Semua Bab ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮: Bab 1 - Bab 10

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日記00:プロローグ

「高校でも直央くんと一緒でよかったわね、エリカ」 海風が窓から入り込む。助手席に座る私――海堂(かいどう)エリカは、うなずきながら笑顔をこぼした。 大好きな幼馴染みの男の子と、高校も同じ学校に通えることに胸を踊らせていた。 「うん! しかも大学も一緒に行こうって、ふたりで決めたんだ」 「ふふっ、気が早いわね。でも、そういうの……いいと思うわ」 ママが目を細めて笑う。ハンドルを持つ手が、優しく揺れていた。 金髪に青い瞳。肩までのウェーブヘアに、澄んだ白い肌。春の陽射しによく映える青いカーディガンと白シャツ。黒のスキニーパンツがその足の長さを際立たせている。 私も一応金髪と青い目だけど、肌はパパに似てママほど白くはない、スタイルも……うん、まだまだ。けど、それが逆に「私だけの形」って気もして、ちょっとだけ誇らしい。 「ねぇ、エリカ」 ふいに、ママが真面目な声で聞いてきた。 「なに?」 「直央くんとは、どうなの? なにか進展は?」 「な、なにそれ……!」 心臓がドクンと跳ねた。顔が熱くなるのがわかる。 「ま、まだ……何もないっていうか……!」 「やれやれ。あなた、美人なんだから積極的にならなきゃ。直央くんだって優しくて、可愛い顔してるし、女の子から人気あるんじゃない?」 「そ、そんなことないよ……!」 本当は、わかってる。優しくて、いざという時には頼りになって。そして、誰よりまっすぐで。 まるで……王子様みたい、なんて。思ってても絶対に言えない。 ママがくすっと笑った。 「実はね、ちょっと前に耳にしたの。“直央くんのこと、好きだった”っていう子……何人かいたらしいわよ?」 「……えっ? うそ、だれ? ホントに誰……っ!」 急に焦ってる自分がちょっとおかしくて、だけどどこか、嬉しくもあった。 こうして、ママと恋の話ができて。同じ高校に、直央くんと通えて。 今が、夢みたいに幸せで。 ふと、前方の道がカーブを描いた。 ……静かだった。波の音と、タイヤがアスファルトを滑る音だけ。 その先で、何かが見えた。 前方の対向車線。大型トラックが、中央線を越えそうなほどに寄ってくる――ハンドルが逸れた? 違う、まっすぐこっちに――! 「え……?」 異常に気づいた直後、マ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-09
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日記01:少女と日記

 神は人に等しく与えると言う者がいる。 一方で、そんなものは存在しないと断じる者もいる。 俺は後者を否定しない。ただ、それでもなお前者の考えに寄り添いたい。 才能を持つがゆえに孤独に沈む者。才能がなくとも、人の温もりに囲まれて笑う者。 その差異はあれど、世界は不思議と帳尻が合うようにできている気がする。 そしてそれは、思春期の俺たちにも、例外なく訪れる真理だ。 だからこそ俺は、彼女を側で支えていかなくてはならない。 俺――雨宮直央(あまみやなお)――の一日は同じ屋根の下で暮らす――幼なじみの海堂(かいどう)エリカを起こすことから始まる。 彼女の部屋のドア前で、一度目を閉じてから静かに息を吐く。 新しい朝を受け入れる準備を整えてから、ドアを開け、一歩中へと足を踏み入れる。 ベッドの上では、エリカが安らかな寝息を立てていた。 カーテンの隙間から差し込む朝の光が、金色の髪を淡く照らし出す。 その姿は幻想的で、この世のものとは思えないほどの美しさを放っていた。 一緒に暮らして、もう一年以上。 それなのに、この光景を見るたび、初めて心を奪われた日のように胸が熱くなる。 「エリカ、起きろ。学校、遅れるぞ」 「ん……直央くん? おはよ~……」 ぼさぼさの髪のまま、眠たげな青い目をこすりながらエリカが顔を上げる。 「おはよう。……エリカ、日記、読んでみろ」 「日記? うーん……わかったぁ~」 エリカは、小さく首をかしげながらも、机の上のノートに手を伸ばした。 ……彼女にとって、“自分が自分である”ための確認作業。 彼女は、最初のページを開いたあと、一瞬だけ、顔色を変えた。その後、しばらく無言で読み込んだ。 少しだけ身体を震えさせ、今日という新しい現実を受け入れ、素早くページをめくり始め日記の内容を確認していく。 ひととおり読み終えると、顔を上げ、にっこりと微笑んだ。 「今日やることは、わかったか?」 「うん! ばっちり! ありがと、直央くん!」 エリカは満面の笑みを浮かべてそう言った。 彼女は毎朝、まず日記を読んでその日の予定を確認する――そんな習慣を自分に課している。 ……それを、俺がそっと教えるのが日課になっていた。 「なら、準備したら一緒に学校へ行くぞ」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-09
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日記02:事件の前触れ

