「――でもごめんね、村井さん。わたしたちだけ先に幸せになっちゃって」 彼女はまだ独身で、彼氏もいないらしいのだ。ちょっと申し訳ない気持ちになる。 「いいんですよー。私は私でステキなお相手を見つけますから。とりあえず婚活パーティーにでも参加してみようかしら」 「婚活パーティー……」 わたしと忍は思わず顔を見合わせた。まだ二十代のわたしたちにはピンとこない選択に、三十代である彼女とのジェネレーションギャップを感じる。 「ちなみに、理想のお相手はどんな人なの? 希望する年収の額とか」 「それ、僕も興味あります」 「年収は……そうですねぇ、一千万くらいで。あとは高身長のイケメンで、優しくて、自分で家事もこなせる人ですかね」 「一千万って、微妙な額ですよね……」 「っていうか、そんな人って現実的にいるのかな?」 わたしたちは村井さんには聞こえないよう、ヒソヒソと言い合った。彼女の掲げる理想の男性像はなかなかにハードルが高そうだ。彼女になかなか彼氏ができないのも、そこらへんに原因があるような気がしてならない。 「……って、私の婚活話はどうでもいいんですよ。そろそろ仕事にかかりましょう」 「ああ、そうね。――ところで野島さん、メール便って高森物産からって言った?」 やっと頭を〝お仕事モード〟に切り替えたわたしは、忍に訊ねた。 「はい。先週の木曜日、接待の席の帰りに僕からお願いしておいたんです。例の新規事業の資料があれば送ってほしい、と。……社長はかなり
Last Updated : 2025-12-11 Read more