All Chapters of ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮: Chapter 21 - Chapter 30

35 Chapters

日記20 教科書の謎⑦

俺たちは、茉莉花と千紘ちゃんこと蒼井さんと合流し、テーブルを挟んで男女三人ずつ、向かい合って座っていた。 ……とはいえ、肝心の当人たち。日向くんと蒼井さんは、そろってうつむいたまま、ぴくりとも動かない。 「楓、教科書のこと聞きたいんじゃないのか? なんで黙ってんだよ」 しびれを切らした真司が、小声で日向くんに声をかけた。 「いや、まさかこんな急に目の前に本人が現れるなんて思ってなくて……。心の準備が……っス……」 ……さっきまでの、あの体育会系・元気系のノリはどこへやら。今は見事にうじうじモードだ。 「はぁ~もう、らちがあかない! ねぇ君、千紘ちゃんに聞きたいことがあるなら、シャキッとしなさいよ!」 ついに堪忍袋の緒が切れた茉莉花が、バンッと両手をテーブルに置いて、ズイッと日向くんに詰め寄る。 「は、はいっス!」 慌てて背筋を伸ばす日向くん。ビビりすぎて少しのけぞってた。 それでも、呼吸を整え、覚悟を決めたように口を開いた。 「千紘……お前が、教科書貸してくれたのか?」 その問いに、蒼井さんは一瞬ピクリと反応し、うつむいたまま小さく頷いた。 「うん……」 「そっか。ありがとな。でも、なんであんな回りくどいやり方を?」 その問いには、沈黙。 だけど今度は、茉莉花がやさしい声で背中を押した。 「千紘ちゃん、さっき話してくれたこと。ここでもう、言っちゃおっか? 逃げたら、またきっと後悔するよ? ……ある意味、今がチャンスなんじゃない?」
last updateLast Updated : 2025-11-08
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日記21 教科書の謎(解決)

告白の瞬間、ファミレスのざわめきが、すうっと遠ざかった気がした。 まるで俺たちの周りだけ、世界がスローモーションになったみたいに。 蒼井さんが、少し震える声で伝えた想い。 それに対する日向くんの返事は、あまりにもあっさりしていて、拍子抜けするほどだった。 「ありがとう、すっげー嬉しい。――こっちこそ、よろしくお願いします」 「おいおい、それだけかよ!? もっとこう……ガッツポーズとかガッツリ照れるとか、そういうの期待してたんだけど?」 真司が呆れ顔でツッコミを入れる。 けれど、日向くんはちょっとだけ笑って、それから蒼井さんの方を向いた。 「……いや。気が小さくて、恥ずかしがり屋の千紘が、こんな人の多い場所で……こんなに真剣に気持ちを伝えてくれたんすよ? だから俺も、変にはしゃいだりせずに――ちゃんと、心で受け止めて返したかっただけっす」 その言葉を聞いた瞬間、蒼井さんの顔が、耳まで真っ赤に染まった。 恥ずかしそうにうつむいたまま、小さく、でもはっきりと言う。 「……これから、よろしくお願いします」 「おう! よろしく!」 日向くんが返したその笑顔は、まっすぐで、どこか頼もしくて。 ついさっきまでソファに沈んでうじうじしてた彼とは、まるで別人だった。 「よーしっ! それなら今日はお祝いだね!」 茉莉花がメニューを二人の前にドンッと差し出す。 「お姉さんたちが奮発しちゃうよ〜! 遠慮しないで、なんでも頼みなさい!」 「いいねいいねっ! ポテトもピザもいっとこう!」 エリカまでテンションマックスで乗っかってくる。 俺と真司も笑いながら頷いて、自然とその輪の中に加わっ
last updateLast Updated : 2025-11-09
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日記22 両想いなのに進めない