窓の外では、梅雨の名残を思わせる灰色の雲がまだところどころに浮かんでいた。けれど、雨上がりの湿った空気は少しずつ澄んで、校庭のアジサイが夕陽を受けて色濃く輝いている。 扇風機の回る音と、湿気を含んだ風に混じるインクの匂い。六月の教室はどこか蒸し暑く、それでいて一日の終わりを告げる気だるさに包まれていた。 「うへーようやく終わったな……疲れた~」 最後の授業が終わったと同時に、後ろの席に座る男子生徒が声をかけてきた。 三条真司。 俺とエリカの幼馴染その一。短く刈り込んだ黒髪は少し跳ねていて、シャツの袖からは日焼けした腕がのぞいている。絞られた体つきといい、無駄のない立ち姿といい、部活男子の鏡のような印象だ。 真司は二年生ながらサッカー部のエースで、今は夏の大会に向けて気合い十分らしい。 「なーに言ってのあんたは、ずーと寝てたじゃない」 今度は、その真司の隣の席から声が飛んでくる。 伊吹茉莉花。 幼馴染みその二。くっきりした二重に、まっすぐな黒目が印象的な、こちらも女子バスケ部のエースだ。 艶のある黒髪は高めのポニーテールにまとめられていて、スポーツ中でも乱れないのは、性格が出ているというかなんというか。 健康的な小麦色の肌。その横顔には、どこか雑誌のスポーツブランド特集に出てきそうな雰囲気すらある―― ……黙ってさえいれば。 「いや、寝てたのは真司だけじゃないだろ?」 「そうだぜ、よだれ垂らしてよ~。俺より気持ちよく寝てたじゃねーかよ」 真司の言葉に茉莉花は顔を赤くして、バッと腕で口元を隠す。 「え! うそ!」 「うっそだよーん!」 「死ね!」 「ぐほぉ」 真司のデリカシーのない冗談に、茉莉花の鉄拳制裁が飛ぶ。 「エリカ~バカ真司がいじめる~」 明らかな棒読みで、前の席に座るエリカに抱きつきに行く。 イギリス人と日本人のハーフであるエリカは、肩に少しかかる程の金髪を整え、頭には印象的な青い蝶の髪飾りをつけている。 寝起きとは違い、しっかりと開かれたサファイアのような瞳は見るものの目を奪う。 「よーしよし、茉莉花ちゃんかわいそうに脳ミソ筋肉な真司なんてほっとこう」 「だーれが脳ミソ筋肉だ!!」 相変わらず騒がしいが、とても心地よいと感じる俺も大概だなと、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-09
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日記03:はじまりの事件①

