The kiss of death!!〜イケメン悪魔5兄弟VS私!!〜의 모든 챕터: 챕터 11 - 챕터 20

44 챕터

11.家出女強制帰宅させられる

「人間界に帰りたいけどあんな奴らと良好な関係とか無理」スマホ燃やされ事件から1週間が経った。私は今もあの5兄弟の家には帰らず、5兄弟に会う可能性のある学院にも行かずナイトメアでせっせと毎日元気に働いている。「んー。私はもうこのまま咲良が帰れなくてもいいかも。せっかく仲良くなれたのに離れるのは寂しいし」バイトの合間の休憩中、いつものようにスタッフルームでミアに愚痴っているとミアはそんな私に愛らしい笑顔でそう答えた。ああ、本当、天使だよ、天使。悪魔だけど天使。「…私も寂しいよ。でも帰りたいじゃん。ここはもう魔王に直談判して何とかしてもらおうかな…」もう私が人間界へ帰る方法はそれしか思い浮かばない。今までのことを全て伝えてどれだけ〝良好な関係を築く〟ことに無理があるのか理解をしてもらい、仕方ないと帰してもらうのだ。無理です。無理ゲーです。と死ぬ気で伝える。これに限るのでは?「ご主人様!困ります!」スタッフルーム外、フロアの方から慌てた様子のメイドの声とガタンっ!ガタンっ!と激しい物音が聞こえる。お客さんが荒ぶって揉め事でも起きているのだろうか。「うるせぇ!ここにいるのはわかってんだよ!」騒がしいフロアの音を何となく聞いていると聞き覚えのある荒ぶった声が私の耳に入ってきた。聞き覚えしかない荒ぶる声の持ち主に嫌な予感がする。「居た!咲良!」「…っ!」逃げた方がいいのではと思った時にはもう遅かった。スタッフルームの扉を無理矢理開けたエドガーとばっちり目が合ってしまった。何でエドガーがここにいるんだ?荒い足取りでエドガーがどんどん私に迫る。そして私の手を強引に掴んだ。「帰るぞ!」「…は?」エドガーがあまりにも真剣に冗談を言うので私は思わず眉間にしわを寄せる。帰る?「…何、言ってんの?冗談?面白くないよ?」「あぁん?これが冗談に聞こえるのかよ!帰るぞ!」「お望み通り出て行ったんですけど!?何で帰る必要があるのかなぁ!?」エドガーに怒鳴られたので私も負けじと怒鳴る。一度すごい勢いで怒ってしまっているので取り繕うとはもう思わない。「…悪かったよ、やり過ぎた。だから帰ってきてくれ」「…」「…な?」エドガーが本当に申し訳なさそうな顔で頭を下げて、下から私を上目遣いで見上げる。おそらく意識していないだろうが、あざと
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12.悪魔たちの思惑と変化

あれから数日。あれだけ怒っていた私だったが、時間が経てばその怒りも自然と収まり、もう落ち着いていた。また私の怒りが落ち着いた理由には彼ら5兄弟のある変化もあってのことだった。ある変化とは簡単に言うと彼ら5兄弟が私のことを完全には放置しなくなったことだ。主に世話係らしいエドガーがなるべく私を1人にさせないようにどこへでも付いてくるようになり、エドガーの都合が合わない時は他の兄弟が私に付いた。そのおかげで周りの学生たちは簡単には私に手出しができなくなり、上から泥水が降ることも、階段から突き落とされそうになることも、知らない人に袋叩きにされそうになることもなくなった。たまに私物が被害に遭うがその程度だ。最初こそ末代まで呪ってやるぞ、と5兄弟たちを恨めしく思っていた私だったが、今では変わっていた。結局私は彼らと良好な関係を築くこと以外で人間界へ帰れる方法を知らない。5兄弟たちがこれからも変わらず、今のままであるのならば、人間界へ帰る為にもなるべく穏便に過ごし、良好な関係を築く努力をした方がいいだろう。5兄弟たちが何故急に変わったのかはわからないが、こちらにとっては非常に好都合な変化だったので、私は以前と同じように5兄弟たちと関わっていくことを心に決めていた。そして心を入れ替えたのか知らないが、少しだけ変わった5兄弟たちを見てほんの少しだけ言いすぎたかも、と数日前の発言についても反省した。ほんの少しだけだけど。本当にほんの少しだけ。*****「やあ、咲良、久しぶりだね。変わりはないかな?」私の目の前で魔王が優しく笑う。魔界に来て以来、一度も会ったことも、姿さえも見たこともなかったこの薄情、二重人格魔王は今、5兄弟の家の応接室にいる。10分前ほど前、いきなりヘンリーに呼ばれて応接室へ来た私にヘンリーは「あと10分後にテオ…魔王様が来る。咲良に会いたいらしい」と突然言ってきた。そして今、目の前に幼い顔と尊大な態度がミスマッチしている美しい魔王がいる。「…」あ、なんかここ最近の大きな謎が一つ解けたかも。魔王が私に会いたがっているから5兄弟たちは私を連れ戻して関係を回復できるように努めたのではないだろうか。魔王に任されている人間を守るどころかいじめていましたなんて知られたら大変だから。そう思う方が自然な気がする。「…変わりはないです
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13.深夜強欲ギャンブラーと遭遇する

