* * *しばらく馬を疾走させていると、森林の景色がまるで世界が流れるかのように視界を滑り過ぎていき、ハドリーは森の小道に辿り着いた。その途端、青年の姿が透き通るように薄れていく。「主はこの奥におります。それでは」言葉の途切れる間もなく、青年は力の限界に達したのか、淡い光の粒子と共に消えた。風に舞う残光が、葉陰に吸い込まれていく。一人となったハドリーは騎乗したまま前進する。蹄の音だけが森の静寂を裂き、やがて、森の奥へ辿り着くと、前方に、もう一人の金髪の青年――フィオン本体らしき人物が立っていた。精霊と瓜二つだが、瞳の奥に疲労の色が宿っている。ハドリーは馬から降り、問いかけた。「お前が主のフィオン・ライトナーか?」「はい。ここまで来て頂き、ありがとうございます」フィオンは深くお辞儀をし、言葉を続ける。「シルヴィアはリリアとシルヴィアの継母に捕まり、農機具を収める古びた倉庫におります」フィオンが説明を終えたその時だった。異様な強い気配を感じたと同時に、遠くから低く唸る地響きで地面が強く揺れた。するとフィオンの体が傾き、ハドリーは咄嗟に腕を伸ばし、フィオンの肩を掴む。「大丈夫か?」「申し訳ありません、精霊を飛ばすのに力を使った為、立っているだけで精一杯だったのですが、揺れで足元が不安定に……それより、今の気配はまさか……」「ああ、魔形が出現したようだ」「殿下!」背後からリゼルの掛け声と蹄の音が響いた。ハドリー達が振り返ると、リゼルが馬を滑らせ止める。「リゼル、来たか」ハドリーが声をかけると同時にリゼルは馬から降り、ハドリーの馬と共に自身の馬を太い木にくくりつける。「フィオン、お前はここで馬を見ていろ」「いえ、僕もお供させて下さい。まだ動けます」「ならば、付いて来い」ハドリーはふたりを連れ、駆けて行く。するとリリアとシルヴィアの継母がこちらに逃げてきた。「フィオン! ハド
Terakhir Diperbarui : 2025-11-29 Baca selengkapnya