「相沢! 漫研の部長さんが来てるよ!」 教室の後ろの方から聞こえてきた。 そちらを見ると、入り口付近の女子生徒が相沢を呼んでいた。 教室のすぐ外に、メガネをかけた上級生の男子生徒が教室の中を伺っていた。 「三ツ屋先輩が? わかった」 先程まで上機嫌に話をしていた相沢だが、先輩の急な訪問に少しだけ緊張したのか、急いで廊下へと出ていった。 話の中心にいた相沢がいなくなったことで、工藤は教室の真ん中辺り、倉本は窓側一番後ろのそれぞれの席へと戻っていった。 そしてちょうどそのタイミングで―― 「お喋りはそこまでだ、ホームルーム始めるぞ」 担任の榊原 一誠(さかきばらいっせい)先生が、冊子だろうか、なにやら両手に抱えて教室の中へと入ってきた。 身長180センチ超えのがっしり体型に、猫背気味の姿勢。無精ひげにゆるんだネクタイ、そしてシャツの袖は例によって適当にまくり上げられている。 見た目は完全に“やる気のないサラリーマン”だが、ちゃんと教員免許を持ってるというのだから驚きだ。 「茉莉花、そろそろエリカから離れて自分の席につくんだ」 未だにエリカにくっついている茉莉花に視線を向けてから、そう言って促す。 「へーい」 やや不満げな様子で茉莉花は自分の席へと戻ったのを見届ける。 「相沢! 中入ってこい! 三ツ屋もホームルームまだだろ? 自分のクラスへ戻れ!」 そのタイミングで、榊原先生の声が聞こえてきて、そちらに振り返る。 「よいせっと」 廊下にいる相沢に声をかけ直した後、榊原先生は冊子の束を重たそうにしながら持ち直し、教卓へと運び出していた。 あわてて帰ってきた相沢が自身の席へついたが、机の下や中を覗き込んだかと思うと、鞄の中を焦った様子で確認していた。 榊原先生は教卓の横に冊子の束をどさりと置き、ネクタイを緩めながら話し始めた。 「よーし、んじゃこいつを配っとくぞ」 束を軽く叩きながら言う榊原先生の声に、相沢はしぶしぶと身体を起こして、座り直したように見えた。 「新しく刷り上がった学校案内パンフレットだ。来月、中学生向けの学校説明会で使うやつなんだが、在校生にも配ることになった。……まあ、保護者に見せろってやつだな」 「えー、“いっちー“それ要るの?」 エリカが不満を言
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-09
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日記04:はじまりの事件②

「え?なに?」 「どうした?」 相沢の声に一度は静まりかえった教室に、今度は緊張と困惑の混じった声が広がる。 「相沢くん急にどうしたんだろう? さっきのあれがなくなったのかな?」 同じように、困惑した様子のエリカが不安げに問いかけてきた。 「ああ、そうみたいだな……」 やがて、帰り支度を終えた工藤と倉本が鞄を肩にかけて、相沢の席へと向かっていった。 俺たちは状況が飲み込めず、とりあえず自分達の席から様子を伺うことにした。 「さっきまでここに置いてたファイルがなくなってるんだよ!」 やはり先程まで三人で話していた、作者の直筆サインが書かれた、アニメキャラクターのクリアファイルがなくなったようだった。 「なあ、それ下に落ちてるとかじゃないのか?」 「それか机の中とか?」 工藤と倉本が、それぞれ相沢に声をかける。 「下にも、机の中にもねーんだよ!」 相沢の憤りが抑えられないその声に、教室中の注目がより集まる。 相沢のすぐ近くの座っていた女子生徒は、完全にその場を離れるタイミングを逃したようで、肩を寄せて鞄をギュッと握り、成り行きを見ていた。 やがて、相沢はギュッと両手を握り、何度か口を結んでは開きを繰り返した後、ギリギリ俺たちのところに聞こえるかぐらいの声で呟いた。 「……こんなこと言いたくねぇけど。鞄の中見せてくれよ」 「僕たち二人のこと疑ってるのか!?」 「いやいや、俺たちが戻るのほぼ同時だったし、俺も朔真もお前の盗ったりしてねーよ!」 相沢からの犯人扱いに二人は声を大きく、その不満を隠せずにいた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-14
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日記05:はじまりの事件③