学院でのいじめのようなものが本格的になくなり、食堂の私の席に普通の料理が並び出して早、1ヶ月。こちらに来てもうすぐ2ヶ月だ。5兄弟たちとの関係は普通で、可もなく不可もなく。魔王の突然の訪問のこともあり、5兄弟たちは明らかな嫌悪感を私には向けなくなった。食堂で出される食べ物もどれも豪華で美味しそうだが、毒を盛られたことがどうしてもトラウマで未だに口を付けていない。代わりに自分で食材を買って小屋の小さなキッチンで料理を作ったり、ナイトメアの賄いを頂いている日々だ。小屋の周りにはたくさんの自然豊かな土地があるので近々人間界からお取り寄せした畑の土や苗で家庭菜園もする予定である。その為にも私はユリアさんにお願いして、時給が上がる深夜帯にもシフトを入れてもらい、一生懸命深夜まで働いていた。今の時刻は0時。この歳で0時まで動き続けることは少々大変だが夢の家庭菜園計画の為に頑張るしかないだろう。朝でも夜でも太陽が昇らない、暗い魔界の街をふらふらになって歩いて帰る。社畜の記憶が蘇る。「くっそ!待ちやがれ!」「逃げんじゃねぇ!」街のどこからか数人の怒声が聞こえてくる。そうそう。深夜の街ってこういう治安の悪い声も聞こえてくるんだよね。人間界も魔界もそこは同じみたいだ。「待て!エドガー・ハワード!」「…」怒声の中から明らかに聞き覚えのある名前が聞こえ、思わず立ち止まり、声の方を見てみる。すると…「待てって言われて待つやつがいるかよ!」と言いながらたくさんの人を引き連れて全力疾走をするエドガーの姿が私の目に入った。アイツ、何やってんだ。「あ?咲良?お前!こんな時間に何してんだよ!」「それはこっちのセリフな」追われていたエドガーが私に気づき、驚いた表情を浮かべているが、こちらだって驚いている。むしろ驚いた目で見られる立場なのはそっちだろう。「賭場で大負けしたんだよ!もう手持ちがねぇ!だから逃げてんだ!」「サイテー」冷めた目でエドガーを見れば「戦略的撤退だ!素晴らしいと言え!」と言っていたがますます私の中でエドガーの株が落ちた余計な一言だった。「どのくらい負けたの?」はあ、と大きなため息をついたあとカバンから自分の財布を出す。ここへ来て2ヶ月。家賃等払う義務もなく食費と必需品を最低限しか買っていない私にはそれなりに金がある。
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14.賭け事の女神様

