恋するプレジデント♡ ~お嬢さま社長のめくるめくオフィスLOVE~ のすべてのチャプター: チャプター 101 - チャプター 110

116 チャプター

ブックカフェデートと反撃開始 PAGE7

「……? 社長、『まさか』とは?」 「あ……、百万円って……あの時のお金ですか?」   ここにいるメンバーの中でただ一人事情を知らない古市さんは首を傾げ、事情を知っている村井さんはハッとしたような表情を浮かべた。 「古市さん、あなたもご存じでしょう? 先週発売された〈週刊イレブン〉に、わたしを中傷するような記事が掲載されたのを」 「ええ、存じております。……なるほど、南井社長に関する調査を依頼されたのはそういう事情がおありだったんですね。ですが、その件と百万円とはどういった関係が?」  わたしは彼にも、あの記事に対しての訂正記事と謝罪文を書いてもらうために、三橋という記者に百万円を支払ったことを打ち明けた。ただし、その時のお金は会社の口座からではなくわたし個人の口座から引き出したのだと。 「ちなみに、社長がそのお金をご自身の口座から引き出されたという確かな証拠はおありですか? 失礼を承知で伺いますが」 「もちろんあります。百万円を出金した時に、キチンと通帳の記入もしてありますから」  あの後、口座のお金には一切手をつけていないので、残高はあの日のまま変わっていないはずだ。 「……ということは、南井副社長は百万円の横領の罪を社長に被せようとしている、ということですか?」 「多分、そういうことじゃないかと思います
last update最終更新日 : 2026-01-15
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ブックカフェデートと反撃開始 PAGE8

 だとすれば、彼らの嫌がらせはこれだけで終わるはずがない。もっと大きな嫌がらせを企んでいると思う。それこそ、わたしが社会の信用を失うくらいの。 とはいえ、こちらもまだ反撃の機会を窺っている段階だ。もう少し様子を見た方がいいかもしれない。 「……社長、どうされますか? このまま放っておくわけにはいかないでしょう」 「うん、そうね……。でもまだ反撃する段階じゃない。もうしばらく様子を見るしかないと思う。――古市さん」 「はい」  わたしは忍に答えてから、優秀な調査チームのリーダーに声をかけた。 「南井さんと高森さんについて、引き続き調査をお願いします。もしかしたら、向こうがぐうの音も出ないくらい大きな事実が出てくるかもしれませんから」 「かしこまりました。三橋という雑誌記者の件はどうなさいますか? こちらで調査することもできますが」 「それについてはこちらで何とかします。明日発売の今週号に、約束どおり訂正記事が掲載されるかどうかを確かめないと。……村井さん、謝罪文がネットにアップされてるかどうか調べてみてくれる?」  雑誌には発売日というものがあるけれど、ネットにアップするのはいつでも、それこそその日のうちにできるはずだ。もしかしたら、あの日のうちにもう書かれていたかもしれない。 「はい、お待ち下さい。……あっ、ありました! SNSの 〈週刊イレブン〉の公式アカウントに、先週火曜日のうちにアップされていたみたいです」 「見せて」  わたしは村井さんのデスクまで行き、パソコンのディスプレイに表示されたSNSの投稿を覗き込んだ。  
last update最終更新日 : 2026-01-16
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ブックカフェデートと反撃開始 PAGE9