「隼人落ち着けって、俺と朔真が席から離れた時は確かにファイルは机の上にあったぜ」 「そ、そうだよ。僕がファイルを盗ってたら、 健太くんにも周りにも絶対気づかれてるって」 三人に近づくと、工藤が倉本の無実を主張し、倉本も、自分にファイルを盗ることは難しいことを伝えていた。 「まあ……そうかもれないけど……だったらなんで鞄の中に入ってたんだよ」 相沢も二人が言うとおり、人目のある教室でそんなことが出来ないのは分かっているんだろう。 先ほどまでの威勢はなく、困惑している様子だった。 「それは……僕にも分からないよ」 倉本も、なぜ鞄の中にファイルが入っていたのか本当に分からないっと様子で、嘘をついているようには見えなかった。 「ねぇ、相沢くんが離れた後、二人が席へ戻る直前まではファイルは机の上にあったんだよね?」 急に声をかけてきたエリカに三人は振り返り、少しだけ戸惑いつつ、三人の中ではまだ冷静な工藤が口を開いた。 「海藤さん、雨宮も……ああ、そうだよ。隼人が先輩に呼ばれて、慌ててファイルを机の上に置いてから廊下に出た後、俺と朔真は自分の席へ戻った。 その戻る直前までは、ファイルはちゃんと机の上にあったぜ、なあ朔真?」 「う、うん。それに僕がもしその場で盗ったとしても、僕の席は隼人くんの席の対角線の端同士で、鞄も机に置いてたから、そこまで隠し通して運べないよ」 二人の主張は最もだ。 念のため、すぐそばの席。その場から離れるタイミングを失ってしまい、不安そうにこちらの様子を座って伺っている女子生徒にも話を聞いてみることにした。 「川口さんは相沢が廊下にでた後のこと見てた?」 急に声をかけられた彼女は、少しだけ驚いた様子を見せたが、すぐに質問に答えてくれた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-15
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日記06 はじまりの事件④

「はぁ?」 三人が同時に声を出した。 突然、榊原先生が犯人だと言われてもなんのことだとなるのは当然だ。 「エリカ、なぜそう思ったのか教えてくれないか?」 「うん、任せて! 倉本くん、ちょっとそのパンフレット貸してくれる?」 エリカは、倉本の鞄を指差して言った。 「パンフレット? う、うん、いいけど」 眉を潜めつつも、倉本は鞄からパンフレットを取り出してエリカに渡す。 彼女はそれを受け取ると、「やっぱりね!」と呟いてから、俺の方にそれを差し出してきた。 「はい、これが事件の鍵だよ!」 訳が分からないまま手渡されたそれを確認すると、あることに気がついた。 そして、ゆっくりと教室を見渡してから確信した。 「なるほど……確かに榊原先生が今回のことを引き起こしたと言えるな」 「ど、どういうことだよ雨宮」 相沢が目を細めながら問いかけてくる。 「今回のことはたまたま、偶然の出来事とタイミングが噛み合って引き起こされたんだ」 「そう! 結果的にいっちーが原因ではあるのだけど、誰もファイルに触れることなく自然に倉本くんの鞄の中に入っちゃったんだよ」 俺たちの言葉に、三人は見つめあってから戸惑いの声を漏らす。 「ファイルが勝手に移動したっていうのかよ」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-16
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日記07:はじまりの事件(解決)

 それに三人は合点がついたという表情になった。  だが、ずくに朔真は顔を険しくさせた。 「そこまでは分かったけど、そこからどうして僕の鞄に?」 その問いかけにエリカは確認するように返す。 「いっちーはどうやってパンフレットを配ったか覚えてる?」 「どうって普通に一番前の席にまとめて何冊か置いて後ろに回してたよな?」 工藤の言葉に二人は頷いた。 「順番はどうだ? 一番上はどこから配っていった?」 俺の言葉を聞いて倉本がハッとした表情になる。 「そうか! 廊下側の席から順番に配っていったら、窓際の一番後の席の僕は、パンフレットの一番下の物を配られることなる!」 倉本の言葉を聞き、エリカはうんうんと頷く。 「そう! それでパンフレットの一番下にくっついていたファイルに気付かず、そのまま鞄の中にいれてしまったってことだよ!」 「これは、教頭が帯を外す。相沢が先輩に呼ばれて、焦ってファイルを机の上に置いてその場を離れる。三人がファイルから目を離したタイミングで、榊原先生がファイルを無意識に移動させてしまう」 俺が、状況順番に整理し伝え終わると、最後にエリカが告げる。 「そして、ファイルを引っ付けたままのパンフレットが倉本くんところに配られてしまったの! これが、この謎の真相だよ!」 三人は告げられた真実を噛み締めるようした後、相沢がギュッと目をつぶりながら、二人に向かって勢いよく深々と頭を下げる。 「二人ともすまなかった! 特に朔真……疑って本当に悪かった」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-17
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日記08:決意