「ちがーう! 直央くんもでしょっ!」「え?」「直央くんが気づいたから、動いたから! 私たち二人で『ひらめき探偵』なんだよ?」 その言葉に、思わず俺は笑ってしまった。「俺も、ひらめき探偵の一員なんだ?」「もちろん!」 エリカは力強くうなずいたあと、ふと表情をやわらげて、俺のすぐ目の前に立つ。あと一歩で抱きしめられてしまいそうな距離に。「え、ちょっ……近っ」 慌てて後ずさろうとした瞬間、エリカが俺の手をそっと握って、逃げ道をふさぐ。「ねぇ、直央くん。……幼なじみ同士で、想いが通じて、付き合うことになったのを見て、どう思った?」 その瞳は、いつもの無邪気さとは違っていて。夕焼けの光が反射して、少しだけ綺麗で、大人びて見えた。 その問いに、俺は喉元まで上がってきた答えを、どうしても声にできなかった。「……べつに。よかったんじゃないか、ってくらい」 本当は、そんなふうにごまかしたくなんてなかった。 しぼり出すように返すと、エリカは俺の目をじっと見たまま、ふっと寂しそうに微笑んだ。「そっか……」 俺の手を握っていた指先が、力を失うように離れていった。 しばらく、彼女は顔を伏せていたが、急に俺の腕にふわっと抱きついてきた。 鼓動が跳ね上がる。逃げたくなる。でも、逃げられない。 エリカが肩に頭を預けながら、囁くように言った。「私はね……いいな。羨ましいな、って思った」 その一言が、胸の奥に痛く響いた。「でも……やっぱ、ダメなんだよね。ちゃんと記憶がリセットしないようにして、明日へ行けるようにならないと」 エリカのその言葉に、俺の中の熱が少しずつ、理性に変わっていく。 俺は、エリカが好きだ。きっと、エリカも……そう。 でも、今はまだ、それを口にするべきじゃない。俺とエリカが正しく、過去と未来をつなぐ、明日を
last updateLast Updated : 2025-11-11
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日記23 水族館デートの朝

 朝の光が差し込む部屋で、今日もエリカは日記を読んでいた。 ページをめくる音だけが部屋に響く。 一通り読み終えると、机の上に置かれた『人物図鑑』と書かれているファイルに手を伸ばそうとした。「エリカ。今日は日曜日だよ。それにこれから水族館に行くんだから、そのファイルは見なくていいと思う」 俺がそう言うと、エリカは小さく瞬きをしてから、手を止める。「え、でも……」 エリカは不安げに呟く。 人物図鑑――それは彼女が自分と関わる人についてまとめたものだ。 記憶がリセットされるようになってから、出会った人は彼女にとって、はじめましての人となる。 元々親交のあった人物でも、容姿などが変わってしまえば、人物の判別がつかなくなってしまう。 だからこそ、彼女が人との繋がりを保つためにはそれが何よりも大事なものとなるのだが。「大丈夫。俺がちゃんと側にいてフォローするから」 毎日、それを確認するというのは並大抵のことではない。 せっかく遊びに出るんだ。その負担が少しでも少ないほうがいいと思い、そう伝えると、エリカはぱっと顔を明るくした。「そうだよね、今日は休日だし誰かにそうそう会うこともないよね!」 その笑顔は、まるで太陽に照らされたひまわりみたいで――いや、それ以上に眩しかった。  ※※※ 準備を終えた僕たちは、並んでバス停へ向かっていた。 エリカは自然と僕の手を取って、そのまま車道側を歩き出す。 ――……っと。 僕はそっと手を引いて、エリカと位置を入れ替えた。 そして、もう一度つなぎ直す。「えへへ……」 たったそれだけのことで、エリカははにかむように微笑んだ。 今日のエリカは、ひときわ目を引く服装だった。 白のノースリーブブラウスに、淡い水色のプリーツスカート。 ブラウスの襟元には小さなレースの縁取りがあって、光を受けるたびにほんのりと透ける布地が、真夏の空気をふわ
last updateLast Updated : 2025-11-12
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日記24  幕間『エリカの人物図鑑』