「――それにしても、社長は本当に強い方ですね。転んでもタダでは起きないというか」 アイスコーヒーを飲んで気持ちをリフレッシュさせ、仕事に打ち込んでいると、忍がわたしに尊敬の眼差しを込めてそう言った。「えっ? そうかなぁ?」「はい。社長があれだけコケにされてうろたえるばかりの人だったら、僕はきっと幻滅していたでしょう。ですが、あなたは問題に立ち向かおうとしていらっしゃいますよね。その毅然とした態度、ご立派だと思います」 幻滅されるんだ……というところには軽くショックを受けたけれど、わたしが強くいられるのは彼のためでもある。大切な人ひとり守れないで、大企業のトップに立つ資格なんてないと思っているから。 それに、自分には落ち度がない(……こともないか。泥酔しておんぶされたのは明らかにわたしの落ち度だ)ことであんなにひどい記事を書かれたり、横領の罪を着せられそうになったりしているのに、腹を立てない方がどうかしている。やられっぱなしでいられるわけがないし、絶対に報復してやりたくなる。「まぁね……。そりゃ、あんな記事を書かれたのはわたしにもちょっとは原因があったわけだけど、だからってあんな悪意の塊みたいな記事にしなくてもよくない? 経営者ってそんなにパーフェクトでいなきゃいけないの? とか思ったらなんか悔しくて。それに、自分がやってもいない横領の罪まで被されそうになってるのよ。誰だって怒るでしょ、それは」「そうですよね。そのお気持ちは尊敬します。ですが、おひとりで抱え込まないで下さいね。そのために僕もいるんですから。僕だけじゃないです。平本くんだって、村井さんだってあなたの味方です」「うん、ありがとう。いざっていう時にはあなたたちの力も借りるつもりだから、その時はよろしくね」「はい! 僕はどこまでもあなたについていきます。ですから一緒に戦わせて下さい」(……そうよね。わたしはひとりで戦うわけじゃないんだ。こんなにも強い仲間がたくさんいるのよね……)「もちろんよ!」 南井さんたちに関する重大な問題が見つかったら、その時がわたしたちの反撃開始の時だ。――そしてそのタイミングは、意外にも早く訪れた。   * * * *「――社長、とんでもない情報をつかみました! 高森物産が、大物代議士に多額の賄賂を贈ったそうです。しかもその資金は、どう
last update最終更新日 : 2026-01-17
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会社は誰のもの? PAGE1

「――ちなみに古市さん、その情報はどこから?」  調査部は守秘義務が厳しい部署なので、訊いたところで教えてもらえないかな、と思ったけれど、一応念のため訊いてみると情報源は意外な人物だった。 「受付の広瀬さんです。社長と同期入社の。……彼女、高森物産に友人がいるらしくて、その友人から連絡が来たそうですよ」 「えっ、広瀬さん? へぇー、そうだったの……。世間って狭いのね」  まさか、この件で広瀬さんが情報をもたらしてくれるなんて。彼女は特別親しい友人というわけじゃないけれど、大事な同期の仲間である。蔑ろにしなくて本当によかったなぁと思う。 「そのようで。それでですね、高森社長の背任の件も、南井副社長の入れ知恵らしいですよ。広瀬さんの友人が、高森氏と副社長が電話で話しているところを聞いていて、録音までしていたそうです」 「ということは……、その電話の音声が証拠として残っているということね? そのお友だちがが録音していたことに、高森さんは気づいてないんでしょう?」 「ええ。その友人、男性だったそうですが。それはともかく、録音のことは気づかれていないようだと彼は広瀬さんに言っているそうですから」  まさか男性の友人だったなんて。「友人」と聞いて、すっかり女性だと思い込んでしまった。彼は広瀬さんにとって、ただの〝友人〟なんだろうか? もしかしたら彼氏だったりして。  ……それはさておき。 「じゃあ、その録音データはこちらにとって強力な切り札になりそうね。広瀬さんに、彼からそのデータを譲ってもらえないか頼んでもらおうかな」 「それなら僕が――」 
last update最終更新日 : 2026-01-18
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会社は誰のもの? PAGE2

「――というわけなのよ。お父さん」 午前中の仕事の合間、わたしは会長室にいる父を訪ね、ことのあらましを伝えた。高森社長の背任行為、そのバックには南井さんがいるだろうということ、そして彼らがわたしを嵌めようとしているらしいことを。「うん、背任の件はこちらとしても見逃すわけにいかないな。それも、佑香の名前を出しているなら余計にだ」「やっぱり、お父さんもそう思うよね。どうしたらいいのかな?」 この事態はわたし個人だけじゃなく、会社全体にとっても大ピンチだ。けれど、わたしの社長としての真の手腕を発揮できる大チャンスにもなり得る。「父さんに任せてくれないか? 地検の特捜部に知り合いの検事がいるから、この件を告発しようと思う。もちろん、お前はあくまで被害者だと言っておくから安心しなさい」「それじゃ、わたしに捜査の手が及ぶことはないわけね?」「そういうことになるな。まあ、事情聴取くらいは受けるかもしれんが、そこはぜひとも協力してやってほしい」 わたしは勝手に名前を使われただけの被害者なので、捕まってしまうことはないけれど、事情を聴かれることは避けられないということだろう。「分かった。わたしの口から正直に話した方が、検察も信じてくれるだろうしね。お父さん、ありがとう」 ともかく、この件は会長である父に任せてわたしは通常業務に戻ることにした。   * * * *「――うっす、佑香。広瀬からこれ、預かってきたぞ。例の音声データ。昨日さっそくコピーしてもらったってさ」 翌日の朝、出勤してきたわたしは平本くんから一枚のメモリーカードを受け取った。「平本くん、仕事はやーい! ありがとう!」「いや、俺じゃなくて広瀬だろ。あいつ、俺が頼んだらすぐにその男友だちに連絡して、音声データをコピーしてくれって言ったらしいぜ」「そっか……。広瀬さんもわたしのためにそこまで……。ありがたいよね」「何たって社長の一大事だからな。みんな生活かかってんだから必死だよ。俺はまぁ、それだけじゃねえけどな」「……えっ?」 彼がわたしにまだ未練たらたららしいのは分かっている。でも次の瞬間、彼は何だか妙にスッキリした顔になってこう言った。「俺は、いつでもお前に笑っててほしい。だから決めた。もう、お前の隣にいるのが俺じゃなくてもいい。お前が、ホントに好きなヤツの隣で笑ってられる
last update最終更新日 : 2026-01-19
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会社は誰のもの? PAGE3

