなかった。理由はただ一つ。いつでも帰れる状況になった途端、ならば今すぐではなくてもいいかと思えてしまったからだ。ここでの生活を、彼ら5兄弟たちとの日々を、私はいつの間にか気に入っており、もう少しだけ彼らと居たいと思ってしまった。「さーくら」そんな日々が続いていたある日のこと。いつものようにナイトメアでバイトをしているとミアに可愛らしく声をかけられた。テオは私に正体を明かした後も基本的にはミアとして私の前に現れることが多かった。魔王の姿だと目立つし、ミアの姿の方がいろいろと都合がいいのだろう。ちなみにテオが未だにナイトメアでミアとしてバイトをしている理由は単純に私に会いたいかららしい。前に一度だけ気になって聞いてみた時に、そう恥ずかしげもなく言われ、心臓が無事に死んだ。あんな美少女or美少年にまっすぐ「会いたいから」と言われると誰でも死んでしまうだろう。心臓に悪い。ある意味テオは私の心臓を狙うテロリストだ。「どうしたの?ミア?」「ちょっと聞きたいことがあってね。こっち」私を呼んだミアの方に視線を向ければ、ミアは私の手を引いて、誰もいないスタッフルームへと連れて行った。そんな私たちの行動を見てもユリアさんは特に何も言わない。今の時間帯はお客さんも少なく、そこまで従業員がいなくても大丈夫な為だ。パタンっ、とミアによってスタッフルームの扉が閉められる。「契約の方はどう?クラウスと契約を結べた話までは聞けたけど…」「…」そしてミアは心配そうな表情で私を見た。ミアはどうやら私と5兄弟たちの契約の進行具合を確認したかったようだ。クラウスのことを報告して以来、何も言えていないので、ミアもさすがに心配になってきたのだろう。「魔界へ来てもう一年が経つでしょ?そろそろヘンリーとの契約もできそうなんじゃないかな、て。難しいなら私…いや、僕も魔王として協力するし」こちらを未だに心配そうに見つめるミアは何て優しくて天使のような子なのだろう。中身があの魔王、テオであるとわかっていても、ミアの評価は私の中でどうしても崩れない。ずっと大好きな友だちのままだ。「大丈夫。もう少しで契約できそうだから。いつもありがとね」私はミアの優し
last update최신 업데이트 : 2025-10-24
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40.強制送還

テオの話を聞き終えた5兄弟たちは皆、同じようなリアクションをしていた。「…そんなこと、俺は…」ヘンリーは信じられない様子で「…嘘、だろ?」エドガーは驚きを隠せないように、「…どうして?」ギャレットはまだ理解が追いついていない表情で、「…そんな」クラウスは今にも泣き出しそうな顔で、「…」バッカスは無表情だがどこか辛そうに、全員が絶望していた。「…咲良。最後の仕上げだよ」そんな5兄弟たちなんて無視してテオが今度は私に向けて冷たく微笑む。「契約者は契約している悪魔に絶対の〝命令〟ができる。咲良がヘンリーたちに魔界を滅ぼさないように命令してしまえば魔界が滅ぶ未来も来ない。だから咲良は今ここで彼らにそう命令するんだ。それが最後の仕上げだよ」「…」「大丈夫。どんなに気に食わない命令でも彼らは君を殺せない。だからこそ咲良、君が予言の人物なんだよ」そしてテオはそう言い切ると私の側までやって来た。これで全部終わるんだ。私が命令すれば魔界はヘンリーたち5兄弟に滅ぼされない。私も約束通り人間界へ帰れる。だけど私はもう少しだけここに居たかった。「咲良は呪文苦手だよね?僕と一緒に呪文唱える?」急な展開に追いつけず、呆けている私にテオが優しく何かを言っているが、うまく聞き取れない。「…咲良」そんな私の名前をエドガーが突然呼んだ。「行かないでくれ。まだここに居てくれよ。お前の命令ならどんなものでも従うからさ。まだ帰らないでくれ」エドガーの方を見れば、エドガーが辛そうにそう懇願している。「そう、だよ。俺たち同志でしょ?まだ一緒に見たいアニメもやりたいゲームもあるんだよ?いきなり帰らなくたって」それを見たギャレットも同じように私に懇願する。「…咲良がいなくなるのは嫌だ。行くな」「僕もバッカスたちと一緒だよ。お願いだから、まだ行かないで」バッカスもクラウスも私をまっすぐ見つめてそう懇願した。エドガー、ギャレット、バッカス、クラウスの気持ちが痛いほど伝わってくる。「ああ、こうなるとわかっていたのならば俺はお前と契約しなかったのに。…咲良ずっと側に居てくれるんだろう?まだ帰るなよ」最後にヘンリーはそう言うと、絶望したような表情のまま冷たく笑った。私だってまだ帰りたくない。あと少しだけ、彼らと居たいと思ってテオに嘘を付いたのだから。
last update최신 업데이트 : 2025-10-25
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