 かつて、エリカが人と世界との繋がりを保つために使用したアイテムの一つ、人物図鑑。 それを一部抜粋し、ここに記載する。 最も、エリカほどの頭脳がなければ、有効活用することは困難なのは承知しているが。 少しでも参考になることを願う。《エリカの人物図鑑ファイル No.055-A》■名前:日向 楓(ひゅうが かえで)学年:高校一年生年齢:16歳①外見チェック短めの茶髪。前髪は軽く分け目ありで、自然に流してる(セット感なし=素朴系) 明るめの茶色い瞳。ぱっと目が合うと、つられて笑いたくなる雰囲気◎ 肌は日焼け気味。スポーツ男子っぽく、表情は常に輝いている(太陽感!) 身長は真司より5〜6cm下くらい、直央くんと一緒くらい(たぶん175前後) ジャージは腰パンはせずきちんとはいている(真面目でよろしい)全体的に“犬っぽい”!(以上!)②観察ポイント姿勢:背筋は伸びていて、肩もしっかり張っていた。さすが運動部!時々、右手で、右の頬を触る癖あり(特に聞き役になっているとよく出る!)利き手は右(箸使用右、コップ掴む時も右)ソファに座ると沈む=柔らかいとこ好き?(無意味観察)③話し方ログ語尾は「〜っす」「〜っすかねぇ?」など体育会系やや下っ端ノリとにかく素直!思ったことはすぐ口に出すが、相手を気遣う余白もある真司とはノリが合ってるけど、内面は真逆っぽい。日向くん=繊細派!女の子との会話は千紘ちゃんで慣れてる?私と茉莉花ちゃんとも、しっかり目をみて話せてた!④その他メモソファで沈んでたのに、想いを受け止めた瞬間、びっくりするほど凛々しくなったエリカ的分類:犬系年下彼氏キャラ!(けってーい!)先輩の前だから?手は膝の上についてピシっとしてることが多かった(面接か!)歩く時は、肩を揺するような
last updateLast Updated : 2025-11-13
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日記25 水族館の謎①

 午前中の早い時間。まだ観光客の波が押し寄せる前の水族館には、ほどよい静けさが漂っていた。 海沿いに佇むその施設は、ガラス張りの大きなエントランスが特徴的で、俺たちはそこを通って館内へと入る。 ひんやりとした空気が肌を包み、少し薄暗い照明と混ざって、まるで海の底へと足を踏み入れるような感覚になる。 天井から差し込む自然光と、水槽のライトが交じり合って、通路全体がやわらかな青と白の光に包まれていた。 水槽の中では、銀色の魚たちがゆったりと群れを成して泳いでいる。 水のゆらぎが反射して、床や壁に光の波紋が揺れる。「わあ……昼間でも、なんだか静かで落ち着くね……」 隣で、エリカが目を輝かせながらぽつりとつぶやく。「人が少ない時間に来て正解だったかもな」 俺も声をひそめて返す。 周囲の空気が自然と、言葉まで優しくさせてくる。そんな場所だった。 クラゲの展示エリアに足を踏み入れると、ふわりと広がる白や淡いピンクの光。 クラゲたちは水中をふわふわと漂っていて、その姿はまるで宇宙の中を遊泳しているかのようだった。 その前で並んで立ち尽くす僕たちを、水槽越しの光がふんわりと照らしていた。「……ねぇ、クラゲってさ。ずっと海の中で浮かんでるだけなのに、なんでこんなにきれいなんだろうね」 エリカの声は、問いというよりも、詩のようにさらりと流れた。「うーん……無駄なことをしてないから、とか?」「え~、なにそれ。直央くん詩人みた~い」 ある程度見てまわったあと、ふいにアナウンスが流れた。『まもなく、イルカショーが始まります――』「直央くん!イルカショーだってよ!急がないと始まっちゃうよ!」 エリカがぱっと目を輝かせたかと思うと、俺の手をぎゅっと引っ張って駆け出す。「お、おい……!」 けれど、そんな僕の声なんてお構いなし。彼女は華奢な体で意外なスピードを見せながら進む。イルカ
last updateLast Updated : 2025-11-15
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日記26 水族館の謎②