  『佑香社長へ。  叔父である南井の企みを、「僕のせいではない」とおっしゃって下さったこと、すごく感謝しています。庇って下さってありがとうございます。 ですが、身内である以上は僕も無傷というわけにはいかないと思ってこの手紙を書かせて頂きました。 確かに、僕がこの企み自体に関わっている事実はありませんが、僕は身内だからこそ、叔父を止めるべきでした。 それをできなかった僕には、あなたの秘書でいる資格はありません。それどころか、この会社にいる資格もないと思っています。 そういうわけで、僕は本日をもってこの城ケ崎商事を退職することにしました。 ですが、あなたとの交際を終えるつもりはありません。両親の店を手伝いながら、あなたとはまた〈結〉でお会いできたらと思っています。 では社長、お元気で。               野島忍』  「……そんな……。どうしてこんな……。村井さん、彼はまだ社内にいる?」  便箋を乱暴に折り畳んだわたしは、彼女に訊ねた。彼がまだ社内にいるなら、彼を引き留められるかもしれない。 「ええ、多分……。秘書室のみなさんに挨拶をしてから帰ると言ってましたので」 「分かった、秘書室ね。わたし、行ってくる!」  便箋を封筒に突っ込み、わたしはすぐに社長室を飛び出した。 
last update最終更新日 : 2026-01-20
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会社は誰のもの? PAGE4

「――あーあ……。せっかくキレイにメイクして来たのに、泣いちゃったからファンデがボロボロ。直さなきゃ」  社長室へ戻る途中の廊下で、わたしは涙でメイクが崩れた頬を指で撫で、苦笑いした。すると忍に突然肩をそっとつかまれ、キスをされた。 「……あの、すみません。今の社長の顔があまりにも可愛かったので、つい……」  別にわたしは怒ってなんかいないのに、彼は顔を赤らめてモゴモゴと言い訳を始めた。こういうところ、本当にピュアな人だなぁと愛おしくなる。 「謝らなくていいけど……。口紅、ついちゃったね」  笑いながらそう言うと、今度はわたしから彼に唇を重ねた。いつ、誰が通るか分からない廊下でのキス。でも、こういう背徳的なスリルこそがオフィスラブの醍醐味だ。 それに、こういうことができるのは相手が彼だからだ。平本くんと付き合っていても、多分ここまではできなかったはずだから。 「――社長って、意外と情熱的だったんですね。驚きました」 「そりゃあ……、わたしだっていい歳したオトナの女ですから?」  本当はちょっと照れくさいけれど、それを隠すためにわざと澄まして見せる。 「というか今度こそ僕、派手に口紅ついちゃってますけど……」 「そうだね。……はい、これで口、拭いておいて。わたしは社長室に戻った
last update最終更新日 : 2026-01-21
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会社は誰のもの? PAGE5