私とエドガーは怒声集団に連れられてとある賭場にやってきた。そこは外装も内装も無駄にギラついており、まさに欲望が形になったような場所だった。そして今私は私を担保に渡された1億8千万と所持金20万のチップを握ってルーレットの前にいる。「おいおいおい。お前考え直せ?本当に大丈夫なのかよ?」私の横で終始心配そうにそう私に声をかけ続けているのはエドガーだ。私はそんなエドガーを無視し続けて今ここにいる。「お嬢ちゃん、ギャンブル…ルーレットの経験は?」「多少は」「そうかい」エドガーとは反対側の私の隣にいる先程の怒声集団を代表して私についてきた男、名前はわからないので見た目からスキンヘッドさんと私に今命名されたスキンヘッドさんがニヤニヤ笑いながら私を見ている。「赤か黒か。あと数字。それを当てたらいいんでしょ?」「ああ、そうだ」私とスキンヘッドさんの会話を聞いて「そうだけどそんな単純なもんじゃねぇー!」とエドガーが叫んでいたが引き続き無視した。「お嬢さん。どうするか決められましたか?」スキンヘッドさん、あと一応無視しているがエドガーと話しているとこのルーレットの卓のディーラーの人が私に丁寧に話しかけてくる。「はい。赤の19に全額…1億8千20万ベットで」「はぁ!?」そして私は笑顔でディーラーにそう答えた。隣でエドガーがありえないとまたまた叫んでいる。「おいおいおい!やめろ!お前ギャンブルやったことねぇだろ!生き地獄確定じゃねぇか!」「失礼な!ちゃんとやったことあるから!」「いーや!ねぇな!死ぬぞ!」私の手に不満しかないエドガーがずっと私の横で叫んでいるが私は終始笑顔だ。ただでさえお騒がせエドガーの連れ、しかも人間が自分の体も賭けてギャンブルをしているだけでも注目を集めているのに、エドガーがさらに騒ぐので賭場中の注目が私たちの卓に集まる。いや、きっと私の手の無謀さにだろうが。スキンヘッドさんも賭場内の声を代表するように「あははは!お嬢ちゃん面白れぇ!」とバカにしたように笑っていた。全員が無謀だと騒つく中で私だけは自分の手に自信があった。「…本当によろしいのですね?」ディーラーがおかしそうにだが丁寧に私にそう聞く。「はい」私はそんなディーラーに右手を握り締めながらも笑顔で答えた。「それでは」ディーラーの言葉を合図にルーレッ
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15.食欲モンスターバッカス

あるぅ日♪ハワード家の中♪バッカスに♪出会あた♪無駄に♪でかい廊下でぇ♪バッカスに♪出会あた~♪頭の中で森のくまさんの替え歌、ハワード家のバッカスが流れる。そう今まさに目の前で起きていることを私は頭の中で即興で替え歌にしていた。学院もバイトもない週一の休日。昼食の時間だった為、食堂に座りに行った帰り道。ハワード家の廊下でバッカスがうずくまっていた。何事。「どうしたの?バッカス」さっきまで元気に昼食食べてたじゃん。ただならぬ様子のバッカスが心配で思わず声をかける。「…その声は咲良か。…動けないんだ」するとバッカスはこちらを向くことなく辛そうにそう言った。え?緊急事態じゃない?ここが日本なら、『貴方はAEDを!貴方は救急車を!』と叫んでいてもおかしくないのでは。いや、それはやりすぎか。「怪我?体調不良?」何が原因なのかわからない以上どうすることもできない。私はとりあえずバッカスと目線を合わせるようにしゃがみバッカスの様子を伺った。「…体調不良だ。腹が減った」「体調不良ね。腹が減った、と。じゃあとりあえずエドガーでも呼んで…ん?腹減り?」「ああ、腹が減って動けない」「…」心配して損した!思わず出そうになった本音を慌てて抑える。バッカスの様子からして大真面目に言っているのだ。本人には切実なことなのだろう。「昼食さっき食べていたよね?」「ああ」「人より多い量でしかも私の食べなかったご飯にも手ぇ出してたよね?」「ああ」「胃もたれとかじゃない?食べ過ぎの」「それはない」もしかしたらバッカスの勘違いかもしれない。そう思った私は丁寧にバッカスに聞いてみるがバッカスは淡々と私に頷くのみ。しかも最後の質問にはしっかり否定の言葉付きだ。いやおかしくない?食べ過ぎじゃん、絶対。「んー」どうしたものかなとバッカスの姿を見て首を傾げ考える。あ、ポケットの中にクッキーなかったっけ?ふとクッキーの存在を思い出してポケットに手を入れると予想通り私の手に個包装のクッキーの袋が当たった。「バッカス!ほら!これ!」私はポケットからクッキーを出してバッカスへ差し出す。「ナイトメアのクッキーだよ。これあげるから元気出して」「…!ありがとう、咲良」バッカスは無表情だが、今まで見たこともないほど目を輝かせて、私からクッキ
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16.魔王からの登城命令