 イルカショーを見終わったあと、人の波が落ち着くのを待って、俺とエリカはショーの会場から離れようと移動し始める。「うーん、やっぱり調子が悪いのかしらね?」 一階席の通路を通っているとき、イルカショーのプールサイドで二人の女性が話しており、なにやら困ったような声が聞こえて視線を向ける。「あれ? 直央とエリカ?」「円さん?」「やっぱりそうだ! 久しぶり!」 その内の一人が、こちらに気付き声をかけてきた。 ラッシュガードに身を包んだ、茶髪のショートカットの女性――北川円(きたがわまどか)さんは、今年から地元の大学に通う二つ年上の現役女子大生だ。 彼女が高校生の頃から、アンサンブルに通っているのもあり、俺とエリカとは昔馴染みだ。 去年までは、黒髪のストレートヘアだった容姿は今では垢抜けて明るい茶髪のショートカットに緩くパーマをかけている。「春休み以来かしら?」「はい、新生活は忙しいですか?」「そうなのよ~色々付き合いもあるし、今度ゆっくり紅茶でも飲みたいわ」 軽く挨拶を交わして、近況報告を聞いていると、エリカが服の裾を軽く引っ張り、小声で問いかけてくる。「ねぇ直央くん……あの円ちゃんなんだよね?」 そうだった…… 今日は、人物図鑑を読んでいないエリカは、去年の三月以降、見た目の容姿が変わっている目の前の彼女を、自分の知っている円さんだと確証が得られていないのだ。「そうだ、俺たちがよく知る円さんだ」 俺もエリカにだけ聞こえるように小声で答えると、円さんが手を口に当てて目尻を下げる。「二人は今日デート? 邪魔しちゃったわね~」「あ、いや……」 顔が熱くなり、思わずうつむく。 横目でエリカを見ると、彼女も同じようにしていた。 少し間が空いてから、エリカが誤魔化すように口を開く。「そ、それより! 円ちゃん何か困ってるような気がしたけど?」「……
last updateLast Updated : 2025-11-16
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日記27 水族館の謎③

「具体的にはどんな風に様子がおかしいんですか?」 俺が問いかけると、藤田さんはプールの水面に映る照明の光を見つめながら、少し眉を寄せた。 「ショーでは本来、最後にジャンプしてボールをタッチする演目があるんだけど……ここ数日、ジャンプを拒否したり、高さが合わずにボールに届かないことが増えていて」 「ジャンプをしない?」 「正確には、しようとはするのよ。助走もつけるし、水面に向かう動きもする。でも直前でやめるの。まるで踏ん切りがつかないみたいに」 藤田さんは両手を重ねて胸の前で小さく動かした。跳ぶ寸前で止まるイルカの仕草が目に浮かぶ。 「ちゃんとボールに向かってくれる子もいるのだけど、いつもの位置から微妙にズレてしまうの。中には普段と変わらない子もいるから本当によくわからないの。 体調はいいし。水質も問題なし。餌も食べるし、泳ぎもスムーズ。泳ぎ方にも変化がないのに、ジャンプのときになると様子がおかしくなるの」 円さんがそこで話を引き継ぐ。 「本当に不思議なんだよね。さっきのショーでもそうだったけど、ジャンプだけじゃなくて、最近は“バブルリング”も作ってくれなくて……」 「バブルリング?」 思わず聞き返す。横でエリカも、同じく首を傾げた。 藤田さんが「あら、知らなかった?」と笑みを浮かべ、プールに視線を向ける。 「バブルリングってね、イルカが水中で口から空気を出して、渦の力で“輪っかの泡”を作る遊びなの。あれは訓練じゃなくて、彼らがリラックスしている時に自分からやる“ハッピーサイン”なのよ」 「イルカの、ハッピーサイン……」 俺は思わず水面を見つめた。
last updateLast Updated : 2025-11-18
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日記28 水族館の謎④