「あー、えっと……これは……まぁ、何ていうか……」  彼女は多分、わたしたちがキスをしたことまで見抜いているらしい。わたしがゴニョゴニョと弁解しようとしていると、ふふっと笑い出した。 「分かってますよ、お二人の様子を見れば。もうラブラブじゃないですか。社長、彼が戻ってきてくれて本当によかったですね」 「うん、ホントよかった。じゃあわたし、仕事にかかる前にちょっとお手洗いでメイク直してくるね」  わたしは応接スペースのソファーの上に放置していたバッグからコスメのポーチを引っぱり出し、社長室内のトイレに入った。コンパクトを二つ取り出すと、クッションファンデを塗り直し、その上からフェイスパウダーをはたく。最後に口紅を塗って、メイク直しは完了した。 「――社長、お化粧キレイに直りましたね」 「うん、バッチリ!」  メイク直しの出来映えを、さっそく忍は褒めてくれた。あんなことがあった後なので、彼の些細な言動一つ一つでさえ愛おしく感じる。 「さてと、そろそろわたしもお仕事始めようかな」 「じゃあ、たまには私がお茶を淹れてきましょうかね」  わたしがバッグを持ってデスクへ移動すると、村井さんが珍しくお茶くみを志願した。どうやら彼女なりに気を利かせて、わたしたちを二人きりにしようと計らってくれているらしい。 「いいの、村井さん? ありがとう。わたし、あったかい緑茶がいいな。お願いね」 「えっ? いいですよ、村井さん! 僕が――」 「いいから、野島くん。今日は私にやらせて。あなたはここで社長のサポートをお願い。それが第一秘書と
last update最終更新日 : 2026-01-22
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会社は誰のもの? PAGE6

「――あ、そういえば今朝、平本くんから受け取ったよ。例の電話の音声データ。コピーだけど」  忍がちょうどすぐ近くにいるので、わたしはあのメモリーカードをスーツのポケットからデスクの上に出した。 「そうですか。彼、仕事が早いですねー。なのに叔父はどうして彼のことを蔑ろにしてるんでしょうね?」 「きっとあの人、元々人の上に立つ器じゃないのよ。昔から言うのにねぇ。『何とかとハサミは使いよう』って」 「……社長、それってちょっと間違ってませんか?」  慣用句を使って言ってみると、忍からツッコまれた。「人というのは、使い方によって敵にも味方にもなる」という意味だと思って使ったのだけれど、違ったっけ? 「あれ、そうだっけ? ……まぁいいや。とにかく、村井さんが戻ってきたらこの音声、一度聴いてみない? そこに南井さんの名前も出てきたら、彼の関与は決定的ってことでしょ」 「そうですね。叔父を追い詰める決定的な証拠になりますね」  わたしは村井さんが給湯室から戻ってくると、カードリーダーに差し込んだメモリーカードをパソコンのハードディスクにセットし、メディアプレイヤーのアプリを起動させた。     * * * *   その電話でのやり取りの中には、確かに「南井」という名前と「城ケ崎社長の名前を使って」というセリフが入っていた。これは高森さんが彼から背任行為を唆された確実な証拠になる。――わたし、忍、村井さんの意見は見事に一致した。 「――で、お父さん。これって南井さんの罪を暴く決定的な証拠になると思う?」 
last update最終更新日 : 2026-01-23
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会社は誰のもの? PAGE7

「――野島さん、あなたが辞表を出そうとしたこと、父には言わないでおいたから」 「えっ?」  社長室へ戻ってきたわたしは、忍にそう伝えた。父からは特に何も言われなかったし、まだ人事にもこのことは知らせていない。正式な辞意でないのなら、わたしのところで止めておいた方がいいだろうと思ったのだ。 「あの辞表のことは、わたしの心の中だけに留めておくから。あなたはもう辞めないって決めたみたいだし、それでいいでしょ?」 「はい、ありがとうございます」  こうして彼の退職騒動は社長室の外へ広がることなく収束し、わたしたちは来るべき南井さんたちとの対決の日を待つこととなった。     * * * *   事態が大きく動き出したのは、その二日後のことだった。高森社長による背任行為の件で、ついに警視庁の捜査二課が動き出したのだと情報部の古市さんが知らせて下さったのだ。 「ということは、警察も高森さんの背後でウチの南井副社長が動いてた事実をつかんでるってことですか?」 「そういうことでしょうね。特捜部に提出したあの音声データが、決定的な証拠として採用されたみたいですよ。副社長だけではなく、三橋という記者も一枚嚙んでいたことも明らかになったようで」 「えっ、そうなんですか? でも、あの音声には三橋さんの名前は入ってなかったはずですよね?」  わたしはあの音声を合計三回聴いている。一度目はこの社長室で二人の秘書と、二度目は会長室で父と、三度目は警察の任意での事情聴取で。だから、さすがに記憶違いということはないはずだ。 「警察が、高森氏のスマホを任意提出してもらい、通話やメールなどの履歴を調べたところ、三橋氏との通話履歴が見つかったそうです。そ
last update最終更新日 : 2026-01-24
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