「お……っ、俺はこの件では何もしていない! なのになぜ呼ばれたんだ!?」 「三橋さん、あなたは確かに直接的には関わっていません。なので、あなたにはやって頂きたいことがあってここにお呼びしたんです。この場でこれから行われるすべてを記録して、このお二人を断罪する記事を書いて下さい」 わたしは彼の中のジャーナリズムに訴えかける。ただ、友人たちを断罪する記事を書くなんて、彼にとっては苦痛だろう。それでも、二人を止めなかった彼にも責任がある。忍が叔父である南井さんを止められなかったことに責任を感じていたように。 「俺に……、ペンでこの二人を追及しろっていうのか?」 「ええ。あなたもジャーナリストの端くれなら、真実を報道する責務があるはずです。二人に同情的な立場ではなく、第三者としての客観的な視点で事の一部始終を記録して下さい」 「…………わ、分かった。俺も一介のジャーナリストだ。その件、引き受けた」 彼はそう言うと、自分のスマホで動画を撮影し始めた。写真にしなかったのは、音声もあった方が記事を書くときに使えそうだと思ったからだろう。 「ありがとうございます。――さて、南井さん。先ほど名前が挙がった一条先生っていうのは、代議士の一条大悟先生のことですよね? 元国土交通省の官僚の」 国土交通省の官僚だったということは、建設関係に大きなコネを持っている人物だということ。上海に新規の工場を建設しようとしている高森さんにとっては、色々と便宜を図ってくれるありがたい存在で
Last Updated : 2026-01-25 Read more