「……? 社長、『まさか』とは?」 「あ……、百万円って……あの時のお金ですか?」 ここにいるメンバーの中でただ一人事情を知らない古市さんは首を傾げ、事情を知っている村井さんはハッとしたような表情を浮かべた。 「古市さん、あなたもご存じでしょう? 先週発売された〈週刊イレブン〉に、わたしを中傷するような記事が掲載されたのを」 「ええ、存じております。……なるほど、南井社長に関する調査を依頼されたのはそういう事情がおありだったんですね。ですが、その件と百万円とはどういった関係が?」 わたしは彼にも、あの記事に対しての訂正記事と謝罪文を書いてもらうために、三橋という記者に百万円を支払ったことを打ち明けた。ただし、その時のお金は会社の口座からではなくわたし個人の口座から引き出したのだと。 「ちなみに、社長がそのお金をご自身の口座から引き出されたという確かな証拠はおありですか? 失礼を承知で伺いますが」 「もちろんあります。百万円を出金した時に、キチンと通帳の記入もしてありますから」 あの後、口座のお金には一切手をつけていないので、残高はあの日のまま変わっていないはずだ。 「……ということは、南井副社長は百万円の横領の罪を社長に被せようとしている、ということですか?」 「多分、そういうことじゃないかと思います
最終更新日 : 2026-01-15 続きを読む