家に着いてから、俺たち二人は、母さんが家の一階で営む喫茶店「アンサンブル」で、飲み物を飲みながら過ごしていた。 俺の対面に座るエリカは、いつもなら明るく元気で、テンションが高い。だが今は、まるで世界の音がすべて遠ざかったみたいに、黙ってグラスに入った氷をストローでくるくると回していた。 ……何を、考えてるんだ? 沈黙のあと、唐突に彼女が立ち上がった。 「よしっ! 決めた!」 「……え?」 「探偵事務所を作る!」 「た、探偵事務所?」 あまりの急展開に俺があっけにとられていると、エリカは俺の顔を覗き込み、真剣な目で見つめてきた。 「今日のことを見て思ったの。世界には、まだまだ知らない“謎”がたくさんある。 でもね、それを解き明かすことで――誰かの心が救われたり、幸せになれるって、思ったの」 その瞳は、まっすぐだった。まるで星のきらめきをそのまま閉じ込めたように、輝いていた。 「わたし、今日の出来事は最初とっても不安に感じた……でもね! その後の三人の様子を見て、私たちが謎を解いたことで、なんだかキラキラしたものに変わった気がしたの!」 エリカの笑顔は、いつもの天真爛漫なそれとは違っていた。やさしくて、あたたかくて、すべてを包み込むみたいな――そんな笑顔だった。 俺は、その笑顔に見とれていた。 「私ね、謎って、誰かの心にできた小さな影みたいなものだと思うの。それを見つけて、明かしてあげたら……世界がちょっとだけ、綺麗になる気がするの」 エリカは一度目を伏せ、決意を新たに振るように、うなずいた後。 「だから、探偵事務所を作るの! “謎解き”を通して、みんなの悩みとか、不安とか、そういうのを少しでも晴らしてあげられるように!」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-21
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日記09:喫茶店で過ごす日常

教室で起きたクリアファイル事件の翌日。 俺たちはアンサンブルに集まっていた。 その一階席。お客さんのいない店内の、日当たりのいい席で、俺たちは昨日の出来事を振り返っていた。 「どうなることかと思ってヒヤヒヤしたけど、無事仲直りできて良かったわよね」 茉莉花がテーブルに肘をつきながら、顔を両手で支えるようにしてうなずく。 「んで、謎解き部? なんだそりゃ。よく思いついたな、エリカらしいっていうか……」 真司はソファにふんぞり返りながら、腕を組んで感心したような、呆れたような、微妙なトーンでつぶやいた。 「エリカの思いつきにしては、まあいつも通りというか。いったんやるって決めたら、止まらないタイプだからな。 それに、今のところなんの進展もないんだ。なにか新しいことをしてみるのもいいかもしれないと思って」 俺がそう言うと、真司が怪訝そうな顔でこちらを見てきた。 「その活動で、あれか……きっかけをって考えてんのか?」 それに俺は、無言でうなずいてみせる。 「へぇ〜……そっか」 俺の反応に、真司は今度こそ納得したようにうなずく。さっきとは違って、妙に含みのある表情だった。 俺、茉莉花、真司。三人の間に、一瞬だけ気まずいような、でもどこか温かい空気が漂う。 だが、それをあっさりぶち壊してくるのが、やっぱりこの子だった。 「そういうわけで! ふたりとも、部活に入ってくれないかなっ? 今ならまだ正式に申請できるんだよ、部員四人でギリギリ!」 キラキラした目でエリカが身を乗り出してくる。必死というより、楽しげでワクワクがあふれている。 俺たちは顔を見合わる。 そして、そろって少しだけ眉間にシワをよせて笑った。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-22
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