バッカスとの畑仕事から数日。バッカスは気がつくと私の小屋へ訪れ、ご飯を食べたり、畑仕事をしたりするようになっていた。ここ数日でバッカスとの仲が深まった気がする。また一歩人間界へ近づいているようで嬉しい。「まーた来たのかよ、バッカス」「今日もいるんだな、エドガー」バイト後。まだ時刻は21時頃。小屋へ帰ってのんびりエドガーと過ごしているとバッカスが小屋へ訪れた。そして毎度お馴染みのエドガーとバッカスの会話である。エドガーを助けたあのギャンブルの日から、エドガーは暇になると何故かここへ来て、私が居ても居なくてもここで時間を潰すようになった。バイト帰りに私がいない小屋にすでにいるエドガーを何度見たことか。だがしかし私はそのことについてはあまり気にしていなかった。ここはエドガーたちの家の一部だし、文句を言おうとは思えない。何故暇になるとここへ来るかは知らないが。暇潰しで我が小屋入り浸りのエドガーとふらっと現れるバッカスは本当にここでよく会っていた。「俺はコイツと契約した身なんでね。世話係だし、コイツをいつでも守る為にいるんだよ」「…」へぇ。そんな理由が。偉そうに笑っているエドガーを白い目で見つめる。絶対適当についた嘘だわ。暇潰しに来ているのバレバレなんだわ。今度は誰に世話係のお金請求するつもりだ?「俺は咲良に会いに来た。咲良のご飯が食べたい」「…」まあ!なんて素直で可愛らしい!さすが五男!末っ子!思っていることそのまま言いましたが何か、といった感じで無表情のままでいるバッカスに思わず笑みが溢れる。自分にはないと思っていた母性が溢れてしまう素直で可愛い発言だ。そんなバッカスの発言にエドガーは「あぁ!?恥ずかしくねぇのか!お前!」とエドガーの方が恥ずかしそうに叫んでいた。うるさい奴め。ぎゃあきゃあと主にエドガーだけが騒がしい中、コンコンッと小屋の扉がノックされる。こんな時間に誰だろうか?「はーい。どうぞ」そんなことを思いながらも返事をすると扉はある人物によってゆっくりと開けられた。扉を開けた人物はヘンリーだった。「邪魔するぞ、咲良…て、エドガーとバッカスもいたのか」私に軽く挨拶をして小屋へ入ってきたヘンリーがほんの少しだけ驚いたように弟たちを見る。だがすぐに弟たちから視線を逸らして私へ視線を向けた。「これ
last update최신 업데이트 : 2025-09-27
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17.強制召喚の真意

「おめでとう、合格だよ、咲良」魔王城登城当日。魔界へ初めて強制的にやって来たあの謁見の間で私は魔王に冷たく微笑まれていた。早速だが意味がわからない。ここまでは仕事の都合が合ったヘンリーと共に来たが、この部屋には私しか通すことを魔王が許さなかった為、ヘンリーはもういない。今更だが居て欲しかったと思ってしまう。魔王の通訳として必要なのでは?「あの…いきなり祝われましても何が何だが…。合格とは?人間界へ帰れると言うことですか?」あまり期待はしていないが、僅かな期待を込めて、魔王に言葉の真意を聞いてみる。すると魔王はその笑みを深めた。初めて会った時はヘンリーが来るまで一度も笑わなかったくせに怖すぎる。どういう意味の笑顔なのだろうか。「まずお前はまだ人間界へは帰れない。そしてお前は本来の目的を果たす為のスタートラインに立てた…つまり合格だ」「…はぁ」笑顔だが、冷たい印象のままの魔王の言葉にやっぱり意味がわからず私は首を傾げる。もう少し具体的な説明をお願いしたい。本来の目的とは?「…お前はここ2ヶ月ほど5兄弟たちと過ごしてどう思った?」「…」突然魔王にそう質問され、私はとりあえず5兄弟たちのことを頭に思い浮かべる。長男ヘンリーは一見私によくしているように見えるが、全てそこには損得がある。表裏が激しい上に自分に利益がないと思えばバッサリと切る印象だ。次男エドガーは一応私の世話係らしいが全く私の世話をしていない。むしろ私がエドガーの世話をしていると言っても過言ではない。強欲でスリルが大好きなエドガーから正直悪い意味で目が離せない。三男ギャレットについてはまだまだ未知数だ。食事の時だけは留学の決まり事があるので、顔を見るがそれだけ。お互いに何の交流もない。四男クラウスは苦手だ。まずあのチャラチャラした雰囲気が受け付けない。よく会えば話しかけてくるがどちらかと言うと口説かれている。話しかけられていない。ある意味まともな会話をしたことがない。五男バッカスは無表情で何を考えているのかわからないが、食が関係してくると話が変わってくる。食の為なら何事にも積極的だ。だが裏を返せば食以外のことに無頓着で無関心すぎる。「…自分の欲望に忠実ですね。良くも悪くも」「なるほど。妥当だな」私の5兄弟たちへのこれまでの率直な印象を聞き、魔王が納得したよう
last update최신 업데이트 : 2025-09-29
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18.強い悪魔は気まぐれである

