最初から最後まで、色眼鏡で見ていたのは自分の方だった。けれど今は……仁志は改めて、目の前にいる紬の表情をじっと見つめた。淡々として霜のように冷たく、そこには何の感情の起伏も見当たらない。その瞳にかつてのような、彼らに対する謙虚さや寛容さは影を潜め、ただ芯まで凍てつくような、冷ややかな疎遠さだけが残っている。紬は……変わってしまったのだ。「ええ、祖母と過ごすわ」紬は質問にだけ短く答え、それ以上、仁志に何かを説明するつもりはないようだった。仁志は少なからず驚いた。だが、紬に自分と長く会話をする意志がないことだけは痛いほど伝わってくる。彼女のこの態度が、何に起因するものなのか……今の彼には、紬の心情が理解できる。ポーン、と到着音が鳴り、エレベーターが目的の階に到着する。紬は振り返って仁志に素っ気ない頷きを一つ返すと、すぐに身を翻して去っていった。仁志は彼女の背中が角を曲がり、完全に見えなくなるまで見送り――やがて、エレベーターのドアが再び閉ざされた。しばらくして、彼は眉間を揉みながら、自嘲気味に失笑した。自分が少しおかしいのではないか、と思った。明らかに紬は自分に対して冷淡だというのに、彼女ともう少し話したいという欲求が、燻り続けている。いつもふと、考えてしまうのだ……自分は、本当の意味での「温井紬」という人間を、一度だって理解していなかったのではないか、と。……蘭子たちの待つスイートに戻ると、ホテル側からはすでに、美しく飾り切りされた果物の盛り合わせが届けられており、蘭子が満面の笑みで紬を手招きした。「紬、先につまんでお腹を満たしておきなさい。さっきホテルの人が来て教えてくれたのだけれど、キャンプファイヤーは夜の十時からだそうよ。行くでしょう?」紬が歩み寄ると、良平がすでにフォークでキウイを刺し、彼女の口元へ差し出していた。紬は素直に口を開けてそれを受け取り、飲み込んでから答えた。「この仕事さえ片付けば、後から追いかけます。おばあちゃんと叔父さんは先に初詣にでも行って、新年の福をたくさん授かってきてください」「もう、お正月だっていうのに。こんな時までお仕事なんて大変ねぇ」蘭子が咎めるような、しかし慈愛を含んだ目で見た。「本当に、すっかり仕事人間になってしまったわね」「
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