そして翌週もフィオンに薬を手渡し──、翌々週の今日もフィオンが薬を取りに邸宅を訪れた。けれど、フィオンは正装をしており、シルヴィアは驚く。「フィオン、あの……」「服を仕立てたんだ。どうだろうか?」「あ、とてもよく似合っていると思います」「そうか、ありがとう」シルヴィアがフィオンに薬の鞄を差し出すと、フィオンは受け取った。するとフィオンは代わりにリボンで結ばれた2輪の美しい黄色の花を手渡す。「わ、綺麗……」シルヴィアが感嘆の声を上げると、フィオンに引き寄せられる。「……? フィオン……?」「この花はお慕いしている気持ちだから」フィオンは耳元で告げると、シルヴィアを放し、優しく微笑む。「それでは」フィオンは玄関の扉を開け、邸宅を後にする。シルヴィアはただ呆然と立ち尽くした。* * *その夜、ハドリーはふと書斎の席から窓の外を見る。「月、か」シルヴィアは自分が禁じてから月は見ていないようだが、今日はなんだか様子がおかしかった。(それに、薬を渡す日だけ、どこか嬉しそうな…………)ハドリーは一瞬、むしゃくしゃする。いや、だからどうしたというのだ。全ての書類に早く目を通さねば。「殿下」ハドリーは書斎の席で名前を呼ばれ、ハッとする。「なんだ、ベルか」「なんだとはなんですか? 最近、上の空ですね」「いや、そんなことはない。それで何の用だ?」「シルヴィア様についてお伝えに参りました。今回もフィオン殿が薬を受け取りに訪れましたが、それはそれは良い雰囲気で。フィオン殿は毎回、シルヴィア様にお礼の黄色の花をお渡しになられているようです」「黄色の花、だと?」ガタンッ、とハドリーは机に両手を突き、席から立ち上がる。初日の雑務で、シルヴィアが黄色の
Last Updated : 2026-01-04 Read more