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36.魔王と電話と状況説明

last update Dernière mise à jour: 2025-10-21 10:19:35

それから私たちは短い時間で幼いヘンリーが目覚めても大丈夫なようにいろいろと準備を進めた。

その中で私が任されたことは学院やヘンリーの職場へ欠席連絡を入れることだ。

学院に5兄弟全員と私の欠席連絡を終えた後、今度はヘンリーの職場である魔王城へ私は自分のスマホから直接電話をかけていた。

「…」

無機質な機械音が耳元で繰り返し鳴る。

『お電話ありがとうございます。魔王城でございます』

そして2コール程で魔王城の窓口と電話が繋がった。スマホ越しから物腰の柔らかい男性の声が聞こえる。

「ヘンリー・ハワードの家の者です。ヘンリーの体調が優れないので本日は欠席させます」

『かしこまりました。そのように伝えておきます。ご連絡ありがとうございま…っ!』

早速ヘンリーの欠席を伝え、ミッションコンプリートだと思ったのだが、スマホ越しの向こう側の電話対応されている方の様子がおかしい。

いや、心なしか彼の周りが非常に騒がしいような…。

スマホ越しなので詳細はわからないが。

『代われ!』

「…っ!?」

電話対応の彼の次の言葉を待っていると聞き覚えのある声が向こうから聞こえてきた。

…テオだ。

何故魔王城のトップがこんな電話対応の現場にいるんだ。

『…ま!魔王様!電話対応は私がしますので!どうぞ業務にお戻りください!』

『いや!今回は俺がする!お前は下がっていろ!』

『しかし!』

『…これは命令だ!』

『ゔぅ!』

現場が騒がしい理由がスマホ越しから聞こえてくる声によってよくわかってしまった。

声だけでも伝わるテオの鬼気迫る勢いとそれに負けじと健気に対抗する電話対応の方の攻防がよく聞こえてくる。

何でテオはそんなに電話に出たいんだか。

『咲良!』

テオと電話対応の方の攻防が終わるのを待っていると数秒後、テオの明るい声がスマホ越しから聞こえてきた。

どうやらテオがあの攻防を制したようだ。

スマホ越しのテオの様子からして何故かテオは電話の相手が私だとわかっているようだった。

謎しかない。

ほんの少ししか言葉を発していない電話の向こう側の人物を迷いなく私だと言い切れる根拠はどこにあるのか?

『…声聞けて嬉しい。ヘンリーのことはわかったからゆっくり休むように伝えて』

「うん。ありがとう、テオ」

先程の攻防の時とは全く違う甘えるような優しいテオの声が私の耳へ届く。

謎しかない展開だが、こちらも急いでいるの
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