「その異変って、いつ頃からなんですか?」 問題の解決に向けて、さっそく藤田さんに問いかけると、彼女は少し考え込む。 「……一週間くらい前からかな。最初はたまたまかと思ってたんだけど、三日続いて“これは変だ”って」 「その時、何か変えたものはありますか? 餌とか訓練とか」 「餌も訓練も変えてない。水質も安定してるし、体調もいいの」 と、そこで藤田さんは思い出したように言った。 「あ、あの時期に照明を LED に替えたくらいかな。省エネのやつに」 「LED……?」 エリカが一瞬だけ反応する。 藤田さんは「ああ、そうそう」と軽く手を叩いた。 「前の照明はハロゲン型で熱がすごくてね。水温が上がりやすいのと、交換のたびに脚立に乗って危なかったの」 「へぇ……」 「LEDは省エネだし、熱がほとんど出ないの。長持ちするから交換も減るし、色温度も調整できるから写真が綺麗に撮れるってお客さんにも好評だったのよ。 SNSで拡散してもらえると集客にもつながるしね。今回変えたのは、お客さんの目に入る箇所だけだけど、いずれ全館のライトを変更する予定みたいよ」 確かに、イルカのショーは遅い時間にすることあるし、この屋外ショーのプールは館内の観覧エリアとも繋がっている。 館内は暗いため、その水槽内が明るければ写真の写りがよくなるというのも頷ける。 「プールの近くで、周りを確認させてもらえませんか? プールの環境が影響しているかもしれないので」 俺が告げると、藤田さんは少し驚いたように目を瞬いた。
last updateLast Updated : 2025-11-19
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日記29 水族館の謎⑤

「……別のプールも見たいな。練習用とか、他にもありますよね?」「あるわよ。奥に二つ練習用のがね」 藤田さんと円さんに案内され、ショーの行われていたプールよりもさらに奥へと進み、訓練用のプールへと向かう。 そこで、藤田さんが口を開く。 「この二つと、メインのプールは繋がっていて、水質とかの環境は一緒なの。だけど、ここではいつも通りにジャンプできるし、バブルリングを作る子もいるのだけど、そういった子も、メインのプールだと急にできない、しなくなったりするの」「ここではできるのに、メインではしない?」 それなら、イルカ自身に問題があるわけではなく、環境に問題があるのでは? いや、だけどこの練習用のプールとメインのプールは繋がっていて水質などの環境は一緒なはず。パッと見た感じも、おかしな点は何も見当たらない。さっきのメインプールが小さくなったものが二つ並んでいるようにしか見えない。なのにどう言うことだ? 「ここは──」 俺が、頭を悩ませていると、エリカが水面を覗いて、目を見開いたかと思うと、バッと顔あげて叫んだ。「ひらめいた! イルカさんたちの様子がおかしかった原因はLEDライトだよ!」「えっ……LEDライト!?」 藤田さんと円さんが驚き、意味がわからないといった様子で立ちすくむ。「エリカ、どうしてLEDライトが原因なんだ?」「イルカさんたちは眩しかったんだよ。ほら水面を見て!」 エリカは水面近くにしゃがみこみ、真剣な表情で水の上に手のひらをかざした。 俺も横に並んで水面を見る。 「……眩しくない。さっきと、水面の見え方が全然違う」 訓練用プールの水面は、穏やかに揺れながら深い青色を保っていた。 光は柔らかく、天井のライトもはっきり映らない。 俺は練習用の天井とメインのプールをそれぞれ見上げる。「……なるほどそう言うことか」「うん、さっすが直央くん!」 俺がそう呟くと、エリカは
last updateLast Updated : 2025-11-20
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