魔王との話も終わり、さっさと謁見の間から追い払われた私は魔王城から帰宅する為に魔王城の外へ出た。そこから無駄に広い庭を歩く。目指すは城門だ。ヘンリー曰くエドガーがそこで私を待っているらしい。魔王からの令状を届けたあの日、後からエドガーはヘンリーの元へ行き「せめて帰りは俺が迎えに行く!」とヘンリーに言ったらしい。クズなところもあるが一度心を許すとエドガーは思いの外面倒見がいいのかもしれない。いいところもある男だ。とにかくヘンリーにそう言われたので私はエドガーが待っているであろう城門へ向かった。「あれ?バッカス?」だが城門で待っていたのはエドガーではなかった。何故かそこにはバッカスが立っていた。何故?「咲良。エドガーの代わりに迎えに来た。エドガーはギャンブルで手が離せないらしい」「…へぇ、そうなんだ。わざわざありがとう、バッカス」不思議そうにバッカスを見つめる私にバッカスが何故自分がここにいるのか無表情のまま説明してくれる。私は表面上では何とか笑顔でバッカスにお礼を言ったが心の中ではエドガーを非難していた。前言を撤回させて欲しい。エドガーはやっぱりクズだ。いいところなどない。*****バッカスと一日中薄暗い魔界の街を歩いて帰る。バッカスは食のこと以外無関心なので私もバッカスも特に何かを話すことなく、黙ったままだ。たまに私から話しかけてはみるが食以外の話題には「ああ」くらいしか返ってこないので私たちの会話はすぐに終わってしまっていた。だからと言って別に気まずくはない。バッカスはこういう性格だからね。『すでに力がある分、強い悪魔は契約に対して気まぐれだ』ふと先程魔王が私に言っていた言葉が頭をよぎる。私が人間界に帰る為には5兄弟全員と契約を結ばなければならない。バッカスは今私と契約をしてくれるのだろうか?「バッカス」「なんだ」「あの…私と契約してくれない?」私は早速バッカスの様子を伺いながらそうバッカスに聞いてみた。もちろん全く期待はしていない。本当に聞いただけだ。「いいぞ。代償は咲良のご飯だ」「だよね。いきなりすぎるよね…ん?いいの?」「ああ。咲良のご飯が食べられるのなら俺は構わない」嘘!本当に!?そんな簡単にしてくれるの!?驚く私をバッカスが無表情に見つめている。まさかの了承である。「えっと
last update최신 업데이트 : 2025-10-01
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19.ギャレットからの矢文

『他の兄弟とも契約するんだったら咲良はもっと悪魔と人間の契約について知っていた方がいいよ。悪魔を好きな時に好きな場所に召喚できるだけが契約じゃないんだよ?』数日前のミアとのショッピング中、あまりにも契約について何も知らない私にミアはそう少しだけ呆れたように言っていた。なので現在。いつもより早めにバイトを終えた私は初めてハワード家の書庫へやって来て契約について勉強をしていた。今この数時間で契約について知れたことは何をするにもあの厨二病呪文が必要だと言うことだ。つまり恥じらいがある今の私のままでは契約した悪魔たちに何もできないということだった。逆に呪文さえ言えてしまえば悪魔に対して何でもできるようになるらしい。だから人間は自分の願いを叶える為に強い悪魔とどんな代償でも支払って契約をしたがるそうだ。まあ、そうだろうな。私だったら何でも願いを叶えてくれるのならとりあえず巨乳にしてください、とか願っちゃうかなー。いや、人間界へ帰してください、か。契約について勉強をしながらもそんなことを思っていた時だった。カンッ!私の手の横ギリギリの机の上に矢が刺さったのは。「え」何事!?いきなりのことに驚いて私は矢がどこから飛んできたのか、周りを見渡して探す。だが、どこにも人の気配はない。何故、私は命を狙われたんだ?「…こっわ」身の危険を感じてさっさと小屋へ帰ろうとしたが、矢に紙が括り付けられていることに私は気がついた。え?これアニメとかでよく見るやつじゃない?矢文だよね?非常に物騒だが、私宛への手紙である可能性もある。そう判断した私は矢から丁寧に紙を取る。そして折り込まれた紙を広げてみると、『我が名はギャレット。貴殿に大事な用事がある。これを見次第直ちに我が部屋へ参られよ』とおそらく筆ペンで書かれたギャレットによる私を呼び出す文が書かれてあった。どういう伝え方。ギャレットのクセと個性しかない伝達方法に私は苦笑いを浮かべる。呼ばれたからには行くしかない。だが、問題が一つだけあった。ギャレットの部屋ってどこだ?*****目的地…ギャレットの部屋の場所がわからないままとりあえず書庫を出た私だったが廊下を少し歩いたところでそれは解決した。「え?ギャレットの部屋?3階にあるよ。左の奥から3番目の部屋」たまたま廊下で出会ったクラウス
last update최신 업데이트 : 2025-10-02
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20.チェキと契約の条件

「と、いう訳でどうかな?」ギャレットにミアのサイン付きチェキを頼まれた翌日。私は早速バイト中に暇を見つけて、昨日あった出来事をミアに話してみた。「えー。嫌かな」私の話を聞いた後、いつもと変わらない可愛らしい笑顔でミアが私の…いやギャレットの頼み事をバッサリと予想通り断る。やっぱり嫌だよね。ミアは本当に何故かチェキや写真を嫌がる。ガードがめちゃくちゃ固いのもよく知っている。そんなミアが私からのお願いだからといってすんなりとチェキを了承してくれる訳がないのだ。「そこを何とかお願いできないかな…」それでも無理を承知で天使なミアならもしかしたら…と淡い期待を込めてミアを見つめる。「んー。咲良は私が写真嫌いなの知っているよね?」「…うん」するとミアは先ほどと変わらないいつもの可愛らしい笑顔でだが、冷たい瞳で私に淡々とそう言った。怒っているようにしか見えず、私は思わず小さな声で返事をしてしまう。地雷だったかも。これ以上は無理だ。何よりミアの気分を害することを私自身したくない。私はミアのサイン付きチェキを今は諦めることにして、「無理言ってごめんね」と言い、仕事に戻ることにした。「諦めちゃうの?」「…え」「私は咲良の契約悪魔なんだよ?」立ち去ろうとした私の左手をミアが掴む。そしてミアは不思議そうに私を見つめてきた。「だから何?」ミアが何を言いたいのかわからず私は思わずミアに問う。「…」私の問いにミアの顔から一瞬だけ表情が抜けた。冷たい、どこかで見たことのある、絶対零度の表情。誰かを連想させる表情だが、その誰かが誰なのかどうしても思い出せない。「…私は咲良のものなのよ。咲良が望むように命令すればいいの」先ほどの冷たい表情が嘘かのようにミアはそう言ってまた可愛らしくにっこりと私に笑った。ああ、そういうことか。「違うよ。ミアは確かに私と契約してくれているけど私のものではないでしょ?」「…じゃあ私は咲良の何?」笑顔のままだが不安げに私をミアが見つめる。一体何が彼女にそんな顔をさせてしまっているのだろうか。「友だちだよ。そうでしょ?」私は不安げに私を見つめるミアが少しでも安心できるように優しく笑い、私の左手を掴んでいるミアの手に自身の右手を重ねた。ミアはそんな私を見て目を大きく見開いた。「…うん。友だち」そし
last update최신 업데이트 : 2025-10-03
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